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第八話 まずはレベル上げだ!

 女神がこの池から出てくること、そしてぶっ壊れ武器を最初にプレゼントしてくれることは知っていた。実はこのイベント、最初の〈開花の儀〉で炎が二つしか与えられなかったプレイヤーだけが遂行可能なのだ。しかもソーニャの町に訪れる前にしか発生しない。


 炎が二つしか与えられなかったランクDのキャラクターは、今後のステータスの伸びが著しく低くなる。つまり通常プレイで難易度に差が拡がらないよう、開発側が意図的に仕組んだ救済処置だ。


 もっともこのイベントが発見されたのも、ゲームがリリースされてから三か月以上経過されてからとなる。


 大外れとされていたランクDだが、このイベントが発見されて以降は評価が逆転した。それ以降は、それまでとは対照的に、炎の数が二つになるまでリセットをするプレイヤーが続出した。


 理由は何といっても〈コスモソード〉狙いだ。この武器は通常プレイでも入手可能だが、ハッキリ言って入手方法が鬼のような難易度なのだ。


 終盤にならないと、その素材となるアイテムが手に入らないうえ、その素材はとんでもなく高レベルな凶悪モンスターを倒した後でしか手に入らない戦利品ばかり。鍛え上げたプレイヤーがパーティーを組んで挑んでも、全滅するのは珍しくない。


 だがその分手に入れた時のメリットは大きい。いや大きすぎる。ハッキリ言ってバランスブレーカーだ。この武器一つで、高難関のクエストやレイドボスをソロでクリアすることも夢じゃない。


 もっともそのためにはレベルを上げないと話にならないんだけどね。というわけで、早速レベル上げ開始だ。


 アイテムボックス内で〈コスモソード〉の項目を選択し、「装備しますか?」の質問に「はい」と答えた。やはりこうしないと正式に装備したことにならないようだ。


 これで準備は万端、しかし今の俺はレベル1だから、いくら最強の武器を手に入れたところで、状況が悪いことに変わりはない。調子に乗ったらすぐ瞬殺される。


 そうならないためにも、確実に勝てるモンスターに遭遇しないとな。〈ロード・オブ・フロンティア〉も他のRPGと同様、モンスターを倒して得られる経験値が一定の値まで貯まれば、レベルが上がるシステムだ。


「お! いたいた」


 早速俺の目の前に、カモが現れた。出現したのは、さっきも俺の目の前に出現したホーンリザードだ。さっきはほぼ空手に等しい俺だったが、今の俺にはバランスブレイカーの武器がある。


 そのぶっ壊れ性能、いかんなく発揮してくれよ。


「悪いが、俺の経験値の糧になってもらうぞ」


 ホーンリザードも俺の姿を確認した。


「シャアアアアアアアア!!」


 殺気を剥き出しにし甲高い鳴き声を出しながら、額から突き出る鋭い角を俺に向けたまま突進してきた。あまりの迫力に俺は思わず気おされそうになった。


 気おされそうになったのは俺のステータスのせいだ。対峙するモンスターのステータス総合値より自分のステータス総合値が低いと、怯んでしまう特性がある。


 しかしここで怯んでは駄目だ。俺はまだレベル1、一撃でも喰らうわけにはいかない。ゲームをプレイしていた時と同じ感覚で集中だ。


「怖くはない。行け、はぁあ!」


 俺はコスモソードを両手に持ち、地面と水平方向に勢いよく振り払った。ホーンリザードの体はその後綺麗に真っ二つになった。


 地面に落ちたホーンリザードの体を見た。血を大量に流しながらピクリとも動かない。なんてリアルなんだ。


「うっ、おえ……」


 反射的に俺は目を逸らした。グロテスク映画やホラー映画は好きだが、実際にこの目で野生動物の死体を見たのは、実は前世でもなかった気がする。しかもその生き物を自分の手で殺したなら、本来なら正気でいられるはずがない。


 だが忘れてはいけない。ここは〈ロード・オブ・フロンティア〉の世界だ。野生のモンスターは、平気で俺達人間を殺しにかかる。


 せっかく転生して第二の人生が始まったんだ。こんなところで終わるわけにはいかない。かといって、レベル1のまま放浪するわけにはいかない。だから俺はひたすらモンスターを倒して、経験値を貯めレベルを上げていくしかないんだ。


 ババーン!


「今の音は?」


 一瞬耳元で大きな音が響いた。そしてどこからともなく、俺の目の前にいつもの長方形のメッセージボックスが出現した。枠内には「レベルが2に上がりました!」と書かれていた。


 今のはレベルが上がった瞬間の音だ。前世で嫌と言うほど聞いたな。同時に俺のステータスも表示された。


――――――――――――――――――――

ロバート・ヒューリック (貴族)

ランク:D

レベル:2

HP:20/20

MP:0/0


攻撃力:2

体力:2

防御:0

素早さ:0

器用さ:0

魔力:0

跳躍:0

魔法防御力:0

状態異常耐性:0


割り振り値:2

――――――――――――――――――――


 レベル2になっても俺のステータスとランクは変わらない。でも俺は驚かない。


 実はレベルアップと同時に、一番下に表示された割り振り値が重要となる。この割り振り値とは、レベルアップ時に付与される数字で、任意のステータスの項目に自分の好きなように割り振ることができる。


 〈ロード・オブ・フロンティア〉ではこのように、レベルアップ時に得られる割り振り値を好きなステータス値に割り振ることで好きなようにステータスをカスタマイズできるのが特徴だ。


 レベル2になって俺に割り振られた値は2だった。この数値も俺は知っていた。なんとこの割り振り値も、実は簡単に計算する法則があるのだ。

第八話ご覧いただきありがとうございます。次回はレベルとステータスの相関について、細かい説明の回となります。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いと思います。 [気になる点] 素早さが0でも普通に戦えている。 [一言] ステータスが上がっています。
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