第六十一話 地下迷宮の死霊(レヴェナント)
場所を司令室に変えて、真夜中の秘密会談は行われた。
参加者はヨーグル陛下、オクセンシェルナ、エマリィのお祖父さん、ネコミミの青年、そして俺とエマリィだ。
この会談の「議題」でもあるネコミミ青年の名は、アルマス・ランディルノと言い、エマリィのお祖父さんの古くからの知人の息子さんだそうで、彼自身とも長い付き合いらしい。
「……このアルマスの親父さんは、同じパーティーの仲間でな。世界中を旅して回った仲じゃ。そしてこのアルマスも、赤ん坊の頃からよく知っておる。そんなアルマスが、数年ぶりにワシの所を訪れたかと思えば、とある人物を探すのを手伝ってほしいと頭を下げてきおってな……」
開口一番、エマリィのお祖父さんは、アルマスとの関係性を簡潔に説明してくれた。
「その者が魔族を討ち取り、無事にユリアナ姫王子様を助け出したというニュースは、故郷の村にも伝わっておった。だから、ワシはダンドリオンの冒険者ギルドへの紹介状を持たせて、あとは自力でなんとかしてもらおうと思っておったところに、今度はエマリィからの手紙と、二度目の魔族撃退のニュースが飛び込んできての。まさかこんな世間を騒がせておる英雄譚に、我が孫娘が関わっておるとはのう。それで居ても立てもいられなくなり、自らアルマスを引き連れてやって来たという訳じゃ……」
「事情はだいたいわかりました。つまりアルマスさんは、俺になにか仕事の依頼があるということでいいですか?」
「そ、そうなのです! ただ、色々と複雑な事情がありまして……」
アルマスは初めて笑顔を浮かべたが、ふと我に返ったようにヨーグル陛下とオクセンシェルナを見て、遠慮したように口を閉ざして俯いてしまう。
その様子に俺が二人の方に目を向けると、オクセンシェルナはやれやれと言った感じで深い息を吐いた。
「王室は原則として、冒険者がギルドを通しての依頼や、個人的に頼まれる仕事に関して一切干渉はせぬ。それはタイガ殿が冒険騎士という爵位を持っていてもじゃ。だが依頼主が外国人の場合――それも、現在我が国と休戦状態にある国の民となれば話は別。依頼の内容の精査と承認には、とことん口を出させてもらう。それが今夜陛下と私がここへ来た理由だ……」
と、いきなり堅苦しいことを真顔で言い始めたオクセンシェルナに戸惑う俺。
そんな俺を見て、遠慮しつつも口を開くアルマス。
「すみませんタイガさん。僕はロズニアおよびヴォルティス連合王国の民なのです……」
そう言われてもキョトンとしていた俺を見て、エマリィがそっと口添えしてくれた。
「タイガ、ロズニアおよびヴォルティス連合王国は大陸の東にある大国で、ステラヘイム王国とは十年前に領土紛争があって以来、今も休戦状態なの。だから……」
「別にワシは直接アルマスを連れて、この魔法戦艦へ来ることも出来たのじゃがの。しかし、それでは陛下とオクセンシェルナの顔に泥を塗ることになる。それにエマリィと未来の婿殿の立場も潰しかねん。それで最初に王城を訪れて、筋をしっかりと通すことにした訳じゃ。アルマスには陛下が首を縦に振らなかった場合は、素直に諦めて国へ帰れと申してあった」
と、エマリィのお祖父ちゃん。
「ヨーグル陛下とオクセンシェルナ様の寛大な処遇には心から感謝しております――!」
アルマスは床に膝をついて、改めて二人に感謝の念を表した。
しかしヨーグル陛下とオクセンシェルナは、どこか居心地が悪そうな顔でアルマスを見下ろしていた。
「じゃあ陛下はもうアルマスさんから依頼内容は聞いているんですよね? どんな仕事なんですか? 教えてくださいよ」
「い、いや、聞いていると言っても触りだけじゃ。それにやはり詳細は、本人から説明する方がよいだろう。よいぞアルマス。ここでタイガ殿に仕事依頼の内容を話すことを許可する。話せ」
「陛下ありがとうございます! まず仕事の依頼の前に、私の国での立場を説明させてください。普段は王立魔法院で古代魔法に関する文献の管理を行っていますが、現在は最近新たに発見された、古代地下迷宮の発掘調査隊の分隊を任されております」
「古代地下迷宮……」
「そうです。古代四種族の時代の遺跡が地下に埋もれ、長い年月をかけて溜まった魔力によって迷宮化したものです。この地下遺跡の探索ですが、現在我々は重大な問題にぶち当たってしまい、実質的に調査は中止状態に追い込まれているのです……」
「それでその問題を俺に解決してほしいと言うわけですね? 俺のところへ話を持ってくるということは、相当に手強い魔物の類いか何かってことでいいんですかね?」
「はい、まさにその通りです……」
「あの別に悪気があってこんなことを聞くんじゃないんですが、アルマスさんの国にも、俺みたいな冒険者は存在するんですよね? その中の金クラス冒険者でも歯が立たないということですか?」
「こ、これは非常に申し上げにくい話なのですが、探索を邪魔している魔物を、我々は地下迷宮の死霊と呼んでいるのですが、実はこの死霊退治の依頼は、まだ自分の国の冒険者ギルドへは依頼を出していないんです……」
「そ、それはまたどうして――?」
俺が困惑する横で、苦虫を噛み潰したような顔をしたオクセンシェルナが、静かな怒りを孕んだ口調でアルマスを責め立てた。
