第六十九話 村長の屋敷で手に入る超重要アイテムとは!?
南の鍾乳洞でコルネ村の村長を助け出し、俺達は無事にコルネ村まで村長を帰還させた。時刻はすっかり日が暮れていた。コルネ村の村民達も村長と、その子供達の安否が気になっていたようで、
救出した俺達は皆から感謝された。
もちろんアナコンダという強敵を倒したことで、村長は快く俺達に報酬をくれた。依頼者本人である村長が俺達を屋敷に招き入れ、ご馳走を用意してくれた。そしてその後、地下にあった金庫を開け、中に保管していた金貨百枚を俺達に差し出した。
パメラはあまりの大量の金貨の枚数に目の色を変え、しばらく何も言えなかった。一方エイダは喜びながらも、すぐに不満を露わにした。タダで人助けをさせられたことに、納得がいかないようだ。
全員が聞こえない場所で、エイダは俺に耳打ちした。
「ロバート、やっぱり追加で報酬をもらうべきよ。アナコンダの討伐報酬はいいとしても、鍾乳洞の奥深くまで行って村長を助けたことは別件よ。ここは金貨三枚当たりで……」
「おいおい、なにもそこまで要求しなくても。それにうまい料理も提供してくれたじゃないか……」
「何言ってんの? 睡眠の罠まで仕掛けられていたのを忘れたの? あやうく死にかけるところだったんだから!」
「あの、二人とも、ちょっといいですか?」
ノーラが俺達二人に話しかけてきた。見ると、なんと金貨が数枚入った小袋を差し出した。
「これは!? ノーラ、この金貨は一体なんだ? もう報酬はもらったぞ?」
「お二人の言いたいことはわかります。やはり村長を危ない連中から助けてくれたわけですから、その分の報酬も渡さないといけないと思いまして。お父さんには黙ってください、これはへそくりです」
「あ、あら……あなた、そんなに無理をしなくてもいいのよ……なんというか、そりゃ嬉しいけど別にあなたが出す必要はないわ。私はあくまで村長本人に……」
ノーラが唐突に誠意を見せたから、さすがのエイダも戸惑ったな。
「エイダさん、あなたの声聞こえてました。全て私の責任ですから、私が誠意を見せないと」
「ノーラ……」
なんて健気な少女なんだ。差し出した金貨の枚数は十枚くらいはありそうだ。彼女の気持ちは、だけどこればかりは頂けない。
「ノーラ、ありがとう。君のその誠意だけ受け止めておくよ」
「は? ちょっと、ロバート! どういうこと?」
「エイダ、やはり冷静に考えてがめつすぎだよ。こんなにもらうわけにはいかない」
「な、何言ってんのよ? あなたこそノーラの誠意を無駄にするつもりなの?」
「ロバートさん? 遠慮せず受け取ってください、そうしないと私の気持ちが……」
だが俺は右手でノーラが差し出した金貨の袋を引っ込めた。
「勘違いするなよ、俺は報酬はいらないとは言っていない。実はね、これ以外に欲しいものがあるんだ」
「金貨以外にですか?」
俺の突然の言葉に、ノーラもエイダも戸惑った。
「何言ってんの? 金貨以外に欲しい報酬?」
「そうさ、正直言うと金貨以上に価値があるものさ」
「え? 金貨以上の価値がある報酬とか、そんなものあるわけが……」
「ノーラ。俺が欲しいのはね、あれなんだ」
俺はノーラの背後にあるものを指差した。
「何あれ? 枯れ木?」
部屋の隅っこに置かれていた鉢植えに、大人の背丈ほどの枯れ木があった。太い幹に枝が何本もくっついた、ただの枯れ木のように見える。
一見するとなんの価値もなさそうな物だが、実はそうじゃない。ここも俺の前世の知識が生きる、というかコルネ村という単語で思い出した。とても重要なアイテムが手に入る場所だったんだ。
「あの枯れ木の枝が欲しい。俺はそれで十分だ」
「はぁ!? あんな枯れ木の枝が欲しいだなんて、あなた正気なの?」
エイダが俺に突っかかった。さすがのエイダもあの枯れ木の本当の意味を知らないだろうから、驚くのは無理もないか。
「俺を信じてくれよ。なぁノーラ、駄目かな?」
「いえ、私は別にいいんですが……お父さんが何て言うか」
「わかった。村長に直談判してみよう」
俺は村長に枯れ木の枝が欲しいことを告げた。村長は俺の頼みをあっさり受け入れたけど、やっぱりノーラと同じ反応みたいだ。
「あの枯れ木の枝が欲しいなんて、一体どうして? なんの価値もないと思うが……」
「それは……なんというかな、俺は枝を集めるのが趣味なんだ」
苦しい言い訳だけど、ほかに思いつかなかった。
「そうか。あの鉢植えは元々旅の魔道士からもらったものでね、最初こそ立派な樹が育っていたんだが、いつの間にか枯れてしまった。旅の魔道士が言うには、大切に保管してくれって頼まれていたんだ。まさか君が欲しいというなんてな」
「へぇ、そうなんだ」
俺は枯れ木の枝を一本拝借した。すると目の前に例のごとく、長方形のメッセージボックスが表示された。
『「覇王樹の枝」を入手しました!』
これだ。やっぱり間違いない、俺が欲しかったアイテムだ。枯れ木には何本の枝がある。一本だけ取るのはもったいない、ここは思い切って頼んでみるか。
「村長、あと二、三本もらってもいいかな」
「はは、本当に変わり者だな。そんな枝が何本も欲しいだなんて。君が好きなだけ持っていくといい」
村長は太っ腹だ。それじゃ遠慮なく、あと十本ほどもらっておこう。
「ロバート、あなた一体……」
エイダは相変わらず俺の行為が理解できない。無理もない、こんな枯れ木の枝に価値があると思っているはずもない。
「あら、ロバート。何してるの?」
パメラも気になって俺に声をかけた。パメラなら知っているはずだから、エイダに聞こえないように説明しよう。
「喜んでくれ、例の枝を手に入れたんだ!」
「例の枝? なんの話?」
「朝ジョージの店でした話を思い出してくれよ。〈覇王の魂〉の生成さ」
「〈覇王の魂〉……はっ、まさかその枝が!?」
「そう、〈覇王樹の枝〉さ。こんな場所で手に入るだなんて、予想外だろ?」
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