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罪なき献身

今回の使用メーカーさん


https://picrew.me/image_maker/6453

作者@aerobe10

(twitter/aerobe10)


不定期更新


アイコン使用、二次創作可○

自作発言、二次配布禁止×


降り注ぐ手紙には全て封がされている。

その中には愛らしくハートの形をしたものまであった。

だからと言ってそれを区別するわけもなく、彼はそれを目の前に膝を付いて祈っていた。


「愛しい者へ届きますように」


それは彼の仕事だった。

黒い服は配達者の証、額の角は己がその職に就けるのだという証明、彼の役目は「恋文を届ける事」。

勿論、彼はこの役目を誇りに思っている。

今日もまた降り注ぐ手紙を拾い集め、宛先へ届けるのだ。


何という素晴らしい仕事だ。

彼は幸福だった。


彼の仕事の数だけ、人は愛を謳うのだ。

なんと素敵で美しく平和なことだろうか。



軽くなった仕事鞄を片手に帰還した彼に、

しかしながら同僚は侮蔑の目を向けた。

誰よりも素早く配達が行える彼は同僚に好かれてはいない。

それは知っているが、己の誇りに思っている仕事に支障を懐す理由にはならない。

その視線を彼は無視した。



「…あの白い羽の意味を知っているか…?」


彼の同僚は仲間に声を掛けた。知らぬと首を振る相手に話を続ける。


「あれは正しくない行いをしたものに与えられる形の羽だ。白いのは心が穢れている訳ではないからで、余計に達が悪い。」

首を傾げる相手に、同僚は嘲笑交じりに彼の後ろ姿を見つめ、告げた

「あいつは「黒ヤギ」で確かに配達員の種族だ。配達することに奉仕の念を持ち、確実に仕事をこなすが…

好ましい手紙は無意識に食べてしまうんだよ。

あいつの手に渡った恋文は何一つ届いてはいないし、本人もその自覚はない。けれども間違いなく本人は職務を全うしていると判断されている。」

「ああやって、今だ恋文を担当しているのはそんな理由だ。」




「一体どれだけの人がその愛を失ったのだろうな?」




彼の同僚は彼を見る。

愛に祈り、幸福そうに手紙をかき集めるその姿を話し相手は悍ましい者を見たかのように目を背けた。



「愛しい者へ届きますように」



彼の祈りが、膨れ貯まった腹から発せられた。

白く美しい色の罪の羽をもつ黒ヤギは、膨れ上がった腹に何を孕んだのだろうか?





私のpixivアカウントに投稿させていただいた、メーカーさん使用の絵です

https://www.pixiv.net/artworks/77441359

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