第八十七話 遺跡の地下に畑が!?
商人の名前をジョージから『ディエゴ』に変えます 2/7追記
エイダが急にムキになって怒り出した。この反応からするに、バティスタとはかなり仲がよかったのかな。
いや仲がよかったというより、もしかして。俺は変な想像をしてしまった。
「そ、そんなことより……こいつの戦利品をいただきましょ! そしてギルドに報告よ!」
「あぁ、わかったよ」
パメラが俺にこっそり耳打ちしてきた。
「昔付き合ってたらしいわ」
やっぱりか。エイダの好みはわからないな。
「ロバート! こいつの角をいただくんでしょ!?」
エイダが呼びかけた。
「わかってるよ。ちょっと待っててくれ」
俺は巨大なケツァルコアトルの頭部の角の隣に立った。体自体がでかいから、角も巨大だ。俺の背丈よりも長い。
「よし……行くよ! あ、みんな念のため下がってて、多分放電がヤバい」
「え、放電って?」
コスモソードを両手で構え、剣先を角の根元に向けた。俺の攻撃力の高さなら問題ない。ただその後に来る放電が厄介なんだ。
「もう少し下がってて、壁際くらい……よし、それでいいぞ! みんな目を瞑ってて!」
エイダとパメラに忠告し、俺は思い切って剣を振り下ろした。角は問題なく根元部分から斬り落とされた。その時だ。
ドォオオオオオン!!
爆発音とともに、強烈な光も発せられた。俺もとっさに目を閉じた。予想通りだな。
「ちょ? なに今の!?」
「稲妻? そいつ死んだんじゃないの?」
「違うよ。さっきも言ったけどこれが放電さ。一種のトラップみたいなものさ」
「トラップって」
「トラップじゃないかもしれないけど……角から稲妻を放ってただろ? その角がなくなったことで、一気にこいつの体内に溜まっていた電気が全て放出されたんだ」
俺は自分なりの考えを述べた。まぁ当たっているのかどうかはわからない。だけど前世では角を手に入れようとして、このトラップに引っかかったプレイヤーは数知れない。俺もその一人だったからな。
「なんだかよくわかんないけど、角は無事に手に入ったってことでいいのよね?」
「そうだね。こいつはデカいけど、俺のアイテムボックスなら問題ない。よいしょっと!」
俺は両手で角を抱えてアイテムボックス内に入れた。角はかなり大きく重たいが、攻撃力が増えたせいで俺の腕力も上がり、軽々と持ち上げられた。
「本当、便利よね。それ……」
「よし。これで角はオーケーだ。せっかく討伐したんだ、ほかにもこいつの体から戦利品を奪っておこう。牙とか目玉、体毛、どれもこれも一級品の素材だからね」
「全部取引したら、いくらの値がつくのかしら。楽しみね」
俺達は早速ケツァルコアトルの体のあちこちを捌き始めた。だけどエイダはふと手を止めた。
「エイダ? どうしたんだ?」
「なんというか……こんなことしてる場合じゃなかったする。私達元々なんでここに来たんだっけ?」
「何言ってんだ? ケツァルコアトルを倒すために来たんじゃないか。そしてその目的はもう達成されたんだ、あとは戦利品を調達するだけさ」
「そうなんだけど、もっとほかに大事な目的があったような……」
「……あぁ、そうだ! 思い出したわ!」
パメラが大声を出した。
「何を思い出したんだ?」
「忘れたの? 商人のディエゴを探しに来たんでしょ!?」
「ディエゴ……あぁ、そうか!?」
ケツァルコアトルとの戦闘で完全に忘れていた。そうだった、元々はディエゴを探すためにここに来たんだ。
「こいつの戦利品は後回しよ。とにかくディエゴをまず探しましょ、ホルスが言ってたけど確か中央広場の近くにいるって……」
「そういえばホルスはどこに行ったんだ? まさか本当に逃げちゃったのか?」
「エイダ、〈サーチ〉で居所はわかる?」
「ちょっと待って……駄目ね、いないわ。恐らく、もう遺跡の外ね」
「なんてこと、ご主人を置いて本当に逃亡しちゃうだなんて」
「まぁ、さすがのホルスもこんなヤバい奴が出てきたんじゃしょうがないじゃないか。それよりホルスはもうあてにできないから、エイダの〈サーチ〉でディエゴを探すしかないか」
エイダは左手の人差し指を地面に差した。
「もしかしてもう見つけた?」
「赤い点が私達と重なって表示されている。多分彼は地下ね」
「地下ってことは、どこかに降りる階段があるはずだな。探そう」
「そういえば、ホルスも気になるけどカルロスも気になるわね。さっきバティスタの技をもろに喰らって、かなり吹き飛ばされたけど……」
「あんな奴のこと心配したってしょうがないでしょ。本当ろくでもない男だったわ、やっぱり別れて正解だった。ロバート、今度絡まれたら私が痛い目に遭わせてやるから安心して」
「あ、あぁ……」
エイダもきついことを言うもんだ。確かにカルロスは心配してもしょうがないな。これからまた出会うようなことが会ったら、あいつはどんな形で俺達に接するんだろうか。
そんなことを気にしながら探索をしていたら、すぐに地下への階段を見つけた。
そこを降り続けると、広大な石造りの空間に出た。なぜか地下だというのに異様に明るく、植物の匂いで満たされていることに気付いた。
「見て、あれ!」
パメラが気づいて指差した先を見ると、なんと植物の木々が生い茂っていた。地下の空間の中央に植物園とはどういうことだ。だけど俺は思い出した。
「そうか……これは畑か! 黒曜豆の苗木を植えてあるのか」
「木々の枝の先に赤い豆があるわ。これが黒曜豆なの?」
「収穫前の状態だね。収穫してしばらくしたら黒くなるんだ」
そして俺は気づいた。畑の周りを長方形で囲むように細い溝が走っていた。その溝に水が入っている。恐らく地下水なんだろうが、この地下水のおかげで苗木が育っているわけか。
だけと植物の成長には水だけじゃまだ足りないはずだ。
「不思議ね……地下水はあるけど、太陽の光も当たらないこんな地下で畑が育つなんて、あり得るのかしら?」
「原因がわかったわ」
エイダが突然口を挟んだ。何かを見つけたのか、地面の下を向いている。
「何か見つけたのか?」
「あれ見て」
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