プロローグ
あり得ないこと。すべて、それで片付けてしまうのは面白くない。
主人公の後ろから、僕が日常生活でふと考えること、感じたこと。
いろんなものを吐き出します。
ザアァーと、激しく雨が降る夜。そこそこの広さである部屋に、暗い表情の人々が集まった。もちろん、僕もである。
先程まで、泣き声やら、感謝やら、いろいろな言葉が飛び交っていたこの部屋であるが、いまに至っては、不気味なほどに静かである。
今、行われているのは、慰柏原 蓮の親。つまり、僕の親の葬式だ。今、この場が静かな理由、それは、簡単なことだ。
何か意見をすれば、僕という邪魔者をなすりつけられてしまう。そんな空気がこの場にただよっているからである。
僕だって、それは理解でき、しかたないことだとも思えた。
僕は、生まれつき病弱で、今までたくさんのお金をかけ、手間をかけて育ててもらってきた。そんなこと、親でもないのに、やりたいと思う人がいるはずがないのだ。
しかし、とある一声がその沈黙を破った。
「蓮くん、行く所ないでしょ?私の所へ来なさい」
その一言が放たれると、周りの人たちは、一斉に帰っていった。
先程まで広い部屋にいた人々は、あっという間にいなくなり、僕と、先程の沈黙を破ったおばさんだけが残った。
驚いたのか、悲しいのか、それとも嬉しいのか...僕には全く理解できなかったが、ただただ、涙だけがこぼれ出ていた。
そして、雨の音に意識をとられ、ボーッと呆ける僕の頭を、おばさんは優しく撫でてくれていた。
これからも、ぜひよろしくお願いいたします。