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第百六十一話 様子がおかしい警備兵

「よし、だいぶ減って来たな」


 大灯台の近くの浜辺に到着して、それから一時間くらいか。もうすぐソーニャの町に着くころだ。


 本当なら走って行けばすぐにたどり着けるけど、その前に道中にいるモンスターを退治していた。かなりの数だ。


 中には六つ星相当のモンスターもいたけど、全部俺の敵じゃないな。襲われていた人々からは、驚嘆とお礼の嵐だ。


 そして俺のレベルも相当上がった。さっきエルダードラゴンを倒したことと、道中で倒した多くのモンスターのおかげで、レベルは47にまで上がった。


 レベル47、もうすぐ50に到着するな。


 総合値は100兆を突破した。確実に高すぎるステータスを持て余してしまっている。


 「兆」の次は、確か「京」の単位になるんだよな。一京、確か前世では何度か一京ダメージを叩き出したこともある。


 〈ロード・オブ・フロンティア〉では、通常一京ダメージなんて出せるわけない。ほかのプレイヤーの強化魔法を重ね合わせても、せいぜい一億ダメージが限界だとも言われている。


 俺はその限界を何度も破った。傍から見たら、何度もおかしなことをやってきたわけだ。時には“狂人プレイヤー”とも呼ばれていたな。


 一京ダメージで倒せない敵はいないだろう。使う機会は果たして出てくるのだろうか。


 まぁいいか。とにかく今は、この島のトラブルを解決することが先決だ。そのためにまずパメラを探そう。


 もしかしたらコルネ村からソーニャの町に戻っている可能性もある。まずは俺達が泊まっていた宿に行ってみるか。


「やっと、ソーニャの町か」


 ここに来たのも約三日ぶりかな。様子はあまり変わっていない。モンスターどもは町の中にまでは侵入していないようだ。


 閑散としている。多分モンスターが襲ってくる可能性が高いから、屋内で待機しているんだな。


「止まれ! 何者だ!?」


 突然武器を持った男に呼び止められた。完全に武装しているけど、俺と同じ冒険者っぽくはない。多分町の警備兵なのかな。


「ちょっと、通してくれよ!」

「駄目だ。現在特別警戒中で、町の出入りには身元をチェックする必要がある。見ない顔だな。身分証明書はあるのか?」

「おいおい、まさかヒューリック家の長男である俺の顔を知らないと言うのかい?」

「なに? ヒューリック……まさかロバート・ヒューリックか!?」

「知ってるじゃないか。さぁ、通してくれ!」


 だけど男は動揺した顔で俺を見ている。一体何をそんなに驚いているんだ。


「あぁ、もうわかったよ。ほら、これでいいだろ!?」


 たまりかねて、俺はギルドのメンバーカードを見せた。これで嫌でもわかってもらえるだろ。


「……本当にロバート・ヒューリックだな」

「言っただろ!? さぁ、通してくれよ!」

「おい、どうしたんだ!?」


 もう一人の警備兵らしき男が後ろから出てきた。すると俺の顔を見るなり、立ち止まって唖然とした。


「お、お前は……!?」

「ロバート・ヒューリックだよ。しばらく戻ってこれなかったけど、まぁいろいろあってね。とにかく町がどうなっているか知りたい。あと人も探しているんだ」

「……本当みたいだ」


 男達が後ろに下がって俺の顔をじろじろ見ながら、何やら話し始めた。おいおい、俺が何か悪いことしたっていうのかよ。


「ちょっとここで待ってくれないか?」

「はぁ? のんびりしている暇はないんだ、今島が大変な状況なのは知ってるだろ!?」

「だからこそなんだよ。お前がもし本当にロバート・ヒューリックなら、いろいろ確かめたいことがあるんだ。ここで待機していろ」

「どういう意味だよ、それって!? 何を確かめるんだ!?」

「詳しくは言えない。とにかくここで待て、そんなに時間は取らせないから」


 そう言うと一人だけ、後ろにある宿舎らしき建物へ入っていった。もう一人は俺を常に見張っている。


「全く、立ったまま待たせることないだろ」

「あぁ、悪かった。よかったらこれを飲め、のど乾いてるだろ?」


 そう言いながら男は水を差し出した。


「ありがとう。じゃあ遠慮なく」


 本当にのどが渇いていたから、水を一気飲みした。


 飲み干した後で、男の顔を見たら顔が青ざめている。様子がおかしいぞ。


「俺の顔に何かついてるかい?」

「いや……なんでもない。気にするな……」


 気にするなって言われても気になるな。まぁ今はあまり深く考えないことだ。とにかく待とう。

第百六十一話ご覧いただきありがとうございます。


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