第四十八話 間一髪の撃破
投稿が一日空いてしまい申し訳ございません。次回の投稿も未定です。
エイダの言葉にパメラはゾッとした。嫌な予感が拭えない。
「嘘でしょ……そんなのって……」
その時、ゴーンという轟音が鳴り響いた。なんとパメラ達のいる場所まで、岩の破片が降り注いできた。
「〈バリア〉!」
エイダが咄嗟に詠唱した防御魔法によって、岩の破片の直撃は免れた。しかし安心したのも束の間、はるか前方に巨大なモンスターの姿を目撃した。
「そんな……あれは……」
「アナコンダ」
出てきたのは巨大な蛇だった。紛れもなく、パメラ達が討伐の目標としていたアナコンダの姿だ。
空まで伸びたアナコンダの姿はまるで巨大な塔に見えた。そして胴体には、パメラが放った矢が突き刺さっていた。ロープも一直線に張ったままだ。
アナコンダの鋭い眼光がパメラ達の姿を捉えた。
「きしゃあああああああああああああ!!」
「寝ていたところを起こしちゃったみたいね」
「まずいわ。まだロバートと合流していないのに」
「こうなりゃ、私達二人で……」
「〈リバースムーブ〉アンド〈スピードアップ〉!」
しかしエイダがパメラとは正反対の行動を取った。ロープを切断し、そのままアナコンダから遠ざかるように〈フローティングボード〉を移動させた。
「ちょっとエイダ? まさか逃げるつもり?」
「当たり前でしょ。私達二人じゃ勝ち目なんてないわ! あなたこそまさか本気で戦うつもりなの?」
「それは……ていうか、逃げ切れるの?」
「MP枯渇覚悟で全速力よ!」
その言葉通り〈フローティングボード〉は風を切るように移動していた。
「まさか、こんなにスピードが出るなんて! はっ、エイダ大丈夫?」
パメラがエイダの異変に気づいた。明らかに苦悶の表情を浮かべ、しゃがみこんでいる。
「だ、大丈夫……よ」
「大丈夫じゃないでしょ! MPを使いすぎてるのよ。ロープはないの? 私の〈スターライトアロー〉でさっきと同じように」
「危ない!」
ゴォオオオオオオオオオン!!
突如空から巨大な岩が、パメラ達の目の前に降ってきた。
エイダが止めたが遅かった。〈フローティングボード〉は岩に激突し、二人は吹き飛ばされた。
「いたた。エイダ、大丈夫?」
受け身を取ったパメラはすぐに立ち上がり、エイダのもとへと駆け寄った。エイダは地面に寝そべったまま動かない。
「大丈夫……じゃないかも」
「無理しちゃ駄目! 今の衝撃でHPが減っているはずよ。あとMPの回復も」
パメラがショルダーバッグから回復薬と魔力回復薬を取り出し、エイダに飲ませた。
「ありがとう。だいぶ回復したわ」
「それにしても、さっきの岩は何なの? 一体どこから降ってきて……」
「降ってきたんじゃない。投げたのよ、アイツが」
「投げた? 一体何の話しして……」
その時、二人は黒い影に包まれた。
パメラが振り返る。アナコンダが、すぐそこまで迫っていた。
「そんな、まさかアイツが……」
「頭もいいのね。簡単に逃してくれそうにないわ」
「どうするの、エイダ?」
「どうするって言われても、〈フローティングボード〉は大破したし……」
アナコンダの二人との距離が徐々に縮まってきていた。そしてパメラは意を決した。
「ちょっと、パメラ! 何をする気なの?」
パメラが敢然と弓を構えて、アナコンダに向けて矢を放った。アナコンダの胴体に二本目の矢が突き刺さる。
「ぎぃえええええええ!!」
「ロバートだって一人でアナコンダと戦おうとしているのよ。私達だけ逃げるなんてそんなことできない! 私は戦うわ」
「パメラ……ええい、わかったわ! 奴の弱点は炎よ」
「ありがとう、エイダ」
エイダも立ち上がった。自身が持っていた魔力回復薬も飲んで、MPを全回復させる。その間に、パメラは気を集中しアナコンダにまたも矢を向けていた。
「きしゃあああああああああ!!」
「〈フレイムアロー〉!」
巨大な口を開け、鋭く尖った牙を見せながらアナコンダがパメラに襲いかかった。その顔めがけてパメラは矢を放った。弓矢の中級スキル〈フレイムアロー〉、炎の矢を光速で放つスキルで、炎属性のモンスターには有効だ。
