第六十八話 最強の助っ人魔道士登場!?
気品の整った女性の見た目と、礼儀の良さからカルロスとバティスタは無意識に姿勢がこわばった。
「よ、よろしく。アメリア……さん」
「ふふ、怖がらなくても大丈夫ですよ、カルロス・アルフォンゾさん。それにバティスタ・イゴールさん」
「え? 俺達の名前を知っているのか?」
「もちろんです。それに弓使いのパメラ・シュナイダー、魔道士のエイダ・ハルスウェア、四人ともこの町で一番有名なランクAの戦士ですからね」
「お前達、光栄に思え。キシア帝国の上流貴族に自分達のことが認知されているというのが、どれほど凄いことか」
「はぁ……そ、それよりさっきの話の続きだが……」
カルロスはバティスタから腕で小突かれた。小声で「口調」と注意された。
「あぁ、その……話の続きですが、パメラとエイダの行方をご存じなんでしょうか?」
「えぇ、もちろんです。あの二人の女性は、アナコンダを討伐するため南の鍾乳洞へ向かいました」
アメリアと名乗る女性は落ち着いた口調で話す。
「ちょっと待ってください。それはさっき俺が言った内容と同じでは?」
「そうですね。でもちょっと違います。パメラさんとエイダさんの二人だけが向かいました」
「二人だけ? おい、カルロス。さっきの話と違うじゃないか?」
「いや……それは……」
カルロスは動揺した。バティスタに目を合わせるも、彼も何も言えないままたじろぐ。
「ふふ。カルロスさん、すぐにバレるような嘘をついてはいけませんよ。私は何もかも知っています、あなた方二人はそもそもこの町から出ていませんよね?」
「な!? そんなことは……」
「お見通しです。では私から聞きますが、アナコンダの戦利品は持っていますか?」
「戦利品……?」
カルロスとバティスタは固まった。
「どうした、二人とも? まさか持っていないというのか?」
「……さっきも言いましたが、アナコンダのコアは持っていません。俺達が駆け付けた頃にはすでに倒されて……」
「コアの話なんかしていませんよ。アナコンダの戦利品とは体の部位です。あなたともあろう人が、まさかアナコンダの戦利品を何も取らず、おめおめと帰ってくることもないでしょう?」
「そ、それは……」
カルロスは完全に動揺した。
「アナコンダは七つ星のモンスター、鱗や皮、牙、体液など体の部位は貴重な素材で、高額で取引されます。もちろんご存じですよね?」
「…………」
何も言い返そうとしないカルロスとバティスタを見て、ジョニーも確信した。
「そうか。もういいカルロス、どうして嘘をついたのか、あとで詳しく聞かせてもらおう。アメリア令嬢、私の目も節穴でした。カルロスの話を真に受けてしまうだなんて」
「大丈夫ですよ。それより二人を説教する前に、大事なお話があるんですよね、ジョニーさん?」
「あぁ、そうでした。二人とも、さっきも言ったがお前達に大事な話があるんだ。とにかく食事にしよう、アメリア令嬢もどうぞお座りください」
「私はこのままで構いません。この宿の食事は私の口に合わないようですから」
アメリアはスタッフを見た。スタッフは動揺を隠せない。
「ふふ、冗談ですわ。私もあなた方のような戦士が、どういった食事をたしなんでいるか気になります。少しだけ味わってみましょう」
「ありがたきお言葉、それでは遠慮なく召し上がりください!」
ジョニーはほっと胸をなでおろした。
(冗談であっても言ってほしくない言葉だ。公爵令嬢の口に合わない食事を提供したと知られたら、どんな目に合うことやら……)
カルロスとバティスタ、アメリア、そしてジョニーが同じテーブルを囲んで座った。
「ジョニーさん、大事な話とは一体何でしょうか?」
落ち込んでいるカルロスの代わりに、バティスタが口を開いた。
「単刀直入にいうと、また討伐を依頼したい。今度もヤバい奴だ、これを見てくれ」
ジョニーはテーブルの上に一枚の紙を出した。ギルドで発行された討伐依頼書だ。その紙の中央部に描かれた巨大な鳥らしきモンスターの絵を見て、それまで落ち込んでいたカルロスも目の色を変えた。
「ま、まさか……そいつは!?」
「巨雷鳥ケツァルコアトル。これまでも目撃情報はあったが、正式に依頼が出された。場所は北の古代遺跡、その中央広場周辺だ。報酬は金貨二百枚だ」
「金貨二百枚!?」
「そうだ、アナコンダの二倍だ。引き受けてくれるな?」
ジョニーが二人の顔を見た。カルロスとバティスタは顔がこわばっていた。本来断る理由もないが、あまりの唐突の強敵の依頼に心の整理が追いつかなかった。
だがジョニーも二人の心中を察した。
「そうか、すまなかった。パメラとエイダの二人がいない以上、やはりお前達に依頼するべきではなかったか」
「いや、そんなことは……」
「ふふふ。ご心配なさらず、二人とも」
アメリアが口を挟んだ。
「実は私に考えがあります。今回のケツァルコアトル討伐、お二人のお供として強力な助っ人を用意しておりますのよ」
「強力な助っ人!?」
アメリアは右手を食堂の入口に向けた。するとそこにはいつの間にか、見知らぬ人物が立っていた。フードを被り、口元もマスクで隠している、手には身の丈より長い杖を持っていた。
「魔道士……ですか?」
「えぇ、彼女の名前はルウミラ。ランクSの魔道士です」
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