第四十七話 三倍強化の〈スターライトアロー〉で超加速!
エイダのロバートに対する執念を見て、パメラは若干引いてしまった。自分こそロバートに惚れているんじゃないのだろうか。
「それよりこの〈フローティングボード〉さ、もっと飛ばせないの?」
「無茶言わないでよ。これ以上速度を上げたら、私のMPが枯渇するわ」
パメラ達はエイダが魔法で作り出した大きなの円形の板に乗っていた。その名も〈フローティングボード〉、地面から数十センチほど浮上し人間が走るよりも速いスピードで移動できる。
といっても、馬車程度の速度しか出ない。空を飛ぶ鳥よりは遅いので、ビッグイーグルに掴まって飛んで行ったロバートに追いつけるはずがない。
「速度を上げる方法がないわけではないわ」
突如エイダがパメラの顔を見ながら言った。
「本当? それがあるんなら早く言ってよ。どんな方法?」
「あるけど、パメラ。あなたの力が必要なのよ」
「なにそれ? どういうこと?」
エイダがパメラに何をすべきか説明した。
「……それ本気? ていうか本当にそんな方法で速度が上がるわけ?」
「もちろんよ。ほらロープならあるわ、長さは100メートルくらいあれば十分のはず」
エイダは束ねたローブを取り出し、その先端部分を〈フローティングボード〉の先頭にある突起部分に結びつけた。
そして今度はパメラが持っていた矢の本矧部分に、もう片方の先端部分を強く結びつけた。
「これでよし! あとはパメラあなた次第よ」
「〈エンハンス〉、忘れないでね」
「任せて。いい、全力で放つのよ!」
パメラが弓の弦に矢を当てて構えた。目を閉じて集中し気を高める。気を高めたパメラの髪が逆立つ。スキル〈集気法〉を使用している。全パラメーターを一瞬だけ1.5倍する効果がある。
「〈エンハンス〉!」
エイダが〈エンハンス〉を唱えた。〈エンハンス〉は指定した対象の人物の全能力値を2倍にできる強化魔法だ。
パメラのスキル〈集気法〉、そしてエイダの〈エンハンス〉もかかったのを確認して、パメラは目を開けて一心に矢を放った。
「〈スターライトアロー〉!」
パメラが放った矢は強烈な光を放ったまま、そのまま上空へ飛んで行った。一瞬のうちに空高くまで曲線を描きながら飛ぶと、直後パメラ達の乗った〈フローティングボード〉が急加速した。
あまりの加速にパメラ達は態勢を崩すも、かろうじて踏ん張った。見ると、先端に結んだロープは一直線に空まで伸びていた。
「ビンゴ! さすがパメラね、あなたの矢でここまでスピードが出るだなんて」
「私だってビックリよ。まさかこんなにうまく行くだなんて」
スキル〈スターライトアロー〉は弓使いの上級スキル、矢が光球のように巨大な弾道を描きながら飛んでいき、本来なら凶悪なモンスターを一撃で葬れるほど強力なスキルだ。
しかし今回彼女の〈スターライトアロー〉は、〈フローティングボード〉とロープで繋がれていた。
馬が車を引く馬車と同じ原理だ。〈スターライトアロー〉はパメラ達の〈フローティングボード〉を引っ張る馬の役割を果たしていた。
また〈スターライトアロー〉の威力と速度は、使用者の能力に依存する。今回パメラが事前に〈集気法〉、さらにエイダの〈エンハンス〉により実質三倍に上がった。
三倍強化の〈スターライトアロー〉の速度は伊達ではなかった。空を飛んでいたビッグイーグルもあっという間に追い越した。
「こりゃ最高ね! やっぱりあなたとパーティーを組んでよかったわ」
「そりゃどうも! だけどさ、問題なのはアナコンダでしょ? 勝算はあるの?」
「勝算? そんなものないわ」
「はぁ? 今なんて?」
エイダの思わぬ言葉にパメラは目を丸くする。
「だから、ロバート次第なのよ。私達二人だけじゃどう足掻いたって勝てないわ」
「そりゃそうかもしれないけど、ロバートを入れても三人よ。本当に三人だけで勝てるかどうか……」
「ふふふ、あなた。ロバートの実力まだ疑っているの?」
「そりゃ、確かに彼は強いわ。強すぎるって言ったほうがいいかもしれない、だけど今回はさすがに相手が……」
「それこそロバートを甘く見ている証拠よ。いい? 彼の凄さは強さだけじゃないってことよ!」
「強さだけじゃないって、どういう意味よ?」
エイダは確信を込めて話し始めた。
「これは私の勘だけどね。あの子が一人でアナコンダを倒すって言った時の彼の目、自信に満ちていたわ。彼は知っているかも、奴の強さを。もしかしたら私達以上に……」
「私達以上に? それどういうこと? もしかして戦ったことがあるとか……」
「そこまではわからない。いずれにしろ、一人で倒せる自信があるのは間違いないと思うわ。もしかしたら既に……」
エイダがそこまで言いかけたその時だ。
「うわあ!?」
「なに? 急に止まったわ?」
〈フローティングボード〉が急停止し、パメラ達は一気に態勢を崩した。
「ぎゃああああああああああああああああ!!」
直後、巨大な叫び声が聞こえた。人ではない。明らかにモンスターの咆哮だった。
「い、今の声は?」
「まさか……」
エイダが先端に結んでいたローブを掴んだ。ロープは一直線に張ったままだ。しかしエイダが強く引いても、ロープはうんともすんとも言わない。
「あなたの放った矢が何かに突き刺さったわ」
「なんですって? 一体何に?」
「多分、さっきの声の主よ……」
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