プロローグ:かくて魔王はエクスカリバーを手に入れた
目の前にひとふりの剣が突き刺さっている。
銘をエクスカリバーという。
これを抜けたものが勇者として魔王として讃えられる。
当然、私にこれが抜けるわけがない。
何故なら私こそが、今代の魔王デスメタルなのだ。
私を唯一傷付けられるというエクスカリバーが怖いので勇者に抜かれる前に抜きにきたという算段だ。
ちなみに村人には一切傷をつけていない。私はいい魔王なのだ。
試しに柄に触れたが特にダメージを負うようなことはなく、第一関門は突破した。
最低限、これを人目に触れない魔王城へと持ち帰ることが今の私のミッションだ。
魔王城にあれば勇者の手に触れずにすむ。我ながら名案だ。
しかし、柄を引っ張ってみてもやはり抜ける気配はない。
私としては聖剣が壊れても問題がないので身体能力を限界まであげてみたが無駄だった。
少し疲れたので一休みをしていると、村の子どもが「おにいさん疲れたの?これあげる」と泥団子をもってきてくれた。
魔族の私とて泥など食べられるはずはないが口にする。私のためにこんなかわいい子どもが差し入れを持ってきてくれたのだ断れるはずがない。
苦笑いをしながら「美味しいよ。ありがとう」と言って完食すると、なぜか子どもは悲鳴をあげながら逃げ出した。怖がらせることなど何もしていないはずなのに人間の子はよくわからない。
しかし、私は泥団子に聖剣を抜くヒントを得た。
子どもが忘れていったスコップを使い聖剣の周りの土をほりすすめる。
スコップを強化すれば刃こぼれもなく掘り進められた。
名づけて『聖剣を抜けないなら土台ごと持ってけばいいじゃん作戦』だが、今まで誰もやらなかったのが不思議だ。半日ほどで台座ごと聖剣を取り出すことに成功した。
めちゃくちゃ重たいが魔王の身体能力なら持てないこともない。
土台ごと聖剣を持ち歩き村人に「これで私が勇者だな」と言ってみたら、「そら、あんた取り出しただけで抜けてねえし違うだろ」と言われてしまった。
なるほど、たしかに抜けていない。そのとおりだ。
とりあえず、この聖剣は魔剣エクスカリバー(鈍器)と名付けようと思う
まあ、何はともあれ持ち出せるようにはなった第2関門クリアだ。
最後に村長に魔剣エクスカリバー(鈍器)を持って行っていいか尋ねると「どうぞどうぞ。今まで変な人が「俺が勇者だ!」と言って、大勢来て困っていたので困っていたのです。デスメタルさんに持っていってもらえると助かります」と許可のついでに御礼まで言われた。
きちんと許可を得て持ち出す。私はいい魔王なのだ。
これで第3関門クリアで、あとは魔王城まで持っていければミッションコンプリートだ。
初投稿です
とりあえずお試しですがよろしくお願いします