第二話 「ロストファンタジー」
「さっそく行こうじゃないか」
「行くって……まさか!」
「そう。1つ目のゲーム。ロストファンタジーに」
1つ目のゲーム〈ロストファンタジー〉。
簡単に説明すると、王をなくした国がモンスターに襲われ、それを救うのが勇者……あっ、俺か。
7つのゲームはどれもその国の王様が消えその王様を救うまでが1つのルールだ。
今回の場合、魔王を倒し王様を助けるのがクリア条件。
「最初は防具を揃えるために弱いモンスターを倒しに行こう」
「ん? 君は何を言って言っているんだい? 防具ならもう揃えているぞ。自分の体をよく見てみろ」
自分の体を見ると、白く輝く見るからに強そうな防具が全身を覆っていた。
「ホントだ。いつの間に」
「主人公補正というやつだ。気にするな」
主人公補正……
どうやって用意したのか、主人公補正だとか、気になるところが多すぎて苦笑いするしかなかった。
「早く行くぞー」
俺は歩いていくキャロを急いで追いかけた。
少し歩くと近くにはなかったはずの青いゲートらしきものが現れ、そこを通ると、
「まじかよ。ここがロストファンタジーのせかいなのか……」
想像していたものの100倍は恐ろしい風景がそこにはあった。
赤い空。焼けた大地。城の周りを飛ぶ無数のドラゴン。
「まさかあれって」
「ああ。魔王の城だ」
やっぱり。ってことは今からあそこに乗り込むのか?
「今からあそこに乗り込む」
今からだったー。
「戦いは道中で出会うモンスターで覚えて」
「うそー! 無理無理無理無理!」
「もー! おいていくよ!」
えー! 初手でここ行くのは流石に……
「もう! 君ってやつは!」
その時、頬赤らめたキャロが近づいてきて、俺にキスをした。
「どう? 行ける?」
「あ!? ナメてっと殺すぞボケ!」
「口悪いな……」
少し引き気味のキャロを横目に、
「事情はわかってる」と一言。
「話が早い。それと、君には君専用の防具を用意した。存分に使ってくれ」
そう言ってキャロが指を指を鳴らすと、黒い炎が勇気を包んだ。
「うおおお! なんだコレ!」
炎が消えると漆黒の鎧が全身を包んでいた。
「いいじゃねーか! バグってるぜ!」
「私は戦えないから戦闘は君に任せるよ」
「いいぜ」
全員ぶっ潰してやる!
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