エピローグ25(最終話)
これにて完結となります!
フィロードが右手の指をパチンと鳴らした。フィロードとジュディは宙に浮かび上がり、そのまま宇宙船の下部の穴の中へ吸い込まれた。
「神竜の言った通り、あなた方は本当に強く素晴らしい人間です。あなた方に出逢えて本当によかった……人間の可能性は……やはり無限大……」
なにやら俺達に感謝の意を込めているのか、熱く語り始めたな。無限の可能性とはね。得体のしれない宇宙人からそんなこと言われるとは思わなかった。
窓からフィロードの顔が見えた。にっこりと微笑み、手を振ってそのまま宇宙船は虚空の彼方へ消えていった。
「……行ってしまったな……」
「謎だらけの男だったな……ロバート以上に……」
ジョニーの言っていることあながち間違いじゃないな。確かに謎に満ちているが、一つだけわかることがある。
「あの男は神竜の知り合いなんだよ」
「神竜? そういえば言っていたわね……それって……」
「いつか紹介するよ」
俺は適当に誤魔化した。というか、誤魔化さなくても多分いずれ思い出すだろう、一度出会ってるからな。
「うわ、なに!?」
突然視界が暗くなった。巨大な影が地面に現れる。宇宙船が戻って来たのか。
いや、違う。上を見たら、あの鳥が戻ってきていた。
「うおおお!! こいつは!?」
「ケツァルコアトルじゃない!? なんでここに!?」
「あぁ、違うよみんな! 誤解しないでくれ、こいつは……」
「ロバート、よくやったわね……」
女性の声が聞こえてきて、みんな唖然とした。
「……しゃべった!?」
「嘘だろ……ケツァルコアトルがしゃべるってのか!?」
「だから……こいつはケツァルコアトルじゃないよ。中身は……カナリアさ」
「……意味不明なこと言わないで」
あぁ、そうか。カナリアのことも全員には話してなかったな。
「ふふ……みんなにわかるように説明するのは無理のようね」
正直こいつの正体を知ったときは俺でも信じられない気持ちだった。でも奇跡は起きたんだ。
「剣を握れ。そして虚空の彼方まで、全身全霊の力を込めて振れ」
カナリアが消えかかりそうになった時に聞こえた例の声、あれは神竜の声だった。俺は言われるがまま、全身全霊の力を込めて虚空の彼方に向け剣を振りかぶった。
おそらくその時の衝撃波の余波が北の古代遺跡にまで届いたのだろう。そこにいたケツァルコアトルの体に命中し、カナリアの魂が入り込んだ。
冒険者達によって命を失いかけようとしていたケツァルコアトルの体が、カナリアの魂を受け入れてくれたことで、同化することに成功した。
肉体は違っていても中身はカナリアだ。カナリアもこの世界で生きていくことができる。まさに奇跡だ。
「あぁ、本当にカナリアなのね。いまだに信じられないけど……」
「……イヴ……」
「私達、これからはずっと一緒よ……」
後ろにいたイヴがカナリアに寄り添う。イヴは思わず泣いた。ヤバイ、見ている俺も涙が出てきそうだ。
「……なんかよくわからないけど、まぁ仲間なのよね。よかったわ」
「なにはともあれ、元凶はあの変な格好をした女性と芸術家ってことよね。あの二人がこの星から去ったことで、一件落着ってことでいいかしら?」
「……そうだな……」
俺はもう一度宇宙船が去った空の彼方を見つめた。
ジュディ。とんでもなく厄介な女だった。まさかブラックホールまで生成するだなんて。カナリアが時間を止めてあの作戦を提案しなかったら、本当にヤバかった。
「……本当に一件落着かしらね?」
スージーがぶっきらぼうに言い放った。
「彼女のことよ。並外れた執念深さみたいだし……」
「……あぁ、全くその通り……」
「ってことは、また戻ってくる?」
その疑問に俺は否定はしなかった。でもそれはそれでいいかもしれない。
「戻ってくるさ……あいつならきっと……」
「ちょっと……なんだか嬉しそうじゃない? あんな目にあったくせに」
「いいじゃないか……退屈しなくなるだろ?」
「本当に前向きね」
「そういえば……そちらの女性は……?」
