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イエロ駅  作者: 淡雪
1/6

1日目




「あ、もしもし? (ほう)ちゃん?」


『―――――七海(ななみ)?』


「うん。いま電車乗ったところ。いつもよりは混んでないんだけど、今日もやっぱり座れそうにないの」


『……そうか。疲れてないか?』


「疲れてるよ~。今日もたくさん働いて参りました!」


『お疲れ』


「ふふっ。朋ちゃんもお疲れ様。(ゆい)のお迎え頼んでごめんね。唯は?」


『元気だよ。さっき寝たとこ』


「ママは恋しくないの~? 唯はパパっ子だもんね」


『恋しがってるよ。唯はママっ子だから』


「そうかな? ふふっ、嬉しい。……………あれ?」


『どうした?』


「うん、実はね。いつも乗車する駅のホームで、何て言うのかな……真っ黒い影? シルエットって言うか。変なものが立ってて、気味悪いなって思ってたんだけど、他の人たちが気にしてる風もなかったから、私疲れてるのかなって」


『――うん』


「目の錯覚ってことにして、その黒い影を避けて乗車したのね」


『うん』


「電車が出て、俯いてる黒い影はホームに立ったまま動かなかったから、やっぱり疲れてたのかなって」


『うん』


「ほら、私が毎日利用してる電車って、乗車する駅を入れなければ三つの駅を通過するじゃない? で、私はその三つ目で降りる」


『うん』


「いま一つ目の駅を通過したんだけどね」


『うん』


「……立ってたんだよね、駅のホームに」


『最初の駅に立ってた、黒い影?』


「そう、それ」


『また俯いて?』


「そうなの」


『他の乗客は見たの?』


「それがね、誰も見てないのよ。静かっていうか、微動だにしないっていうか。ふふっ、寧ろ私一人が騒がしい」


『電車内で電話している時点でマナー違反だからね』


「あっ、それもそうか」


『でもまあ、迷惑かけてないなら構わないよ』


「そうかな?」


『そうだよ』


「じゃあ切らないでいいかな?」


『うん。切らないで』


「え?」


『どうせ暇でしょ』


「暇ですけど。何かムカつく~」


『はいはい。それで? 黒い影は通りすぎた?』


「うん。もうすぐ二つ目の駅を通る頃――あ。」


『いた?』


「ううん。いなかった」


『じゃあ最初の駅と、一つ目の駅に居ただけで、二つ目の駅にはいなかったんだ?』


「うん。ねえ、(ほう)ちゃん。あれって何だろう?」


『わからない』


「だよね。あ、知り合い乗ってた! 彼女も黒い影見たか聞いてみる。じゃあまた後でね」




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