第二百一話 空の上に浮かぶ城
今回から再びロバート視点です。今回の話の投稿にあたり、前話を大幅に追記しました。
一体どうすればいいんだよ。
俺は心の中で叫んだ。といっても、今いる場所だと大声で叫んでも、誰にも聞こえないだろう。
何の因果か、どうなったのかは誰にもわからない。今いる俺の場所は、四方が真っ白の壁に囲まれた個室。
さながら、独房といったところか。窓が一つあるだけ。そこから出ればいいじゃないかと思うだろう。
でもそうはいかなかった。なぜか窓の外を見たら、真っ青な光景だけが広がっている。
「……ここは空の上?」
そう考えるしかない。かろうじて視界の下に白い塊が見えた。あれは雲だろう。
つまりなぜか空の上にまで来てしまったのだ。どうしてこうなった。
それもこれも、全てあの仮面の少女のせいだ。まさか俺をこんな場所まで転移させるだなんて。
前世で飽きるほどプレイした〈ロード・オブ・フロンティア〉だけど、こんな場所は全く身に覚えがない。
一体今俺がどこにいるのか、もちろん今の俺なら飛び降りてもそこまでのダメージにはならない。
だけど現在地がわからない以上、迂闊に飛び降りるのも危険すぎる。かといってここでじっとするわけにはいかないだろう。
「……一か八かだな」
窓際に近づいた。窓の外をもう一度見た。やっぱり一面青い光景のまま。
でもそうじゃない。かろうじて視界の端、ギリギリ見える位置に何やら長方形の白色の突起物が見える。
多分今俺がいるこの建物の一部だろう。しかも見た感じ、ちょうど人一人分は乗れそうだ。
となれば、この窓から飛び出してあそこに飛び移る。あそこの先に何があるかはわからないけど、ここにいるよりかはマシだ。
でも問題もある。もし落ちてしまったら。いや、そんな心配は無用だった。
「〈レビテーションシューズ〉、装備していてよかった」
この靴なら空中を自由に闊歩できる。制限時間は一分だけど、問題ないだろう。
早速窓を開けようとした。でも取っ手がない。かといって、鍵もついていない。完全に壁に接着された窓なのか。
いや、関係ないな。開けれないならぶち破ればいい。素手で。
「弁償費用なら、後で払ってやるよ」
拳を窓にぶち当てた。予想通り、窓は一瞬で粉々に割れた。ステータスを極限まで上げていてよかった。
窓がなくなった瞬間、凄まじい量の風が吹き荒れた。なるほど、間違いなく空の上にいるんだな。
でもどんなに風が吹こうが関係ない。窓から強引に身を乗り出して、さっきの白い突起物がある方向に目をやった。
「……でかいな。なんて建物だよ」
思った通り、あの突起物は建物の一部だった。それもかなり巨大な建物だ。
一面白色の壁に覆われているみたいだ。そして外観はかなり複雑だ、言葉でどう説明すればいいかわからないような構造をしていて、めまいがしそう。
一体どういった建築士がどんな感覚で作ったのやら。さながらおとぎ話に出てくる魔法の城といった感じか。
最初に見た白い突起物は、外に飛び出していたバルコニーの一部だった。バルコニーの壁にドアがある。あそこからなら入れそうだ。
行くべきところは決まった。窓枠の部分に足を掛けてしゃがみこみ、深呼吸した。
「スキル、〈空中浮遊〉!」
これで大丈夫なはず。ゆっくりと立ち上がって、窓枠から足を離した。
よし、うまく行った。空中で俺の足が止まっている。もう片方の足も窓枠から離して空中で止めた。
これであのバルコニーまで行ける。でも時間は一分だけだ。あせらず、でも慎重に歩き出した。
やばい。思った以上に距離があったかも。歩いても近づく気配がない。
少しだけ小走りするか。でも近づく気配がない。
全然距離が縮まらないぞ。どういうことだ。
もう30秒は経った。仕方ない、走るか。
走り出したらやっと距離が縮まって来た。いや、もう目と鼻の先だ。今度は縮まるのが早すぎる。
俺はそこまでの速度で走っていない。そうか、わかったぞ。
「あのバルコニーが動いているのか!」
目の錯覚じゃない。試しに止まって見たら、やっぱりバルコニーの方から俺に近づいて来た。最初はバルコニーが俺から遠ざかっていたんだ。
建物の一部が動くだなんて、一体どうなってやがる。考えている内にバルコニーの先端部に着地した。
深く考えるのはやめよう。とにかくバルコニーには移動できた。あとはドアから中に入ろう。
「……鍵がかかってる」
ドアにはノブがついていたが、掴んで引っ張ってもビクともしない。押しても同じだ。
鍵穴がついている。つまり開けるには鍵が必要だ。でもそんなもの持っていない。
となれば、やることは一つ。さっきの窓と同じで拳をドアに激突させた。
「痛って! 今度は結界かよ」
鍵だけじゃなく、ご丁寧に物理攻撃無効化の結界が張られている。鍾乳洞にあった金属製の扉と同じか。
〈コスモソード〉の出番だ。鞘から抜いて、〈空圧剣〉のスキルを発動した。
ドアはバラバラに粉砕された。セキュリティ面は強固かもしれないけど、相手が悪かったな。
ぽっかりと開いた長方形の穴から俺は中へと入った。中はうっすらと暗い、明かりを照らす魔法が使えないからしんどいな。
「待てよ。あれがある!」
第二百一話ご覧いただきありがとうございます。
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