第九十話 多すぎる戦利品
確かにジョニーの言う通りだ。アナコンダ、そしてケツァルコアトルと連日強敵を相手にしたおかげで、俺のレベルはもう21にまで上がっていた。
レベルが21に上がった。連日のレベルアップであまり確認できなかったけど、ついさっき見たら、割り振り値は192万以上も貯まっていた。
俺がテスター時代に仕込んだ指数関数の式に従って、割り振り値が飛躍的に増大している。この世界でも、その法則通りに俺のステータスが強化されている。
正直これだけ貯まっていたら、もう怖いものなんて何もない。ジョニーの言う通り、ステータスだけで見たら俺はもう最強になってしまった。
「よし。それじゃあコアはもらったから、これが約束の報酬だ。受け取ってくれ!」
ジョニーがテーブルの上にケツァルコアトルの討伐報酬分となる金貨200枚を出した。貴族の俺からしても、金貨200枚は超大金だ。思わず目がくらみそうになった。
「ほ、本当に、金貨200枚!? これ全部私達のものですか?」
「はは、何をためらっているんだ。七つ星ランクモンスターを討伐したんだ、それ相応の報酬は渡すのがルールさ。遠慮せず受け取りたまえ」
ジョニーの言葉にしたがい、俺は金貨200枚を受け取ってアイテムボックス内に入れた。ボックス内の様子を見て、俺は思い出した。
「ジョニーさん、実はまだ渡したいものがあるんだけど……」
「ん? あぁ、そうか。戦利品だな。アナコンダとケツァルコアトル、ほかにもいろいろモンスターを倒したんだろ? 一体どれくらいの戦利品があるのか楽しみだ」
「ここに全部出していいですか? 多分このテーブルの上に全部置けないと思います」
「そんなに多いのか? まぁそうだな、この部屋を汚されても困るから、部屋を移動するか。君が適性検査を受けた広間ならちょうどいいだろう」
それから俺達はジョニーと一緒に部屋を出て、適性検査を受けた大広間へと移動した。そして移動する間、パメラがこそっと耳打ちした。
「ねぇ、ロバート。アナコンダの体液とケツァルコアトルの角は……」
「わかってるよ、あの二つだけは渡さないから」
パメラもやはり気にかけていた。もちろん俺も忘れてはいない、ここで渡してしまったら〈覇王の魂〉が作れなくなるからね。
「よし、ここなら相当広いから、思う存分戦利品を出してくれ」
ジョニーに促され、俺はアイテムボックス内にあるありったけの戦利品を出してみた。考えてみれば、昨日のアナコンダ討伐のときからギルドに来ていなかったら、かなり戦利品は溜まっている。
次から次へモンスターの素材を床にばらまける。改めて見るとすごい量だった。ジョニーも口を開けたまま、しばらく呆然としていた。
「……はは、これはまた大量だな」
特に多かったのがアイアンバットの牙と翼だ。南の鍾乳洞で例のチンピラの罠にかかって、百体ほど倒したからこいつらの素材だけで、半分以上も占めていた。
そしてアナコンダの素材ももちろんある。あとはケツァルコアトルを討伐した後、古代遺跡から帰る途中で倒した五つ星モンスターの素材だ。サンダーガルーダ、ポイズンエイプ、ランサーリザード、キャタピラー、コボルトキング、全部で六体ほど倒したかな。
さて全部換金したらいくらになるだろう、ジョニーが全部の素材を一通り見て回った。
「思った以上に大量にある。しかも五つ星ランクのモンスターも多いな。これは……鑑定にしばらく時間がかかりそうだ」
「そうですか。じゃあ今日はこの辺でおいとましてもいいですか? もう夜遅いですし」
「そうだな。よし、明日には鑑定を終わらせて改めて報酬を渡そう。今日は本当にご苦労だった、ゆっくり休みたまえ」
今日は本当にいろいろあった。俺もかなり疲れが溜まっている。よし、一昨日と同じ宿で泊ることにしよう。
「楽しみだね、明日にはまた報酬がもらえるんだ。これでしばらく資金には困りそうにないな」
「本当ね、全部ロバートのおかげよ。あなたが味方になってくれてなんと心強いことか……」
「そうね。だけどもう一つ片づけなくちゃいけない問題があるのを忘れちゃ駄目よ」
「あぁ、そうだね。ディエゴ……一体どうしたら……?」
「ちょっと待ってくれ!」
突然ジョニーが俺達を呼び止めた。
「ジョニーさん? どうしたんだ、そんな大声出して」
「すまん、今俺も気づいた。肝心な奴の素材がないじゃないか」
「肝心な奴?」
「ケツァルコアトルだよ。さっきコアは見せてもらったが、奴の素材が見たところ一つもないが……」
やっぱり気づかれたか。これだけ素材が多い中ですぐに気づくとは、ジョニーの観察力も侮れないな。
正確にいえばケツァルコアトルの角は奪ってある。だけどそれ以外の素材は取れなかった。
「あぁ、そのことなんですが……実は取れなかったんです」
「取れなかった? どういうことだ? コアを奪って戦利品を取らないで、古代遺跡から帰ってきたのか?」
「帰ろうとしたら、消えていたんです。奴の体が跡形もなく……」
俺は思い切って言った。ジョニーは困惑した表情を浮かべた。
「……消えていただと? ますますわけがわからんが?」
「そのままの意味ですよ。本当に跡形もなく消えていて、あれはまるで……」
「恐らく誰かに封印されたんだと思います。これを見てください」
エイダが説明しだした。そして俺達が中央広場の地下で拾った、卵型の球体をジョニーに見せた。
ジョニーはその球体を見た途端、目が点となった。
「……なんだそれは?」
「〈シーリングボール〉です、大型のモンスターを封印するのに使う魔法道具なんですけど」
ジョニーはそれを手に取り、じっと見つめた。
「まさかこの中にケツァルコアトルが!?」
「違います。その中に入っているのは……」
「マスター、ここにいたんですか?」
突然女性の声が聞こえた。いつの間にかレミーが広間に入ってきていた。
「レミーか。今こっちは手が離せない。用があるならあとにしてくれ」
「いえ、変な客が来てマスターに渡してほしいと、この紙を渡されたんですが……」
「変な客だと? どんな見た目をしていた?」
「フードとマスクを被っていて、かなり怪しい人でした。とにかくこの紙を渡してほしいと、それだけ言って名乗りもせず去っていきました」
第九十話ご覧いただきありがとうございます。
この作品が気に入ってくださった方は高評価、ブックマークお願いします。コメントや感想もお待ちしております。またツイッターも開設しています。
https://twitter.com/rodosflyman




