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イエロ駅  作者: 淡雪
4/6

4日目




「あ、もしもし? (ほう)ちゃん?」


七海(ななみ)


「うん。今日も」


『座れなかったんだな?』


「ご名答~」


『乗客は昨日より減ったか?』


「減ってるね。でも」


『それでも座れないのか』


「そうなの。何でかな」


『何でだろうな』


「さっきね、二つ目の駅を通過したけど、いなかったよ」


『最初の駅と、一つ目の駅と、二つ目の駅?』


「そう。いなかった」


『そうか』


「……いるかな」


『三つ目の駅?』


「そう」


『どうかな』


「いるんじゃないかな。だってひと駅ずつずれていってるんだよ?」


『偶然かもしれないだろ?』


「そうかな。本当に偶然なのかな」


『七海』


「なに?」


『ひとつ聞いていいか?』


「うん」


『いつも同じ時間に乗り合わせる女性とは、会えたか?』


「え? 誰?」


『そっか。わかった』


(ほう)ちゃん?」


『うん。たぶん、七海の予想は当たってる』


「え?」


『三つ目の駅に、黒い影がいるってこと』


「やだ、脅かさないでよ。急にどうしたの?」


『七海。三つ目の駅に着いたら、ちゃんとよく見て』


「え、何を」


『黒い影』


「えっ! やだよ怖い」


『大丈夫だから。ちゃんと見て』


「なに……? どういうこと、(ほう)ちゃん……?」


『怖がらなくていい。たぶん、それは七海が怯えるような存在じゃない』


「なにを根拠に……だって、真っ黒いんだよ?」


『うん』


「目も鼻も口もないし」


『うん』


「耳だってないし」


『うん』


「本当に影絵みたいに真っ黒で、気味が悪いんだよ?」


『うん』


「それでもよく見ろって言うのね?」


『うん』


「……どうしても?」


『どうしても』


「……………わかった」


『うん。俺を信じて』


「信じてるけど……怖いものは怖いんだからね」


『わかってる。たぶん七海の不安も、そう続かない』


「え? どういう意味?」


『七海』


「なに?」


『唯は、今日もいい子だよ』


「え?」


『七海。窓の外を見て』


「え? 外?」


『何が見える?』


「真っ暗で何も見えないけど。夜だし」


『そうだな』


(ほう)ちゃん?」


『三つ目の駅に着いたか?』


「まだ――って、着いたみたい。速度が落ちた」


『そうか。黒い影は、いるか?』


「……うん。ホームにいる」


『じゃあよく見て。それは誰?』


「あれは―――――」




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