05 何も間違っていない
そして、数年が経過した。
ドラインは、前と同じように騎士を目指して試験を受けていた。
そしてまた、親友にはめられたようだ。
馬鹿みたいだ。
そんな私は彼に、騙されないようにと助言する事もできたけれど、結局しなかった。
だって、ドラインが一度私を裏切った事は消えない。
その事実を忘れる事なんてできなかったから。
だから、心の中であざけりながら、悲しそうなドラインを慰めるのが日課になった。
そんな日々を送っているうちに、とうとうその日がやってきた。
「君に頼みたい事があるんだ。ちょっとしたいたずらをね。この睡眠薬を、飲み物に混ぜてくれないか?」
きた!
けれど、今回は前回とは違う。
部屋の外で、騎士達がこの会話を聞いているからだ。
「分かりましたわ。ドライン様の言う通りにします」
そして、ドラインとの会話を終わらせて部屋を出た私は、証拠である毒薬を持って、あらかじめ待機させていた騎士に渡した。
騎士達は、頷いてそれを持っていった。
成分調査が終わったら、ドラインはおそらく捕まるだろう。
「踏みだしましたわね、ドライン様。もう待っているのは破滅だけです。今まで楽しかったですわよ。なかなか滑稽で」
久しぶりに相談しにいった神官様も「よくやったね」とほめてくれた。
大丈夫、私は何も間違っていない。