表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/289

第百三十話 飛ばされたのは最果ての島!?

再びロバート視点です。

「どこなんだよ、ここは?」


 転移魔法によって亜空間に飛ばされ、俺は今見知らぬ場所に来ている。石造りの正方形の部屋だ。小さなドアがあるが、案の定鍵がかかっている。


 いや、部屋というより牢獄に近い感じかな。窓から外を見たら、絶景の大海原が広がっている。


 海の色が若干違う気がする。それに気温も全然違う。まさか違う島まで移動されたのだろうか。もしそうだとしたら大変だ。


「場所が知りたいな、正確な場所が……」


 俺が転移魔法で移動させられたのは、大灯台の地下、海水が通ってきた抜け道の先にあった部屋だ。


 大灯台の地下に隠し部屋があったとは。そこから転移魔法で向かった先、俺の記憶が正しければここは全く別の島になる。


「世界地図を見よう」


 アイテムボックスから世界地図を取り出した。俺が元いた島は、世界地図だとほぼ左下に位置している。かなり小さい島だけど、確かに左下に島がある。


 そこからさらに北に向かって指でなぞった。赤道を超えさらに北に指を一直線でなぞる。すると、再び小さい島を見つけた。


「ここか……最果ての島」


 バタン!


 遠くからドアが開く音が聞こえた。足音がゆっくりと大きくなってくる。俺が今いる小部屋のすぐ外側に誰か来ているのか。


 そして壁についていた小窓が開いた。金髪の男が顔を出した。一目見ただけで誰かわかった。


「よぉ、久しぶりだなロバート!」

「お前は……コルネ村の村長をさらった」

「そうだ。俺のことを忘れたとは言わせねぇぜ」


 なんという因縁か。まさかこんな場所で再会するだなんてな。


「……顔は覚えているけど、名前なんだっけ?」

「てめぇ、ふざけたこと言わせんな! 俺の名前を知らねぇだと!?」


 ふざけてはいない。確かにソーニャの町に来た時にも会ったけど、肝心のこの金髪の名前だけは聞いてない。


「ちっ、まぁいい! 俺の名前はバッシュ・ヴェーリックだ。二度と忘れるなよ!」


 バッシュか。やっと思い出した。何度も絡んでくる嫌味な金髪キャラだったな。


 でもまさかこんな島にまでいるだなんて。一体どうしてこんな場所にいるんだ。


「それはそうとロバートよ、お前も遂に終わりだな。こんな場所にまで飛ばされてよぉ、いい気味だ」

「まさかと思うけど、あの貴婦人と知り合いか?」

「貴婦人? あぁ、アメリア令嬢のことだな。当然だ、知り合いも何も俺達を救ってくれた偉大なお方よ。こんな素晴らしい要塞まで用意してくれて、凄い武器までくれた。一生あのお方についていくぜ」

「へぇ、ここがどこかも知らないで呑気なことを……」


 バッシュは俺の言葉に反応した。


「てめぇ、何が言いたいんだ?」

「ここは、最果ての島さ」

「最果ての島!?」

「やっぱり知らないか。教えてやるよ、世界地図上で左上に位置し、一番近い島とも約2000キロは離れているんだ。帝国本土とも5000キロ近く離れてるよ」


 俺は世界地図を広げて、バッシュに自分達がいる場所を示しながら説明した。


 バッシュはしばらく無言だった。困惑しているようだったけど、しばらくして笑いに変えた。


「ははは、何を言い出すかと思ったらそんなことかよ。言っておくが、転移魔法が使えるから関係ねぇよ! それに船だってあるしな」

「船か。でも仮にあったとしても、何日もかかるから移動は大変じゃないかなぁ」

「普通の船じゃねぇ。アメリア令嬢が取り寄せた特注の魔道船だ。たとえ数千キロ離れていようと、一時間とかからねぇぜ!」

「へぇ、それは凄いな。でもさ、俺がその船を奪って、ついでにアメリアを倒せば、もうおたくらここから戻れないよね?」


 バッシュは顔を引きつった。だけどまだ余裕の構えを崩さない。


「……ふふ、何を言い出すかと思ったら、確かにそうなったら面白いだろうな。しかし!」


 バッシュの顔が突然小窓から消えた。次の瞬間、壁が瞬時に崩れ去った。


 バッシュは剣を両手に持っている。二刀流だ、かなり切れ味が鋭そうな見事な剣だ。まさかここで戦うつもりか。


「何の真似だ? そんな物騒な武器取り出して」

「てめぇは今ここで俺に八つ裂きにされるのさ。そのために俺はあのお方に忠誠を誓ったんだ、恥もプライドも捨ててな!」

「何を言い出すかと思ったら、そんなことのためにわざわざこんな島まで来たのかよ」

「うるせぇ! てめぇに何がわかる!? もう二度とコケにされるわけにはいかねぇ、言っておくが今度は手加減はしないぞ。マジでぶっ殺す!」


 バッシュの目が血走っている。半分狂っているとしか言いようがない。


 すべては俺への憎しみのためか。いや、ヒューリック家への恨みかな。親父の尻拭いを俺がしなければいけないとはな。


「悪いけど、一瞬で終わらせる。後悔するなよ」

「ふはは! 言っておくが、今の俺は無敵だ。来るなら来やがれ!」


 随分と余裕の体勢だ。いくら二刀流だからって隙だらけじゃないか。まぁいいか、攻撃が当てやすくなるから都合がいい。


「〈真空波動剣〉!」


 この剣術スキルで一撃だろう。と思ったら、なんとバッシュは避けようともしない。まさか〈真空波動剣〉を受け止めるつもりか。


 カァアアアアン!!


 何かが弾かれるような音が聞こえ、真空刃は跡形もなく消えた。バッシュは健全な様子で立っている。一体何が起きたんだ。


「ふはは、今の俺にはどんな攻撃も通用しねぇ! 〈不動結界〉があるからな!」

「〈不動結界〉だって!?」

第百三十話ご覧いただきありがとうございます。


この作品が気に入ってくださった方は高評価、ブックマークお願いします。コメントや感想もお待ちしております。またツイッターも開設しています。


https://twitter.com/rodosflyman

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