表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

140/290

第百四十話 黒幕は誰だ?

 そしてウィスベリーとミーナが揃ってコルネ村の方向へ行ったという情報をもとに、ジョニーも行動を開始した。


「つまり最初から知っていたんですね」

「黙っていて悪かった。だが用心深い男でな。恐らく近くにウィスベリーが監視していると睨んでいたが、案の定ネズミが一匹現れた」

「そのネズミがウィスベリーだと、いつ気づいたんですか?」

「気づくさ。臭いでね」

「臭い?」

「そう……ネズミが現れたときの臭いよ。どこかで嗅いだことあると思ったら、以前行ってた魔法道具屋の臭い。そうでしょ?」


 エイダが聞くと、ジョニーも頷いた。


「ふはは! これは一本取られたぜ、俺としたことが不覚だったな」


 ウィスベリーは笑い出した。


「ウィスベリーよ、笑っていられるのも今の内だ。いい加減、全て白状したらどうだ?」

「白状? さぁ、一体なんのことやら……」


 ウィスベリーの目と鼻の先に、ジョニーは剣先を向けた。


「お前がミーナと手を組んで、〈スタンピード〉を巻き起こしたのは知っている。どうしてそんなことをした?」


 ウィスベリーはまだ黙ったままだ。そしてエイダの顔を見た。


「ふふ、まだ欲しい物は取ってないんでね」

「なに? 何を言っているんだ?」

「〈ディープスリープ〉!」


 突然エイダが魔法を唱えた。するとウィスベリーは目を閉じ、眠りに落ちた。


「おい、エイダ! 何をしている!?」

「ごめんなさい、ジョニーさん。事情聴取、ここじゃなくてコルネ村でやりませんか?」

「なに……まぁいいだろう。俺も気が焦っていたな」


 ジョニーは剣を鞘におさめ、ウィスベリーを抱えた。パメラがエイダのそばまで近寄る。


「もしかして、ピアスのこと?」

「そうよ。危うくウィスベリーが喋るところだった」

「でも、ジョニーさんは敵じゃなかったし、別に話してもいい気がするけど」

「それはわかってるわ。でもこのピアスの効果は本当に特別なの。誰にも明かさない方がいい気がして……」


 パメラはその言葉に顔をしかめる。


「さっきの様子からして、ウィスベリーは知ってるわよ」

「おい、パメラ。すまないが、ミーナを抱えてくれないか」


 ジョニーが倒れていたミーナを指差して言った。


「あ、ごめんなさい」

「よし……それじゃ今度こそコルネ村に行くぞ。そこでじっくり事情聴取だ」


 三人は眠りに落ちたウィスベリーとミーナを連れてコルネ村へ歩き出した。


 歩いている最中、パメラはエイダとさっきの会話の続きを、小声でやり始めた。


「まず今わかっていることから整理しましょう。ロバートのピアスが奪われた。そして次は私のピアスを狙っている。今のところ、この作戦を指揮しているのはウィスベリーのように見えるわ」

「そうね。ウィスベリーがミーナとスージーの二人に指示を出して、自分もこっそりネズミに化けて尾行して、私達を監視していた。別におかしいように思えないけど」

「それじゃ問題よ。ウィスベリーは、いつどうやって〈シェアリングピアス〉のことを知ったの?」


 パメラがその言葉にきょとんとした。


「えぇっと、それってつまり……」

「ウィスベリーが自分で調べて私達のピアスの秘密を知った。それなら私も何も文句は言わないわ、だけどよく考えて。私はともかく、一度も会ったことがないロバートのピアスを、どうしてウィスベリーが知りえるわけ?」

「それは確かにそうね。でもウィスベリーってロバートと本当に面識ないの?」

「それは断じてない。私が知ってるわ」

「どうして、そんなことが言えるわけよ?」


 エイダの言葉にパメラは異を唱える。


「実はね……私ロバートの記憶、覗いたことあるの」

「はぁ? 突然何言い出すの?」

「しぃ! 声が大きい!」


 パメラは思わず手で口をおさえる。


「記憶を覗いたって、そんなこと本当にできるの?」

「この際だから言っておくけど、〈コネクティングロープ〉って魔法があるのよ」

「なに? コネクティング……ロープ?」

「この魔法を使えばね、眠っている人間の脳の中に侵入出来て、その人間のこれまでの記憶が覗けちゃうわけ。ほら」


 そう言うと、エイダは右手に光るロープを握ってパメラに見せた。


「そのロープが?」

「まぁ私が少しだけ改良したんだけどね。今もロバートと繋がっているわ。どれだけ距離が離れても、ロバートの記憶が覗ける。彼が寝ている間だけどね」

「それで……本当にロバートの記憶を覗いたって言うの?」


 エイダは黙って頷いた。


「黙っててごめんなさい。いずれ話そうと思ったけど……」

「いいわよ。それで、その記憶の中でウィスベリーに会ったことがないっていうわけ?」

「そうよ。少なくとも、彼のこれまでの記憶ではそう……」

「なるほど。でもそれじゃウィスベリーは、どうやってピアスの存在を知ったのよ?」


 エイダはここで考え込んだ。


「ウィスベリーも、結局指示されて動いただけかもしれないわ」

「は? それって……」


 パメラはジョニーを見た。


「まさか、まだジョニーさんのこと疑ってるの?」

「違うわ。さすがにジョニーさんとは思えない。でも、まだ……誰か別の黒幕がいる気がしてならないの」

第百四十話ご覧いただきありがとうございます。


この作品が気に入ってくださった方は高評価、ブックマークお願いします。コメントや感想もお待ちしております。またツイッターも開設しています。


https://twitter.com/rodosflyman

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