「ぎぃえええええ!!」
「的が大きいから当てやすいわ」
〈フレイムアロー〉が顔面に直撃し、アナコンダは悶え苦しんだ。その隙を着いてエイダが移動をはじめる。岩陰に隠れたエイダは目を閉じた。杖の先端のオーブをアナコンダに向けたまま、集中する。
「〈フレイムピラー〉!」
直後、オーブから細長い炎の柱が出現した。炎の柱はそのまま伸び、アナコンダの胴体に直撃する。
「ぐわああああああああ!!」
パメラの〈フレイムアロー〉、さらにエイダの〈フレイムピラー〉、弱点となる炎の属性攻撃を二回も浴びてアナコンダの体は炎に包まれる。アナコンダは悶え苦しみ、周囲にあった木々にも火が燃え移った。
「やった、これなら……」
エイダとの連携で大ダメージを与え、パメラは期待に胸を膨らませた。しかし直後、アナコンダは口を空に向け何かを吐き出した。
口から吐き出した奇妙な色の液体が、大量にアナコンダに降りかかる。アナコンダの体に燃え盛っていた炎が消えた。
「そんな……あいつ」
「今のは毒液? なんて奴なの、自分の体の炎を消すために吐くなんて」
「しゃああああああああああ!!」
「まずい! 今度はこっちに!」
怒り狂ったアナコンダは口を開けたまま、パメラ達を向いた。大量の毒液が口の中から飛び出し、パメラ達に降りかかる。
「危ない!」
「ファイアウォール!」
パメラは後ろに下がってかわし、エイダは炎のバリアで毒液を焼き尽くした。
パメラはエイダのそばへ駆け寄った。
「エイダ、大丈夫?」
「なんとかね。それにしてもアイツ、なんてタフさなの。相当ダメージを与えたと思うのに」
「諦めちゃ駄目! もう一度さっきと同じ連携で」
「……そうしたいけど、また毒液で消されるわ」
「しゃあああああああああ!!」
アナコンダの猛攻は止まらない。今度は自身の長い尻尾を空高くまで上げ、地面に叩きつけた。
ドォオオオオオンという地鳴りとともに地震が起こった。パメラ達は態勢を崩さざるをえない。
「なんてやつ! 今度は地震を起こすだなんて!」
「さすがは七つ星、一筋縄じゃないかないわね」
再びアナコンダが尻尾を地面に叩きつける。巨大な地鳴りが鳴り、地割れが起こった。
「このままじゃ動けない。どうすれば……」
「危ない、パメラ!」
その時、パメラの頭上に大きな岩石が降ってきた。エイダが咄嗟にパメラを弾き飛ばす。
「〈ウインドショット〉!」
落ちてきた岩石をエイダが攻撃魔法で防いだ。だがあまりにも大きすぎた岩石は、完全に粉砕できず、わずかに残った岩の破片がエイダの頭部に直撃した。そのままエイダは気を失い倒れた。
「エイダ! しっかりして! 死んじゃ駄目!」
パメラがエイダの体を揺さぶった。だがエイダは目を覚まさない。
「こんな……こんなことって……はっ!?」
振り返ったパメラはアナコンダと目があった。蛇に睨まれたカエルとはこのことだ。パメラは全く動けなくなった。
アナコンダはスキル〈威圧〉を使っていた。睨んだ人間や動物の動きを封じることができる。
パメラは後悔した。おとなしくエイダの言葉通り、逃げる選択肢を選べばよかったと。アナコンダの強さを甘く見すぎていた。
「ロバート、ごめんなさい……」
アナコンダは巨大な口を開けた。人間一人丸呑みにできるほどの大きな黒い入り口が見える。パメラは死を覚悟し、目を閉じた。
シュバァアアア!!
何かが斬れるような音がした。そして次はドーンという音が響いた。なにか大きなものが地面に落ちたに違いないと、パメラはふと目を開けた。
見ると自分の目の前の地面は血が大量に流れていた。だが自分のではない。そのすぐ隣に、巨大なアナコンダの頭部が転がっていた。アナコンダは目と口を開けたまま動かない。
パメラは目を疑った。誰かがアナコンダを倒した。アナコンダの首から下の部分も倒れると、その向こう側によく知っている少年が立っていた。
「パメラ、大丈夫か!?」
「ロバート!!」
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