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イエロ駅  作者: 淡雪
2/6

2日目




「あ、もしもし? (ほう)ちゃん?」


七海(ななみ)


「うん。今日もやっぱり座れそうにないよ~」


『それは残念』


「言い方に労いを感じない」


『気のせい気のせい』


「も~」


『そういえば、知り合いが乗ってたって言ってたけど、話聞けた?』


「あ、そうそう! 忘れてた! 何かね、彼女も黒い影らしきものを見たらしいんだけど、気にならないって言うんだよ?」


『気にならない?』


「そう。おかしいよね? 目撃したなら絶対気になるはずなのに」


『他の人はどうなんだ?』


「え~、話しかけられる? 私は無理。知らない女から唐突に『ホームの黒い影、見ました?』なんで質問されて、(ほう)ちゃんならまともに相手する? 頭のおかしい人だって見られるのヤダ」


『まあ……確かに』


「でしょ? だから聞いてない、というか、聞けません」


『なるほど。でもそれじゃ情報少ないだろ? 今日もいたのか?』


「最初の駅?」


『そう』


「これがいなかったんだよね」


『え? いなかったの?』


「いなかったの」


『一つ目の駅は?』


「まだ通ってないけど、たぶんそろそろ? ……あ、いま通過した」


『いた?』


「ううん。ここにもいなかった」


『昨日話を聞いた女性は乗ってるのか?』


「え~と、ちょっと待ってね。……………あれ? いない」


『いつも同じ時間に乗り合わせる人?』


「まあ大体そうね。私の退社する時間が遅れたら無理だけど、定時に上がれた時は乗り合わせるね」


『今日は遅れた?』


「ううん。定時通り。だから不思議で。あ、有休とか?」


『そうかもね』


「なるほど~」


『気にならないって言ってたその人、他に何も言ってなかった?』


「う~ん……特には」


『何で気にならないのかは聞いた?』


「うん、それは勿論!」


『なんて?』


「それがいまいち要領を得ないというか、意味不明というか」


『話して』


「気にしたら駄目なんだって。でね、彼女は昨日、乗車駅と一つ目の駅では見てないって言うの。おかしくない?」


『七海とは見え方が違うってことか』


「やだぁ……なんか益々怖い」


『大丈夫。電車に乗っている間は、こうして俺が話し相手になるから』


「ホントに? お願いよ?」


『ああ。……二つ目の駅は通過したか?』


「あっ、ナイスタイミング! いま通過して――えっ」


『どうした』


「いた……二つ目の駅のホームに、黒い影」




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