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第百七十四話 ルウミラの真意は?

 さすがにこの言葉にはジョニーも呆気にとられた。


「知らないということはないだろ? 仮にもアメリアの右腕だったんだろ?」

「本当に知らないの。そもそもその別荘には私も転移魔法陣でしか移動したことがないし、いつも屋内の部屋にはカーテンを掛けてあった。かろうじてわかるのは、森の中にあるってことくらい……」

「も、森の中って……」

「仮に別荘がこの島にあるとしても、森全部をしらみつぶしに探したら、途方もなく時間がかかるぞ」


 ジョニーはすっかり頭を抱えた。エイダの気持ちもすっかり沈む。


 しかし対照的にルウミラは微笑んだ。


「ふふ、心配しないで。お二人さん」

「何余裕こいているのよ?」

「私の〈サーチ〉なら、少なくともこの島全土は探索できるわ。もしアメリアがいれば、必ず見つけ出せる」


 ルウミラが笑顔を見せながら発した言葉を、エイダにはすぐに理解できなかった。


「……今なんて?」

「だから、この島全土は探索できるわ。心配しないでって言ってるの」

「ふざけないで! いくらあなたの魔力が高かろうと、この島全土を〈サーチ〉で探索できるわけが……」

「いや、肝心なことを忘れてるぞ」


 ジョニーが待ったをかけた。


「肝心なことですか?」

「エイダ、俺達はどうやってさっきの無人島から脱出したっけ」

「……ルウミラの〈フローティングボード〉に乗ってですけど」

「そうだ。そして一緒に乗っていたレミーは失神して、魔道船で休ませている。どうして彼女が失神したのか、エイダもわかるんじゃないか?」


 ジョニーの質問の意図がなんとなくエイダも掴めた。


「私も初めてだ、ルウミラの〈フローティングボード〉が、あそこまでの速度が出るとはな」

「確かに魔力が高ければ、あの速さも納得できますけど、だからって島全土を探索できるほどには……」

「わかったわ。そこまで言うなら、見せてあげましょう。ついて来て」


 ルウミラが周囲を見回しながら歩いた。しばらく歩いて、三人とも人のいない路地裏へ入った。


「ここならいいか。〈サーチ〉!」


 ルウミラが建物の外壁に、杖の先端を向けて魔法を発動した。次の瞬間、外壁全体を埋めるほどの巨大な地図が出現した。


「こ、これは!?」

「なんて巨大な地図だ。まさか……」

「この島全土の地図よ。これでわかってもらえた?」


 エイダが壁に近づいて手を触れる。しばらく声も出せず、ただ眺めていた。


「さすがは帝国最強の魔道士だな。エイダ、戦おうなどとは思うな」

「いいえ、まだ納得できません」


 エイダは毅然とした顔で、ルウミラに振り向いた。


「〈サーチ〉の探索範囲は私でも知っています。ただ魔力が高いだけじゃ、ここまでの範囲にはならない」

「……というと?」

「この島全土を探索範囲に収めるには、少なくとも1億は必要なはず」

「なんだって!? さすがにそれは……」

「正確には、探索範囲の面積は魔力の桁が一つ上がるごとに、広さを増していくの。よく勉強しているわね」

「となると、ルウミラの魔力は……」


 それまで感心していたジョニーも、さすがに事の重大さに気付いた。


「私のステータスがそんなに知りたい?」

「あなたの正確なステータスよりも、あなたがどうして巨大なステータスになったかが知りたいわ」

「あなたと同じ、って言ったらわかる?」

「なんですって!?」


 ルウミラの意味深な言葉が、エイダにはすぐに理解できなかった。


「同じって、まさか……」


 エイダは咄嗟にルウミラの耳たぶに視線を移した。


「これは元々つけていたピアスよ。関係ないわ」

「それに〈シェアリングピアス〉はアメリアの手に渡っている。一度外されたら、その効果は失われるはず」

「じゃあ、一体何なの?」


 ルウミラは目を閉じて、髪を指でさすり、すぐに答えを言おうとしない。


「……さすがはロバート。彼の知識は計り知れない、私ですら予想外の事実を知っていてね」

「えぇ、そうね。だからそれが何なのか知りたいのよ」

「簡単に喋ると思って?」


 ルウミラが冷たい口調で言った。エイダは徐々に平静が保てなくなった。


「……まるで二人だけの秘密にしたいみたいね。一体どういうつもり?」

「あら、当然じゃない。私とロバートだけの秘密なの、部外者にその秘密が知られたら大変だわ」

「誰が部外者よ! 言っておくけど、私とロバートはパーティーを組んでたのよ」

「でもそのロバートと別行動をとった。その結果、彼と離れ離れになった」

「そ、それは……」

「おい、ルウミラ」

第百七十四話ご覧いただきありがとうございます。


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