第四十二話 俺はソロでアナコンダを倒す!
エイダは目を見開いた。やはり彼女も俺の巨大なステータス値が嫌でもわかったようだ。特にHPは〈コスモソード〉の補正も加わって、60万を超えているからな。
しばらくして俺を取り囲んでいた魔法陣が全てオーブに吸収された。エイダはしばらく俺を見つめて無言のままだ。
そういえば今思い出したが、確か〈アプレイザル〉でのステータス看破は〈偽装〉スキルが適用されないんだっけ。ということは、エイダは間違いなく真実のステータスを見ていることになるな。
「どうだった? 彼のステータス凄いでしょ?」
「……あなた、もしかしてバグなの?」
「え、それは」
なんてことだ。エイダもバグについて知っていたのか。いや、よく考えればパメラもレミーも知っていたから、エイダが知っていてもおかしくないかも。
っていうことは、俺以外にもステータスがバグっている戦士がいるんだろうか。もしそうなら、会ってみたいものだ。
「さすがにあなたならわかるでしょ? ロバートのステータスの異常さが。これでも彼が弱いっていう?」
「そうね。確かに驚いたわ、アリゲーターベアを倒したっていうのも納得できた。よし、こうなったら決めたわ!」
「決めたって何を?」
「私もあなた達のパーティーに入れて! 全員でアナコンダを倒すのよ」
「なんだって!?」
予想外な言葉だ。まさかエイダは本気で言っているのか。
「なによ、もしかして不満? 言っておくけど私は魔道士よ、しかもランクA。戦力として不足はないはずよ」
「確かにあなたがいてくれたらありがたいけど、カルロスとバティスタはどうすんの?」
「そうね……あなた達がよければその二人も連れてこようかしら? 人数は多いほうがいいでしょ?」
「うーん……私は別に構わないけど、ロバートはどうする?」
エイダがとんでもない提案を投げ出した。まさか俺を入れた五人でパーティーを組もうというのか。
パーティーの人数が増える。戦力的に考えれば合理的だが、一つだけ問題がある。
「……一応聞くけど、討伐報酬は山分けになるのかな?」
「そりゃそうよ。何よ、文句でもあるの?」
「そうかい。それなら、悪いけど俺は一人で討伐に行くよ」
「そう言うと思った……って、えええ!? あなた本気で言ってんの!?」
エイダは信じられない顔で俺を見た。パメラも驚愕の顔を浮かべている。
「ちょっと、ロバート? 本気なの? いくら討伐報酬が減るからって、さすがに無鉄砲にもほどがあるわ。相手はアナコンダよ。アリゲーターベアとは次元が違う強さよ」
「パメラの言う通りよ。いい、あなたはまだ駆け出しの戦士だからこれだけは言っておくわ。目先の利益にとらわれた戦士は屍となって帰ってくる、ある戦士が言い残した言葉よ、今のあなたのピッタリだと思うわ」
何を言い出すかと思ったら、まさかのお説教タイムかよ。いや教訓を俺に叩き込むつもりかな。
だけどそんな教訓など今の俺には不要だ。これ以上彼女達と言い争っても仕方ないな。
「言われなくてもわかってるさ。だけど俺はそれでも一人がいいね」
「どうしてもなの?」
「どうしてもさ」
「ふぅ、そこまで言うなら仕方ないわね。いいわ、あなたの好きにしなさい」
エイダがついに諦めた。
「ちょっとエイダ? 本当にロバートを一人で行かせるつもり?」
「そうよ。この様子だと多分何言っても無駄よね、私達は私達でカルロスとバティスタの四人で討伐に行きましょう。じゃあね、お坊ちゃん」
エイダが振り向いて歩き出した。パメラはどうしようか迷っている。
「心配しないでよ、パメラ。大丈夫、一人でも倒せるさ」
「ロバート……」
パメラの目は不安の色を隠せない。さすがのパメラでも、俺が一人でアナコンダを倒せると思っていないようだ。
もちろん普通に考えればそうだ。アナコンダは七つ星ランクだから、ランクDどころかランクAの戦士が束になっても勝てるかどうかはわからない。
だけど俺は違う。俺は前世で何度も戦った。ソロで挑んで何度も勝った記憶がある。奴の行動パターンやステータスも知り尽くしている。
といっても、それを口で一から説明したって信用はしてもらえまい。パメラやエイダだってアナコンダと、実際に戦ったことがないだろうから。ならば証明するしかないな。
「パメラ、まだ彼のこと気にしてんの? 置いていくわよ」
「わかったわ、ロバート。絶対無茶しないで、危なくなったらすぐに逃げるのよ」
パメラがそう言って振り向いてエイダのあとを追った。やっと理解してくれたか。
正直ここでパメラと別れるのは惜しいな。〈ロード・オブ・フロンティア〉で貴族としてスタートしたら、序盤で仲間になる頼もしい女性キャラだ。
俺はそもそもソロプレイ至上主義だったからな、たとえ一人になったって平気さ。
しかも俺のことをあそこまで気遣ってくれるなんて、もしかして俺に惚れているのか。いやそんなわけないか、考えすぎだ。
パメラとエイダが俺の目の届かない距離まで離れた。二人でギルドに向かったんだろう。俺は俺でアナコンダ討伐の準備をしないとな。
アナコンダはとんでもない強敵だ。前世で何度も戦ったから、嫌でもその強さはわかっている。
そのためには、まず回復薬の調達か。回復手段は多いに越したことはない。薬屋に行こうかな。
いやそうじゃない。思い出した、今の俺には莫大な割り振り値がある。もう一度ステータス画面を確認だ。
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レベル16
HP:650780/650780
MP:0/0
攻撃:238
体力:65078
防御:10
素早さ:100
器用さ:0
魔力:0
跳躍:110
魔法防御力:0
状態異常耐性:0
割り振り値:32768
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割り振り値32768、何度見ても痺れる。この莫大な割り振り値をステータスに割り振れば、アナコンダだって楽勝だ。
となれば、まず対策すべきは三つのステータスだ。攻撃と防御、そして状態異常耐性だ。さてどう割り振ろうかな。
いやいやちょっと待て、俺は何してんだ。こんな場所で立ち止まって考えないで、まずは南の鍾乳洞に行くんだ。早くしないと先を越されてしまう。
俺は町の南へ向かって歩き出すことにした。だけどここで大変なことに気づいた。
「あれ、南はどっちだ?」
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