第七十六話 古代遺跡に七つ星モンスター出現!?
パメラが小声で俺に声をかけた。
「もしかしてさ、例の貴婦人の人じゃないかしら?」
「あぁ、その可能性はあるね。だとしたら、その人はかなりすごい魔道士なんじゃないか?」
「そうね。ただの貴婦人じゃなさそう、一体何者なの?」
なんだか話がややこしいことになってきた。話をもとに戻すか。
「今は深く考えても仕方ないじゃないか。それより薬屋に行って、回復薬を購入しておこう。ホルスも待っていることだし」
「そ、そうだったわね。ごめんなさい、私が変なこと言い出したりして」
「薬屋はあっちにあったわよ。そういえばロバートが大量に回復薬を持っていたわね」
「そうさ。だから魔力回復薬を補給しておこう。ほかにも状態異常を治療する薬が必要だな」
俺達は薬屋に向かった。そこには回復薬と魔力回復薬、あとは毒治療薬も大量に置かれていた。
俺は魔法が使えないが、魔道士のエイダのためにも魔力回復薬は大量に必要だ。魔力回復薬は金貨一枚で十個は買える。
アリゲーターベア討伐報酬分とアナコンダの討伐報酬分も合わせると、金貨は150枚以上、これだけあれば所持数がカンストしてしまう。
本来なら持てる限り買いたいところだが、そうはいかなかった。
「すみません。在庫はこれだけで……」
「え? たった五個?」
「えぇ、なにせ小さな村ですから」
店主らしき人物が申し訳なさそうな顔をして言った。店に置かれていた魔力回復薬は、在庫も含めてたった五個。
そうだった。ゲームの中じゃないから、在庫という概念があるんだ。うっかりしてたな。
「在庫がないんじゃしょうがないわね。それ全部ちょうだい」
「あと毒治療薬も必要だわ、それと麻痺治療薬、眠気覚ましも欲しいわね」
エイダが追加で注文してきた。しかし毒治療薬、麻痺治療薬、眠気覚ましも二個ずつしかないとのこと。
「ちょっと待って、これじゃ少なすぎじゃない!」
「そんなこと言われましても、最近仕入れが滞っておりまして」
「しょうがないな。よし、それだけで我慢しよう。パメラとエイダの分さえ確保すれば十分だ、俺は必要ないから」
「ロバート、本当に大丈夫なの?」
「何言ってんだい。俺の状態異常耐性見ただろ、20万超えてるんだから!」
俺の言葉を、パメラはポカンとした顔で聞いていた。
「えぇと……ごめん今なんて?」
「あれ、パメラ俺のステータス見てないんだっけ?」
「見てないわ。エイダ、本当なの?」
そういえば思い出した。パメラもエイダも俺のステータスを見てないはずだ。
「私は見たわ。〈鑑定石〉持っているんなら、使ったら?」
「ロバート、ちょっと覗くわよ」
パメラが〈鑑定石〉を右手に俺に向けてかざした。だけどエイダの言葉に俺は引っかかった。
「エイダ、俺のステータス覗いたのか?」
「何言ってんのよ、昨日見せてくれ……」
その時エイダがハッとした顔をした。
「あ! ご、ごめんなさい! 私も見てなかったわ、本当に20万もあるの!?」
「そうか……ならいいんだが」
エイダの素振りは妙だ。俺のステータスを知っているのか、知らないのか。でも俺は昨日エイダにステータスを見せた記憶はない。
だけど彼女のことだ。俺が気づかない間にこっそり〈アプレイザル〉を唱えて見てたんだろうな、全く抜け目ない女性だ。
「こ、これって!?」
パメラが俺のステータスを見て驚愕した。
「どうだい、パメラ。俺のステータスは!?」
「本当に……状態異常耐性が20万以上? 一体どうなってんの……」
「はは、いやぁ自分でも驚きだよ。バグっていうのは怖いね」
俺はとぼけた顔で言って見せた。まぁバグじゃないんだけね。俺が前世でテストプレイヤー時代に意図的に仕組んだ指数関数の式に従っているだけだ。
「……本当、異常よね」
エイダがボソッと呟いた。
「え? どうしたの、エイダ?」
「なんでもないわ。それより準備はこれくらいにして、ホルスのところに行きましょ」
エイダが薬屋を出て行った。エイダの今の反応、ちょっと気になるな。何か知っているのか。
いや、深く考えるのはよそう。俺もパメラも外に出た。
「あ、ロバートさん! ここにいたんですか!?」
その時、女の子の声が遠くから聞こえた。
「あれ、ノーラじゃないか? なんでこんな場所に?」
「よかった。まだ行ってなかったんですね、すごく大事な話があるんです!」
「大事な話? もしかしてジョージのことか?」
「ジョージ? いえ、そうじゃなくて北の古代遺跡に出たモンスターのことですよ」
「北の古代遺跡……私達もそこに行くところよ」
「本当ですか!? じゃあ、やはりあなた方も……討伐に行くんですか?」
「討伐というか、人探しかな。もしかしてギルドで討伐依頼が出たのか?」
「はい、ついさっきソーニャの町のギルドへ行ってきた村長の知り合いから報告があったんです。その人が持っていた依頼書の写しがあります」
ノーラが右手を差し出した。持っていた依頼書の中央部にでかでかと描かれていたのは、巨大な鳥だ。
だけどただの巨大な鳥じゃない。嘴が異様に尖っている。そし頭部には巨大な一本の角が生えている。
俺はこの見た目に覚えがあった。前世で何度も戦った凶悪なレイドボスだ。
「こいつは……ケツァルコアトルか!」
「ケツァルコアトル!? 本当にあの巨雷鳥ケツァルコアトルなの!?」
「はい、村長の知り合いも大きな声で言っていました。七つ星ランクで、ギルドでも騒然となっていたそうです」
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