私、起きました
ふわふわした柔らかなもので全身がつつまれていて凄くいい感じ・・・。
でも、私こんな布団??持ってたっけ??・・・。
目を覚ますと、背中に柔らかいベッドの感触がした。
いつもの自分のベッドよりすこぶる寝心地がいい。
ここどこだろう?
綺麗な装飾のほどこされた壁にぐるりと囲まれた部屋は、大きな窓からは眩しすぎるほどに太陽の光が差し込む。
そして私が寝ているのは豪華な特大ベッド。
明らかに知らないベッドだわ〜。
そんな事を他人事のようにぼんやりとした頭で考えていると、
私を抱きしめている小さくて熱い体温に気がつきはっとした。
えっ???何??誰なの??どこの子??
目の前にふわふわとした金髪の天使のような子供が現れた。
私の脳内パニックをよそに、金髪天使は
「ふわふわ、ふわふわ」
「やわらか〜い」「………」と私の胸に顔を埋めて擦り寄っている。
かわいいい・・けど、ふわふわの髪の毛の先が肌を滑ってくすぐったい。
でも、起こすのもかわいそうだしなー、そんな事を考えていたら、
突如、胸に違和感を感じた。
そして私が目にしたものは、金髪でブルーの瞳を持った子供がしっかりと両目を開けて両手で私の胸を揉んで「ムニュムニュしてる〜」と呟きながら胸の顔を擦り付けてくる姿だった。
「ぎゃ〜あ」
「はなして〜」
私はすんごくびっくりして、大きな声がでてしまった。
突如、部屋の扉がバターンという激しい音とともに開き、
「何事だ」と怒気を孕んだ声がした。
もちろん私の大きな声なんて一瞬で止まりましたよ。
だって、扉の方には、キリリとした涼しい顔立ちの、白金色の髪が美しいしい背の高い女性騎士が立っていた。
紺碧の澄んだ目がとても涼やかで、白い騎士服も相まって物語にでてくる貴公子のようだ。
私はその美しさに(いや、多分ものすごく)惚けてしまった。
本当にすんごくかっこいいわ〜、眼福、眼福。
「エイビー・セブールと申します。どうぞお見知りおきを。光に導かれし姫様」
「姫様・・・」って、この金髪天使のこと??
私は自身の胸元にいるであろう金髪天使を確認しようと視線をむけるも
あれ??いつのまにかいない・・・。ってことは、他にだれかいるの??
部屋全体を見渡してみても誰もいない。
部屋は続き部屋になっているらしく、扉を隔てた隣部屋から
「ルキ、あなたって子は」
誰かの怒鳴り声がする。
さっきの金髪天使は、ルキっていうんだ・・・男の子・・だよね??
隣の部屋からは怒っている女性の声と
「ちがうんだ〜」
「ちょっとだけ、見てみようと思っただけなんだ〜」
ルキ?らしき子の声がする。
「姫様」頭上から心配そうな声がした。
私は、はっとして声のした方を見上げると見目麗しい眼福の女性騎士の顔が目の前にあった。
私はびっくりしすぎて後ろにのけぞった。
のけぞりすぎて変な前回りならぬ後ろ回りをしそうになったところを
その元凶となった女性騎士に支えられた。
助かったけど助かってない・・・。
美しすぎる顔が触れてしまうくらい近くにあり、私の顔を心配そうに覗き込んでくる。
もう無理〜、無理〜・・このままでは、
美しさに殺されてしまう〜。
「近いです」
私はやっとのことで言った。
私をベッドの端にやさしく座わらせてくれながら、「申し訳ありません」
女性騎士のその言葉に私はとても申し訳なくなってしまった。
そんな私の思いが顔にでてしまっていたのか・・・
重苦しい空気が漂ってしまっている。
あ〜、もうどうしたらいいの?
私はどうとでもなれ、そんな半ばやけっぱちな気持ちで
「私は、姫ではありません。ここはどこですか?」
なるべく丁寧にきいてみた。