「あぁ、まだ紹介してなかったね。イヴって言うんだ、今日から俺の新しい仲間だ」
「初めまして、イヴと申します。みなさんとは初対面ですね」
「え!? あなた……創造神プロビデンス!?」
イヴは即座にかぶりを振った。にっこり微笑んで返答した。
「いいえ! 私はプロビデンスではありません。よく似てるって言われますけど……全く別人ですわ!」
「…………」
全員呆気にとられて黙り込んだ。やっぱり誤魔化せないかな、うり二つだし。
「ははは! いいさ、君の正体なんかどうでも! 今度一緒にお茶でもいいかな?」
「じょ、ジョニーさん……」
ジョニーは満面の笑みでイヴと握手を交わした。ギルドマスターのくせに、下心出しすぎだろ。
「は、はい……こちらこそ喜んで……」
「あーあ、ミシェルさんにバレたらヤバいわよ?」
「え? ジョニーさん、まさか……二股?」
「そ、そんなわけないだろ!! 変なこと言うな!!」
これは意外だったな。まさかジョニーさん、あのミシェルさんにひっそり恋心抱いていたのか。まぁ、あの人とならお似合いだと思うけどな。
それからしばらくの間、みんなで談笑し俺達はソーニャの町に引き返すことにした。
その途中、俺はふと立ち止まって空を見上げた。すっかり夜も更け、夜空には満面の星が見えた。改めてみると星空は美しいな。
あの星々の中に、俺が前世で生きた地球もあるんだ。今頃ジュディも宇宙のどこかか、それとももう地球に帰還したのかな。
「……綺麗ね」
気が付くとスージーも見上げていた。
「そういえばさ……さっきのこと……」
「……さっきのこと?」
「いや……なんというか……本当によかったのかなって……」
スージーも俺が何を言いたいか察したのか、少しだけ微笑んだ。
「あなただって同じじゃない。人のこと言えるの?」
「……そうだな……」
「それに私は……あなたがいれば十分……」
「あなた達、なに立ち止まってんの?」
パメラ達が戻って来た。
「道草食ってないでさ。早くしないと宿が閉まるわよ」
「……あぁ」
俺はまた歩き出した。でも今度はエイダやルウミラは立ち止まり、空を見上げた。
「……綺麗な星空……」
「もう、エイダもルウミラもなによ! 気持ちはわかるけど、今夜は……」
「はは! いいじゃないか、パメラ」
「ジョニーさん?」
なんとジョニーまで戻って来た。
「こんなきれいな星空、滅多に見られんぞ!」
「えぇ、本当……今夜はここで寝ましょ!」
「ちょ……みんな……」
「いいじゃない、たまには野宿も悪くないわ。テントもあるし!」
「……もう仕方ないわね!」
なんかパメラもうれしそうだ。こんなきれいな星空の下で野宿か、たしかに素敵だ。
すると、ジョニーが俺にこっそり近づいて来た。そしてこっそり耳打ちした。
「……この周辺には誰もいない……」
「だ、だから……?」
「……俺はあとでこっそり帰るよ……」
「え? その……何が言いたいんです?」
ジョニーはにんまり笑ってこう答えた。
「今夜の夜は……ハーレムだ」
マジか。嘘だろ。いや、嘘じゃなかった。
パメラ、エイダ、ルウミラ、スージー、それにイヴ。五人も女性がいる。確かにいつの間にかハーレムパーティーを築いてた。
「存分に楽しめよ!」
「ちょ……ジョニーさん……」
「ロバート……存分に楽しみましょ……」
スージーが肩を寄せてきた。すかさずほかの四人も俺のそばまで寄って来た。
五人とも満を持したような顔をして俺を見ている。まいったな、これは。
「ははは、やっぱりモテる男は辛いな……」
俺は一生に一度の最高の夜を満喫することになった。
いつもご覧いただき誠にありがとうございます!
最終話となります、あしかけ3年かかりましたが無事に完結いたしました。今までご覧くださった方ありがとうございます。新作もいずれ投稿したいと思いますので、ぜひよろしくお願いします!
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