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第百三十一話 究極の強化薬は危険すぎた!

 耳を疑う言葉が出た。なんとルウミラの隠し能力である〈不動結果〉をバッシュが発動させている。確かにそう考えたら、〈真空波動剣〉は通用しない。


 どうしてバッシュが〈不動結界〉なんかを。と思っていたら、バッシュが目の前まで来ていた。


「おらおら、ぼぉっとしてんじゃねぇよ!」


 両手に持った鋭い剣が俺に襲い掛かる。幸いバッシュの戦闘能力はそこまで高くないから、避けやすい。剣もやけくそに振っているだけだ。


「二刀流にしたからって、意味ないぜ。ちゃんと剣捌きを磨かないと」

「てめぇに言われる筋合いはねぇ! それにまだこんなもんじゃねぇぜ、おらぁあ!」


 バッシュが両手を広げて立ち止まった。息を大きく吸い込んで気合を込めると、なんと剣身部分が真っ赤に輝き出した。


「あれは……まさか!?」

「とっておきを見せてやるぜ! 〈クロススマッシャー〉!」


 バッシュが剣を交差させながら振り下ろす。十字状の真っ赤な衝撃波が俺に襲い掛かった。


 〈クロススマッシャー〉は特殊剣ディバインクロスでしか発動できない武器固有スキルの一つだ。まさかバッシュがこんなスキルを使うだなんて。


「ふはは、ロバート! これが俺の力だ! 思い知ったか!」


 なんとか間一髪でスキルをかわした。だけど俺の後ろの壁は完全に破壊された。壁一面が、絶景の大海原に変わる。


 そして思わず下を見ると、なんと俺のいた部屋は地上から相当高い場所にあった。多分地上百メートルくらいあるだろうか。


「そこから落ちたらどうなるか、わかるだろ? さぁ、もっと地獄を見せてやるぜ」


 甘く見ていたな。見覚えのある剣だと思ったら、ディバインクロスだったか。大方アメリアからもらったんだろうな。


「うぉおおおおお!!」


 バッシュは再び踏み込んできた。〈クロススマッシャー〉は威力は高いが、一方向だけにしか放たれない。しっかりと軌道を見極めれば回避は簡単だ。


 でもいくら避けても、バッシュには〈不動結界〉がある。ルウミラの時と同じように強引に破壊するしかないか。


 バッシュの二度目の〈クロススマッシャー〉を避けて、奴の側面に近づいた。ここから一気に〈サウザンド・バースト〉でケリをつけよう。


「無駄だ! どんな攻撃も俺には通用しねぇよ!」

「残念だけど、〈不動結界〉はすでに破壊した。ルウミラで実証済みさ」

「なにぃ!? わけわかんねぇこと言ってんじゃねえ!」


 やっぱりバッシュには俺の言っていることが理解できないようだ。仕方ない、実際に見せてやろう。


「〈サウザンド・バースト〉!」

「分裂しただと!?」


 無数に分裂した俺の体が、一斉にバッシュに襲い掛かる。攻撃は全て〈不動結界〉に弾かれる。


「ははは、何度斬りつけようが無駄だぜ! いくらでも……なに?」


 無数に分裂していた俺の体は一か所に集まった。直後、コスモソードを全力で振り下ろし、呆気なく〈不動結界〉は破壊された。


「……なん……だと?」

「どうだい? ちゃんと破壊出来ただろ?」


 さすがのバッシュも動揺を隠しきれない。体が震え始めた。


「ぐはぁ!?」


 直後、バッシュの体から血しぶきが上がった。ルウミラの時と同じでやっぱり、結界を破壊した余波の攻撃で決着できそうだ。バッシュは倒れこんだ。


「これで片付いた。あとはここから抜け出さないと……」

「まだ、終わりじゃねぇよ!」

「え?」


 なんとバッシュがよろよろと立ち上がった。血が大量に流れている。


「おい、やめろ! それ以上無理すると本当に死ぬぞ! それに結界はもうないぞ」

「ふざけんな! たとえ〈結界〉が破壊されようと、俺はてめぇだけは許さねぇ! まだ奥の手があるんだよ!」

「奥の手だって?」

「ふふふ、これだ!」


 バッシュが内ポケットから何かを取り出した。瓶だ。金色に光る液体が入っている。まさかと俺は思った。


「まさか……それって!?」

「聞いて驚くなよ。これこそが伝説の強化薬と言われている〈覇王の魂〉だ!」


 予想は当たっていた。〈覇王の魂〉、俺達が最初作成を目標にしていた強化薬だ。全ステータスを一時的に五倍以上も強化させるチートアイテム。


「そんな体で飲むなよ! どうなるか知ってるのか?」


 俺は警告した。〈覇王の魂〉は確かに究極の強化薬と言われている。でも中途半端なレベルで飲むと、恐ろしい副作用をもたらすんだ。


「ふふ、知ったことか! これを飲めば俺は遥かに強くなれる! 今度こそてめぇも終わりだ!」

「やめろ!」


 俺の制止を無視して、バッシュは〈覇王の魂〉を一気飲み干した。


「はは、力が漲るぜ! すげぇぞ、これは!」

「……はぁ、全く」

「うぅううううう! な、なんだ? 体が!? ぐぅ!?」


 直後バッシュが急に苦しみだした。胸元を押さえて、しゃがみこみ、体中の色が変色し始めた。


 目も充血している。そして体中の筋肉が、異様に膨れ上がってきた。


「ぐがぁああああああ!! ごわぁあああああああ!!」


 苦しみが絶頂に達して、呻き声をあげた。バッシュの体がドンドン膨れ上がってくる。服も破け、緑色に変わった上半身の筋肉が剝き出しになった。


 そして顔には角が生え、目は赤く光り、牙も生えた。耳も尖がり、もはや外見は人間ではなくなった。


「やっぱり〈怪物化〉したか。言わんこっちゃない」

「ぐばぁあああああああ!!」

第百三十一話ご覧いただきありがとうございます。


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