第六十六話 アナコンダを倒した戦士の噂
後半部分は久しぶりにカルロスが登場します。
入ってきたのはパメラだけじゃなかった。エイダ、ノーラ、エディの四人だった。結局全員俺のあとを追いかけていたのか。
「あなたが心配になって全員で助けに来たところよ。だけど、その必要もなかったみたいね」
エイダが部屋中に転がっているアイアンバットの死体の山を見て言った。
「うわ、凄い数! これ全部にいちゃんが倒したのか!?」
「そ、そうだよ。まぁ、大した強さじゃないからね。アナコンダより全然楽さ」
「お父さん!」
ノーラが突然叫んで、村長の方へ向かった。
「おお、ノーラ。無事だったか?」
「お父さん、よかった。本当に……本当に……」
「ノーラ、泣くな。お父さんこそすまなかった。心配かけさせて……」
「ごほん。お二人さん、感動の対面のところ悪いんだけど、まだ仲間がいるかもしれないでしょ?」
感動の親子の再会だが、エイダが釘をさす言葉を投げかけた。
「心配ないよ。村長をさらった奴らはもういないさ」
「もういないって……まさか倒したの?」
「その少年の言う通りだ。私が閉じ込められているこの部屋も鍵がかかっていたが、奴ら鍵を閉めることすら忘れて、慌てて逃げ出したよ」
村長はそういうと、背後にある開いたままのドアを指差した。これにて一件落着かな。
太陽が西へ沈みかけたその頃、ソーニャの町にて二人の女性戦士を探す男達がいた。一人は槍を持った戦士、もう一人は大柄で大戦斧を背中に携えた戦士だ。
「カルロス、見つかったか?」
「駄目だ、どこにもいねぇ。バティスタはどうだ?」
「念のため、エイダが最初に行った宿をもう一回当たってみたが、やっぱり戻ってきてないんだとよ」
「そうか。パメラの方は?」
「同じだ。二人が一緒にいたという目撃情報ならあったが……」
「くそ、こんな時に! 二人して一体どこに姿をくらましたっていうんだ?」
カルロスは頭を掻いた。エイダとパメラを探し出して数時間が経った。すると突然腹の虫が鳴った。
「……いい加減何か食べないか?」
「そうだな。仕方ない、今日はもう日が暮れる。アナコンダの件はまた明日だ、宿に戻るぞ!」
カルロスとバティスタは捜索をあきらめ、宿へ戻り始めた。その途中、彼らの耳にが入ってきた。
「おい、聞いたか? あの話?」
「あの話って?」
「知らねぇのかよ? アナコンダだ。七つ星ランクのアナコンダが、南の鍾乳洞の周辺で出たって話!」
「あぁ、その話か。なんでそんな強い奴が突然出てきたか知らねぇが、さすがに今回ばかりは相手が悪いぜ。誰も退治できねぇんじゃねぇのか?」
「ところがどっこい。そうじゃねぇんだ、もう倒されたって話だぜ!」
カルロスはそれを聞いた途端、足を止めた。
「おい、バティスタ……」
「俺は何も知らないぞ、どうする?」
「隠れるぞ」
カルロス達は物陰に隠れ、その男達の会話を盗み聞くことにした。
「倒されただって? 七つ星ランクだぞ? 一体どこの誰が、いやどんなパーティーだ?」
「さぁな、だけど近くを通りかかった戦士が、アナコンダの頭部のない死骸が転がっていたとは言っていたな。あと、コアもすでに取り出されていたようだ」
「マジか……ますます気になるな、一体どんな奴らだ?」
「いやいや、考えられるのはあいつらしかいないぜ。ギルド『三日月の誓い』のギルドマスターが推す最強の四人パーティーさ」
「ランクAの四戦士、弓使いのパメラと魔道士のエイダ、槍使いのカルロス、重戦士のバティスタか」
「あの四人が揃って戦っているところなんか見たことないぜ。さぞかしすげぇ戦いぶりだったんだろうな」
カルロスはバティスタと目を合わせる。
「……だってよ。どうする、バティスタ?」
「まずいな、一体どこの誰が倒したか知らねぇが、このままじゃ俺達が討伐したことになっている。アナコンダのコアも持っていないのに」
「エイダの仕業だ。あの女、俺の知らないところで誰か別の奴とパーティーを組みやがったな。ふざけやがって!」
「嘘だろ? 俺たち以外でランクAの戦士がいたか、この島に?」
「一人はパメラだろう。あの女もいないことを考えると、エイダと組んでアナコンダ討伐に向かった」
「待て待て。それでも二人だけだ、いくらなんでも無理があるぞ。あと二、三人は連れて行かないと……」
「そうだな。確かに、あと何人かは必要だが……」
ここでカルロスは考えた。実はカルロスには心当たりがあった。
昨日の苦い記憶がよみがえる。ギルドで行われた決闘で、ランクAの自分をいとも簡単に倒した、貴族の子供のことを。
「……いや、そんなはずはないか。さすがにそれは……」
「どうした、カルロス? 心当たりでもあるのか?」
「気にすんな。それより腹が減った、気分も悪い。いい加減宿に戻るぞ」
カルロスは嫌な気分を払いのけ、腹ごしらえのため宿に向かって、歩み始めた。
「それにしても予想外な展開だ。まさか本当にアナコンダを倒されるとはな、俺達の知らないところで。エイダが組んだという戦士、興味があるな。一度会ってみたい」
バティスタが感心したように言ったが、カルロスはなんの返事もしない。明らかに不機嫌な表情を見せた。
「おい、カルロス。さっきからどうしたんだ?」
「なんでもねぇよ! 腹が減っているだけだ。バティスタもそいつのことを口に出すな!」
カルロスの異様な腹立ちにバティスタも察した。
「お前、その戦士に心当たりがあるな?」
「な? 馬鹿言うな、なんでそんな……」
「お前のその反応見ればわかる。エイダとパメラが組んだ戦士は、お前も知っている奴だな。そうじゃないと、そこまで腹を立てたりしないだろ?」
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