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俺のステータスがバグって低レベルでも余裕でカンスト!? 前世で得た裏攻略情報で全て計算通りに無双できちゃいます!  作者: 葵彗星
第二章

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第八十八話 閉じ込められた商人

 エイダが指差した先には、巨大な穴が広がっていた。穴の周りにある柵から身を乗り出して、俺とパメラも覗き込んだ。よく見たら、はるか下の方が紫色に光っていた。前世でも見覚えがある光だ。


「なんなの、あの光は?」

「魔石だよ。あの光の大きさからしてかなり巨大だね」

「魔石? まさか植物が育っているのって……」

「あの魔石によってこの空間、というかこの周辺一帯は巨大な魔力が集中しているの。ディエゴがこの場所を選んだ理由はこれだったわけね」

「それはいいんだけど、ディエゴがそれを知ってわざわざこんな危険な場所まで来たっていうの? それはそれで納得がいかないわ」


 パメラが新たな疑問を投げつけた。確かに商人のディエゴがこの場所に巨大な魔石があることを知っているとは考えにくい。


「あの魔石は、多分この遺跡に昔住んでいた民が残したもの。あのくらいのサイズの魔石になれば、寿命もかなり長くなるけど、この遺跡が確か数千年前のものだから、さすがにもう力は残っていないはずよ」

「じゃあなんで光っているわけ?」

「まさか誰かが無理矢理復活させたとか……んなわけないか」

「いや、そうだと思うわ」


 適当に答えを言ってみたが、エイダは同意した。


「そんな。一体どこの誰が?」

「…………」


 エイダは黙り込んだ。まさか心当たりがあるのか。


「……魔石が紫色に光っている。あれは禁呪の魔法に該当するわ」

「き、禁呪の……魔法?」


 エイダから物騒な言葉が出てきた。


「魔石を復活させるだけじゃなく、さらに強化までしているの。紫色に光っているということは、その魔石が本来許容できる以上の魔力を放出している状態なのよ」

「へぇ、それは初耳だ。そんな危ない魔法を使える魔道士って、一体どこの誰なんだ?」

「……ランクSね」


 エイダがぼそっと呟いた。


「ランク……S!?」

「えぇ、ランクSの魔道士よ。それ以外に考えられないわ」

「そんな……ランクSの魔道士なんてこの島にいないはずよ!」

「この島にはね。でも世界は広いのよ。特に帝国本土には、私と同じかそれ以上の実力を誇る魔道士が大勢いるの」


 エイダの言う通りだ。確かに〈ロード・オブ・フロンティア〉の世界観において、この島以上の強さを誇る戦士は大陸に多くいる。そのほとんどがキシア帝国に属する。ランクSの戦士がざらにいる、まさに強者揃いの国だ。


「まぁ、本当かどうかはわかんないわよ。あくまで帝国政府が公式で発表しているだけで、私もあまり会ったことないわ。それより魔石はいいから、早く彼を探しましょ!」

「彼って……あぁディエゴね、すっかり忘れてたわ!」

「でも、さっきから探してるけどディエゴの姿なんてどこにも見当たらないぞ」


 俺の言葉を聞いて、エイダはまた〈サーチ〉を唱えて確認した。


「……間違いなく、ここだと思うわ。赤い点はやっぱり重なってる」

「もしかして、まだ下の層じゃ」

「でも、ここから下に降りる階段も見当たらないぞ」

「エイダ、もっと正確にわからない?」

「無理ね。私の〈サーチ〉の精度だと、これ以上拡大できないわ」


 エイダが円形の魔方陣を目を凝らしながら見てる。そういえば〈サーチ〉は地図を表示させる魔法だけど、その精度、というか拡大して見れる範囲はステータスの器用さが関わってくる。


