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俺のステータスがバグって低レベルでも余裕でカンスト!? 前世で得た裏攻略情報で全て計算通りに無双できちゃいます!  作者: 葵彗星
第二章

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第三十二話 追加のサービスには追加の料金を

 突然快活な女性の声が聞こえた。


「うわ! ぱ、パメラ!?」

「ちょっと! そんなに驚かなくてもいいでしょ?」


 後ろにいたのはパメラだった。ビックリした。


 いや、俺がどうかしている。確かに後ろから朝の挨拶されただけで、なんでこんなに驚くのか。


 無理もない。前世ではほぼ人付き合いもせず、家でゲームばかりしてたから、大きな声で他人から挨拶される経験が薄れていた。


「ごめん、驚いちゃって。ちょっと考え事してたから……」

「ふーん。まぁいいわ。それより朝食まだなんでしょ? 一階で食べましょ!」

「わかった」


 パメラに言われるがまま、俺は宿屋の一階の大食堂へ降りた。


「それはそうと、本当にいいの? あなたの報酬分」

「え? あぁ、アリゲーターベアの報酬か。まぁ、屋上で器物損壊したのは事実だからね。あとから請求されるより、今支払った方がいいさ」

「そうじゃなくて、取り分よ」

「取り分?」

「本当にいいのかなって……私が十枚ももらって」

「あぁ、なんだそんなことか! 俺は全然大丈夫さ、だってパメラも討伐に協力してくれたでしょ?」

「それはそうだけど、私の攻撃なんか雀の涙程度だったはず」

「そんなことないさ。パメラが奴のHP(ハートポイント)を減らしてくれたから、そのおかげだよ」


 俺は必死にパメラを持ち上げた。もちろん彼女の言う通りなんだが、このままじゃ浮かばれない。どうせ正確な攻撃量やステータスはわかりっこないから、ここは思う存分誤魔化そう。


「……ありがとう」


 彼女は浮かない顔で礼を言った。多分まだ納得していないようだ。


 無理もない。彼女もだてにランクAの戦士じゃない。恐らく相手へのダメージ量や手ごたえは、ちゃんと理解しているはずだ。


 そう考えると金貨十枚渡すのはやり過ぎたかな。でも俺はこれでいい。俺は確かに貴族の青年だが、守銭奴じゃない。所持金に余裕があることも理由だけど、親切なことをしていれば、いつか巡り巡って何かいいことが起きるかもしれない。


「ここが大食堂ね。って、凄く広い! それになんていい匂い!」

「本当だ。確かに広いな」


 一泊金貨一枚かかる宿屋だが、金貨一枚で泊まれるというのは庶民にはできない贅沢らしい。現実社会で言う高級ホテルのような感じだ。


 その言葉通り、用意された朝食もまた豪華だった。前世の俺の生活水準とはかけ離れた内容だ。


 俺は口を開けたまま見入ってしまった。するとパメラが不思議そうに俺を見た。


「なに珍しがってるの?」

「いやなんというか、すごく豪華な食事だなって」

「呆れた。あなた貴族の息子なんじゃないの?」

「あっ、そうか」


 そうだ。よく考えたら俺は名門貴族ヒューリック家の長男だ。思えば今までの人生も、これとほぼ同じ内容の食事を毎日のように食べていたんだっけ。


 だから目の前の豪華な食事は、別に珍しくもなんともない。むしろロバート・ヒューリックとしては、普通の内容だ。まだ心の中は徳永光明のままだな。


「お客様、どうぞこちらへ」


 ホテルのウェイターのような人物がやって来た。紳士的な態度が嫌でもわかるそのウェイターは、わざわざ俺の代わりに椅子を動かして座りやすくしてくれた。


 さすが金貨一枚払う宿屋だ。サービス精神も尋常じゃないな。


「ありがとう。素晴らしいサービス精神だね」

「とんでもございません。お褒めの言葉ありがとうございます」


 俺は思わず褒めてしまった。するとなんだかウェイターが、右手で変な仕草をした。


 一体なんだ。何を考えてる。ウェイターの顔を見ると、何か言いたげだった。


「あの……どうかしたの?」

「いえ、その、何といいますか……」


 ウェイターは苦笑いしてる。明らかに何かを言いたい。だけど言おうとしない。何を考えてんだ。


「もう、あなた貴族なんでしょ? こういう場合、どうしたらいいかわかるでしょ?」

「え、どうしたらいいかって……」


 パメラが小声で注意してきた。こういう場合どうしたらいいかもくそも、俺には何が何だかわからない。


 するとパメラはウェイターに聞こえないよう、俺の耳に両手をあてて小声で呟いた。


「チップよ」

「は? チップ?」

「もう! チップを知らないわけないでしょ?」

「チップ……あぁ、そういうことか!」


 俺はやっと理解した。そうだ。チップだ。


 元々日本人だったから正直全然わからなかったけど、確か海外の高級ホテルだと、追加の料金を支払う文化があったっけ。


 なるほど、まさかこの世界にもそんな文化が根付いていたなんて。そういえば、開発スタッフは外国人ばかりだっけ。


「ごめん、これでいいかな?」


 取り敢えず財布の中にあった金貨一枚をウェイターに手渡した。すると今度はウェイターの表情が凍り付いた。


「ほ、本当にいいんですか!? こんなに?」

「え、だってチップなんでしょ?」

「もうあなた何考えてんの!?」


 今度はパメラが大声を出した。やばい、また何かやらかしたのか。


「ごめんなさい、私が渡します。こっちでお願いします!」

「……あぁ、そうですか。いえ、大丈夫ですよ。はい、ありがとうございます」


 ウェイターは若干作り笑いしながら、パメラからチップをもらった。パメラが渡したのは俺が持ってない硬貨だ。


「それって、銀貨じゃないか?」

「そうよ。宿泊料と同じ額のチップ渡すなんて、一体何考えてんの?」

「ごめん、そうだよね。いやぁ、悪かった。銀貨がなかったもんで」


 パメラが口を開けたまま固まった。


「……銀貨がないの?」

「そうだよ。嘘じゃない、金貨しか持ってなくてね」

「はぁ、もう本当にあなたったら……」

第三十二話ご覧いただきありがとうございます。


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