表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のステータスがバグって低レベルでも余裕でカンスト!? 前世で得た裏攻略情報で全て計算通りに無双できちゃいます!  作者: 葵彗星
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/301

第二十一話 癒しの受付嬢レミー

 中年男性は俺と目が合い、近づいていた。


「どうやら、騒動の張本人は君のようだね」

「その通りです、マスター。この少年が言うには、彼は屋上から来たとのことですが……」

「なにぃ!? 今なんて?」

「で、ですから……一階の入り口からではなく、なぜかこの建物の屋上からここまで降りてきて」

「でたらめですよ、そいつの言っていることは! この建物の高さは20メートルくらいはあるんですよ。どうやって上るって言うんです?」

「普通に一階の入り口から入りゃいいじゃねぇか。それとも何か? お前は空が飛べるって言うのかい?」

「はっはっは! 愉快極まるぜ。どんなに凄腕の戦士だって、空は飛べねぇ。坊主も冗談がうまいねぇ」


 周りに集まっていた戦士達が俺のことをからかいはじめた。今正解が出たな。冗談でもなんでもなく、本当に俺は空高くまで飛んで、それから歩いてこの建物の屋上へ落下したんだ。


 するとどういうわけか、ギルドマスターが俺にさらに近づいた。確か本名はジョニー・テープっていったっけ。その外見は、有名な外国人俳優がモデルとなっているという設定らしい。


 かなり背が高く俺は圧倒された。怖い目で俺をジロジロと見下ろす。近づいてきて初めて気づいたが、なんと香水の香りまでする。なんてオシャレなギルドマスターなんだ。


「な、なんだよ……」

「君は……ロバート・ヒューリックじゃないか?」

「え? マスター、この少年をご存じで?」

「知ってるもなにも、ヒューリック家の長男だろう」


 しまった。やっぱりギルドマスターも俺のことを知っていたか。

 

「え? この島の当主ヒューリック家の長男だったんですか?」

「あぁ、そうだ。どっかで見た顔かと思ったら!」

「ま、まぁ……そうだね。改めてロバート・ヒューリックだ。よろしく」


 俺は苦笑いしながらも自己紹介した。だがジョニーは一切笑顔を見せない。すると隣にいる女性職員のレミーに視線を移した。


「レミー、本当に彼は屋上から降りてきたんだね?」

「はい……いえ、すみません。正確には見ていませんが、さっきの大きな音は間違いなく彼の仕業だと……」

「見ていない? 彼が屋上に落下したところを、この目でハッキリと見たわけじゃないんだね」

「す、すみません。そうです」

「でも間違いなく彼ですよ。その証拠に見て下さい、彼の体大けがじゃないですか」


 ジョニーは俺の体をジロジロと見回す。


「ロバートくん、君には聞きたいことが山ほどあるが、まずはその傷ついた体を治療させないとね」

「ありがとう。じゃあ回復をお願いできるかな?」


 ロバートはレミーに手で合図をした。直後、レミーの手が俺の体に触れる。


「動かないで、じっとしていてね」

「え、うん……」


 直後俺の体に触れた彼女の両手から、淡い光が漏れだした。体中の痛みが和らいでいくのを感じた。


 なるほど、そういえばレミーも回復魔法が使えたっけ。


「う、羨ましい! 小僧、この野郎……」


 なんだ、周りの野次馬戦士どもが俺に羨望のまなざしを向けている。まさかこれは。


「ははは、ロバート君。君は今後彼らに恨まれるぞ」

「あ、あの……俺は別にそんなつもりじゃ」

「ふざけないでください! 私は仕事の一環でやってるだけですから! ロバートさんも動かないで、回復魔法は高度な魔法なんですから」


 レミーがやや恥ずかし気な表情で言い返す。周りの野次馬戦士はさらに俺を睨みだした。


 確かにレミーは美人だ。スタイルもいい、そして何より胸も大きい。ミニスカートでハイヒールを履いているから、いつも多くの男性戦士を魅了させる。


 本名はレミー・カサノバ。ギルド『三日月の誓い』の癒しの受付嬢、彼女にはそんなキャッチコピーがあったっけ。そんな美人に回復魔法をかけてもらっている。これじゃギルドに立ち寄る戦士達も、黙っているわけないな。


 さっきは町の外で変なチンピラたちに絡まれるし、今度はギルドでも注目を浴びてしまう。ちょっと散々だな。


「すみません、あの! ちょっといいですか!?」


 唐突にパメラの大声が聞こえた。一体なんだろうか。


「おや、確か君は……」

「あれ、あんた! 弓使いのパメラじゃないか!?」

「本当だ? あのランクAの!? 全然気付かなかったぜ、いつの間にいたんだ!?」

「さっきからずっといたわよ。それよりジョニーさん、大事な話があるんですが、いいですか?」


 一同はパメラの方を向いた。やった、取り敢えずこれで俺へ視線が集まることはなくなった。


「すまないな、パメラ。今見ての通り取り込み中なんだ。ロバート君にいろいろ聞きたいことがあるから、その後で……」

「ジョニーさん、もっと大事なことがあったの忘れていませんか?」


 パメラは妙なことを言い出した。もっと大事なことだって。一体何の話だ?


「……大事なこと?」

「あのモンスターの討伐、放置していていいんですか?」


 パメラがギルドの中央の壁に掛かっていた掲示板を指差した。掲示板にはいくつもの貼り紙が貼られていて、その中で一番大きい貼り紙に描かれていたモンスターの絵は嫌でも覚えていた。


「あ、あれは!?」

「アリゲーターベア!? 嘘だろ、五つ星ランクの凶悪モンスターじゃねぇか!?」

「確か、漁師達の漁船が襲われたって聞いたぜ。討伐の依頼が出ていたんだが、一体どうなったんだ?」


 アリゲーターベア、夕方俺が倒したモンスターだ。五つ星とはモンスターの強さの等級で、俺達戦士とは違って星の数で表される。もちろん五つ星は、このギルドで紹介される中では最上級のモンスターだ。


「そうだった。ごめん、すっかり忘れてたよ」

「もう、マスターしっかりしてくださいよ」

「そういえば、パメラさん。あんたが討伐に向かったのかい?」

第二十一話ご覧いただきありがとうございます。


この作品が気に入ってくださった方は高評価、ブックマークお願いします。コメントや感想もお待ちしております。またツイッターも開設しています。

https://twitter.com/rodosflyman

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