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第百六十五話 また落とし穴!?

 男が動揺するのも無理はないな。俺はこいつのステータスを知り尽くしている。


 前世でも確かに桁違いの防御力を武器にして、厄介なモンスターだった。


 でも種を明かせば、桁違いの防御という設定ではなく、内部的には『相手の物理攻撃力を100万分の1に減少する』という特性があるモンスターなんだ。


 ルウミラが使っていた不動結界より厄介な特性だ。


 100万分の1、つまり一気に100万以上の攻撃を与えて、やっと1以上のダメージになるんだ。


 普通に考えたら100万以上のステータスは不可能だ。ほとんどのプレイヤーにとって、物理攻撃オンリーで倒すことは不可能なモンスター、それがハイパーメタルビートル。


 でも俺は違う。俺の今の攻撃力は200億ある。


 つまり単純計算だと、200億ダメージを100万分の1軽減されるだけで、計算したら2万ダメージ分は一撃で入るんだ。


 ここまで高すぎるステータスなんか想定外だ、俺だけにしかできない攻略さ。


 ハイパーメタルビートルは防御力が高すぎる分、HPはそこまで高くない。あと一撃で終わらせよう。


「じゃあ、スキル〈目覚めの一撃〉で!」


 クリティカルヒットでとどめをさそう。幸い俺のHPも満タンだったから、確定で発動できる。


 ハイパーメタルビートルの頭上にジャンプし、剣先を下に向けて一気に降下した。


「でやああああああああ!!」


 最後はコスモソードでハイパーメタルビートルを一刀両断した。計算通りだ。


 こんなに弱かったっけ。いや、俺が強すぎるんだな。


「さぁて、倒したぞ。約束通り、パメラを解放してもらおうか」


 男達は口を開けたまま固まっている。未だに現実を受け止められていないようだ。


 でもリーダー格の男は、すぐに表情を変えた。


「……わかったよ。くそ!」


 もっと動揺するかと思っていたが、意外と潔いな。


 男はそばにあった檻の入口を開けた。俺はすぐさま檻の中に入った。念のため本人かどうか確かめよう。


「パメラ、大丈夫か!?」

「……うぅ……ん?」

「よかった。気が付いたな!」

「……あれ? ここは……私は……って、ロバート!?」

「俺だよ。いやぁ心配かけさせてすまなかったな」

「あなた、今までどこに行ってたの? そしてここは……どこ? ていうか、私なんで縛られてるの?」

「あぁ、いっぺんに質問しないでくれ。えぇと、地上に戻ってからまとめて話すよ」

「残念だけど、もう戻れねぇよ!」


 ガタン!


 大きな音が聞こえ、何事かと振り向いたら、何と檻の入口が閉まっていた。罠だったか。


「おいおい、今更何の真似だよ!?」

「ははは! ロバート、お前の強さ本当に大したものだ。まさかとは思ったが、やっぱり俺達が想定した最悪の事態を招くとはよ」


 最悪の事態、ハイパーメタルビートルを倒したことか。でもこれ以上の切り札があるのか。


「こんな檻の中に閉じ込めたって意味ないぜ、俺にとっては」

「そうだろうな。その気になったらすぐに出られるだろう、だが……」


 男はそう言うと、左手の指をパチンと鳴らした。その直後、俺達が入っていた檻が徐々に斜めに傾いてきた。


 いや、檻が傾いてるんじゃない。地面ごと斜めに傾き始めている。檻がそのまま滑り出した。


「これは!? 一体何をする気だ!?」

「いくらお前が超人でも、息ができない場所に放り込まれたらどうなる?」

「……まさか?」

「そのまさかだ! 恋人と仲良く海底で幸せに暮らしな!」


 直後、広間の端の床にでっかい穴が開き、滑っていた檻はそのまま真っ暗闇の中へ落下していった。


「きゃあああああああ!!」

「パメラ! しっかりしろ、大丈夫だ!」

「大丈夫じゃないでしょ!? なんなのよ、これ!? せっかく目が覚めたと思ったら、真っ逆さまに落ちるだなんて!」

「巻き込んじゃってごめん。だけど説明してる暇はない、息をしっかり吸い込んでてくれ!」

「なんで息を?」

「いいから俺の言う通りにしてくれ!」


 俺が大声で怒鳴るとさすがのパメラも従った。俺も息を吸い込んだ。


 さっきの男の言う通り、ここを真っ逆さまに落ちた先は海底に繋がる。


 あの野郎も考えたな。正攻法だと無理だと判断して、俺達を海底に送り込むとは。


 確かに俺はステータスが桁違いに大きい。普通にモンスターと戦っても死ぬ要素なんかない。でも海中だけは例外だ。


 海中は息ができない。魔道士が使う潜水魔法がないと息が続かない、それは俺だって例外じゃない。


 このままじゃ本当に窒息死する。と思っていたら、本当に海中に飛び込んだ。


 檻の重量でどんどん底の方に沈んでいく。


 本当になんとかしないとまずい。迷わず俺はコスモソードで檻の鉄格子を切断した。


 これで脱出できる。でもここで思わぬ壁が立ちはだかった。


 なんとあまりに真っ暗で、パメラの顔が見えない。手をつないでいるから、そばにいるのはわかるけど本当に見えない。


 そうだ、思い出した。俺のいた島の地底深くには、地底大空洞という大洞窟がある。


 この地底大空洞には巨大な地底湖があるんだ。今俺達がいるのはその地底湖の底、地底だから太陽の光なんか届くわけがない。


 これはかなりまずいかも。いや、冷静になれ俺。俺のステータスは規格外に高い。地底湖に閉じ込められたからって、強引に突破できる。


 パメラの手を引っ張ってとにかく泳いだ。泳ぎまくった。方角もわからないけど、俺は壁に当たるまで泳いだ。


 しばらく泳いで、左手が岩壁にぶつかった。ここでいいだろう。俺はコスモソードを両手に持った。


「〈空圧剣〉!」

第百六十五話ご覧いただきありがとうございます。


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