第百九十八話 パメラの奥の手!
あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします。
パメラの集中が切れたその一瞬の間に、エディはいつの間にか目の前に迫っていた。直後、エディの渾身の拳の一撃を腹部に喰らった。
「……がはっ!」
「パメラさああああん!!」
「はい、終了。呆気なさすぎるわ、もう少し盛り上がるかと思ったのに」
「……誰が終了ですって!?」
「えっ!? まさか……」
エディの動きが止まった。いや、止められた。
強烈な拳の一撃を喰らったはずのパメラだが倒れず、なんとそのままエディの両腕を抑えつけた。
「馬鹿な……今の一撃を喰らっても倒れないなんて」
「残念ね。私だってステータス値は膨大なんだから。それにこうしてしまえば、もうこっちのものよ」
パメラの右手が今度はエディの左耳を掴んだ。
「パメラさん、何やってるんですか!?」
「ノーラ、さっきの言葉訂正するわ! エディはステータスが覚醒したんじゃない。共有されてるだけよ」
「きょ、共有……!?」
「そうよ。その秘密が……これ!」
右手に力を込め、左耳につけられていたピアスを引っこ抜いた。
「これは〈シェアリングピアス〉! このピアスでロバートのステータスが共有されていただけよ」
「……ふふ、あーはっはっは!」
パメラの予想とは裏腹に、少女は笑い出した。
「何がおかしいって言うのよ? もうこっちの勝ちよ!」
「あなたは勘違いしている。まぁ、50点ってところかしら」
「ご、50……点?」
「確かにそれは〈シェアリングピアス〉で間違いないわ。事実彼はステータスを共有されている。いや、正確にはもう一人の戦士に共有している」
「そうよ。だからそれがロバートだっていうのは、明らかよ」
「それが……違うのよ!」
「ち、違う……?」
「エディ、もっと痛めつけてあげなさい」
直後、パメラの体が鍾乳洞内の壁に叩きつけられた。
「……ぐはっ! な、なにが……?」
「パメラさん、しっかり!」
何が起きたのかパメラは必死に頭を整理した。よく見たら、エディが膝を突き上げている。
そうだ。自分はエディの膝蹴りを喰らい、そのまま吹き飛ばされた。でもどうして。
(ピアスは外したのに……もしかして……彼は本当にステータスが!?)
「そうよ。共有されているんじゃない。彼が共有している側だったの」
「つまり、エディのステータスは偽りなく桁違いに大きい……やっぱり力が覚醒したんです」
「そんな……ロバートじゃあるまいし。どうしてあんな子供が?」
「ふふ、彼も選ばれた存在、とだけ言っておこうかしら」
「……そんなの信じないわ!」
「パメラさん!?」
まだ体に痛みが残ってはいるが、歯を食いしばり何とか態勢を立て直した。
「そうこなくっちゃね。まだまだ死ぬのは早いわよ、もっと楽しませてね」
「……残念だけど、もう終わりよ」
「あらあら、強がっちゃって。もう満身創痍なんじゃないの?」
「……素手でいいわ」
「え? あなた……」
予想外な行動に出たパメラに少女も呆気にとられる。なんと弓を地面に投げ捨てた。
そして両拳を握りしめ、肘を曲げて顔の前に構える。
「パメラさん、まさか格闘で戦うつもりですか!?」
「身の程知らずもいいところね。今のエディに格闘でかなうわけがないじゃないの」
「そこまで言うなら、やってみたらどうなの?」
パメラは同じ構えのまま、強気の姿勢を見せる。
「……いいわ、エディ。あなたも剣を捨てなさい。格の違いを見せつけるのよ」
エディはその言葉に従い、剣を捨てた。
そして間髪入れず、パメラに向かって突進した。そこからは一瞬だった。
ドォオオオン!!
「……えっ!?」
「……嘘!?」
轟音とともに地面が揺れた。ノーラも少女も呆気に取られ言葉を失った。
パメラに向かって突進したエディだったが、何と地面に仰向けに倒れ動かなくなった。
その上にパメラが覆いかぶさるように蹲っている。そしてパメラは立ち上がり、二人に向き直った。
「やっぱりこの子にも、私の投げ技だけは予想外だったようね」
「な、投げ技……ですって!?」
「エディのことだからね。私に向かって一直線に顔目掛けて殴りにかかると思ったのよ。でもその動きは読めていたわ。そのパンチを見計らって、背負い投げしたのよ」
「せ、背負い投げ……?」
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