「もしかしたら隠し階段があるかもしれないね。畑が怪しいと思うから、そこを探してみるよ」


 俺は再び畑に戻った。もちろん俺の考えは適当だ。正直ここには前世でもあまり来たことがないから、下に降りる階段がどこにあるかも知らない。


 というより、俺はせっかくこの畑に来たんだから、やはり頂いておくに越したことはない。見たところ大量に実っているから、少しくらい収穫しても大丈夫だろう。


「……抜け目ないのね、あなた」

「うわ! パメラ、おどかすなよ!」


 パメラが後ろから話しかけてきた。俺の行為はしっかりと目撃されてしまった。


「なーんてね。私も同じこと考えてたのよ、これだけあったら少しくらいは……って、あれ? これは……」

「どうしたの? 何か見つけた?」


 パメラが見つめた先を俺も見た。すると何やら赤く光る球体が枝の先に引っかかっていた。大きさ的に鳥の卵くらいはある、明らかにこれは黒曜豆じゃないな。


「……これは?」


 パメラが慎重に手を伸ばしてそれを掴み取った。


「ぐっ、けっこう重いわ。これが何か見当がつく?」

「いやぁ、さっぱりわからないな。もしかしたらエイダなら知っているかも……」

「〈シーリングボール〉よ」


 後ろからエイダの声が聞こえた。そしてこの球体の名前まで言い当てた。


「シーリング……ボール?」

「そうよ。元々はモンスターを封印するために使われる一種の魔法道具、〈空間圧縮機能〉を極限まで高めて、最大でさっきのケツァルコアトルのサイズのモンスターも入るわ」

「なんですって? それじゃ……このボールの中に入っているのって……」


 パメラは恐る恐るその球体を覗き込んだ。俺も同じく覗き込む。なんとなく中に何が入っているか、見当がついていた。


「いや。多分中にいるのはモンスターじゃないよ」

「え? それどういうこと?」

「エイダ、シーリングボールっていうのは、モンスターじゃなく人間にも有効だよね」


 俺の言葉を聞いてエイダは一瞬閉口した。


「……そうだけど、まさか……」

「そのまさかさ。どうりで見つけられないわけだよ、彼はこの中に入っているみたいだ」

「彼って……あぁ、そんな!?」


 パメラもやっと気づいたようだ。さらに顔を近づけて凝視する。髭を生やした男性が、確かにその中に入っているのを見た。


「ディエゴが中に入っているんだ。一体誰の仕業だ?」






 ロバート達がいなくなった中央広場に一人の女魔道士が訪れていた。土砂降りだった雨もすっかり止み、水たまりの中を濡れないように浮遊術を用いたまま、討伐されたケツァルコアトルの死体を見下ろしていた。


「……アナコンダに続いてケツァルコアトルまで。なんということだ。あのお方の仰ったとおりだ、やはりあの少年は……危険すぎる」

「あ! ルウミラ様、お戻りになられたようで」


 一羽の鳥が魔道士のところまで飛んできた。


「ホルスか。今頃戻ってくるとはな、どこに行ってた?」

「うぅ、そのちょっとトイレに。あの……決してケツァルコアトルが怖くて、ビビッて隠れていたわけじゃないですよ。本当ですよ、信じてください」

「……まぁいい。それよりもうここには用はない、いくぞ」

「え? 彼らと会わないんですか?」

「すでに奴らの戦いぶりは見せてもらった。それに置き土産もある、いやでも私に会いに来るだろう」

「そうなんですか……それはそうと、ケツァルコアトルはこのまま放置してもいいんですか?」


 ルウミラがケツァルコアトルの死体に向かい、杖をかざした。


「角とコアが奪われた以上、コイツの体に価値はない。〈エバポレーション〉!」


 魔法を唱えると杖の先端から黒い靄が出現しだした。次第に靄は死体全体を覆い、跡形もなくケツァルコアトルは消滅した。


「では戻るぞ。明日は恐らく忙しくなる、お前はディエゴの店に戻っていろ。念のためだが、私のことは……」

「お任せください。決して喋ったりはしませぬ。決してあなたのことは誰にも話しませぬ!」

「……それがわかっているならいい」


 だがルウミラは不安だった。自分がかけた〈契約魔法〉の効果が切れつつあるのを感じていた。


(エイダはうすうす感づいているだろう。まぁいいか、最悪私に気付いてもエイダは私に劣る。問題なのはあの少年だ。どうやって始末すべきか)


「あ! それよりカルロス達はどうしましょう? さっきあの二人、古代遺跡から出ていきましたけど」

「あの二人にもう用はない。ケツァルコアトルを誘き出すための囮にすぎなかったからな。別に殺せとは命令されていない」

「そうですか。でもなんというか、仮にもランクAの戦士だし、利用価値はありそうな」

「笑わせるな。あの程度の実力の戦士など帝国にいくらでもいる。利用価値など……いやあるか?」


 ルウミラはふと考え込んだ。そしてカバンの中から、黒色の小ぶりの石を数個取り出した。


「ま、まさか……ルウミラ様!?」

「ふふふ、ちょうどよい。まだ未完成だが、彼らには実験体になってもらおう」

第八十八話ご覧いただきありがとうございます。


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