「アルマスと申したか!? 今の話は聞き捨てならぬぞ。それでは自分の国の冒険者は温存しておきながら、我が国の貴重な戦力たるタイガ殿を引っ張り出して、疲弊させるのが目的とも取れるぞ。いや、むしろタイガ殿の留守の間に、我がステラヘイムに攻め込む算段か!? 陛下! タイガ殿! これ以上、こやつの話を聞く必要はないでしょう!」
話がきな臭い方向へと流れ始めて場の空気が張り詰めたので、俺とエマリィは思わず困ったように顔を見合わせた。
すると眉間に深い皺を刻んだまま、ずっと黙って話を聞いていたエマリィのお祖父ちゃんが重たい口を開いた。
「……オクセンシェルナよ。そなたの心配も尤もじゃが、アルマスはそこまで器用な真似が出来る男でないことはワシが証明するぞ。この男はバカがつくほどに、古代魔法の研究に没頭しておる一途で実直な男じゃ。その男がタイガ君の元へ依頼に来たのには訳があるのじゃ。アルマスよ、まずはそれを話してあげなさい」
「は、はい。我々が地下迷宮の死霊の退治を、地元ギルドへ依頼していないのには、まず発掘調査隊の内部で、死霊排除派と静観派の二つに意見が分かれて纏まらなかったことがあります。そんな時に、私はある事実に気がつきました。どうぞこちらをご覧ください……」
そう言ってアルマスがヨレヨレのブレザーの内ポケットから取り出したのは、A3サイズ程度の三枚の羊皮紙だった。
三枚にはそれぞれ見覚えのある姿の絵が描かれており、その周囲にはびっしりと小さな文字が書き込まれていた。
「――これは我が国の壁新聞ではないか。一体これがどういう関係があると言うのだ……!?」
と、オクセンシェルナ。
アルマスは三枚の壁新聞を机の上に並べると、訥々と説明を始めた。
「そうです。これはタイガ殿が一度目の魔族を撃退した時に、ステラヘイム王国のあちこちに貼られた壁新聞です。そしてこうした注目に値する大きな話題と言うものは、伝書蝶を介してすぐに外国にも伝わるものなのです。それは例え休戦状態で、民の往来が正式に禁じられている両国同士だとしてもです……」
それを聞いたヨーグル陛下とオクセンシェルナは、面白くなさそうに渋い顔を浮かべている。
ちなみに三枚の壁新聞には、三種のABCスーツが描かれていて、手にした剣で黒いシルエットをした怪物を叩き斬っていると言った構図だった。
「そしてこちらが、我々調査隊が目撃者の証言を元に作成した地下迷宮の死霊の似顔絵になります……」
そう言ってアルマスが新たに一枚の紙を、俺たちの前に差し出した。
それを見た全員が絶句していた。
何故ならばそこに描かれていたのは、明らかにABCスーツ――それもビッグバンタンクの姿だったからだ。
「タイガ……これって一体どういうことなの……!?」
エマリィはアルマスが差し出した似顔絵と、俺の顔を交互に見た。その碧眼が不安と動揺に揺れている。
いや動揺しているのはエマリィだけでなく、ヨーグル陛下とオクセンシェルナもだ。
このアルマスが持っていた似顔絵が指し示す事実とは、この世界に稀人が俺以外に存在するということなので、皆が動揺するのも無理はない。
特に陛下とオクセンシェルナは、俺と同等の戦略的価値のある稀人が、あろうことか現在休戦中の敵国に存在する可能性を示されて、半ば顔面蒼白に近いほどに色を失った顔をしていた。
しかし一番動揺しているのは、俺に決まっている。
ただでさえこの世界に召喚された理由もまだわかっていないと言うのに、俺と同じ稀人が、それも同じジャスティス防衛隊プレーヤーが存在しているという事実は、ひどく俺の心を揺さぶった。
言葉では言い表せない漠然とした不安と恐怖がこみ上げてきて、胸の内側をぞわぞわと這いずり回っていた。
自分では気付かない、気付くことさえ許されない大きな流れの中に、知らぬ間に放り込まれてただ翻弄されているような、孤独と焦燥感に胃がきりきりと締め上げられた。
「――しかし待たれよ。アルマスよ、この地下迷宮の死霊の似顔絵が本物だと、どのように証明してみせる? たった今そなたが見せた我が国の壁新聞。それを元に怪物をでっち上げている可能性もあるのではないのか? 今ステラヘイム王国内で時の人となっているタイガ殿の噂を聞きつけて、篭絡するためにでっち上げているとも考えられるではないか。そこは一体どうなのだ!?」
と、オクセンシェルナ。
それを聞いたヨーグル陛下もはっと手を打ってアルマスに詰め寄った。
「そ、そうじゃ! オクセンシェルナの言うとおりじゃ! ワシはつい騙されてしまうところじゃった。アルマスよ! その地下迷宮の怪物の似顔絵が本物で、実際に存在するとどのように証明してみせる!?」
「そ、それは……」
二人に問い詰められたアルマスは、呆然として言葉を失っている。
どうやらその様子からして似顔絵が偽物だと疑われる可能性は、まったく考慮していなかったらしい。
それがアルマスの素直で正直な性格を現しているのか、詰めの甘さを現しているのかはわからかったが、予想外の指摘を受けて明らかに動揺している姿を見ると、確かに悪い人間ではなさそうだ。
「ちょっと貸してもらっていいですか?」
俺はアルマスから似顔絵を受け取って細部まで細かく凝視する。
シルエットは明らかにビッグバンタンクで間違いないが、全体の輪郭が毛羽立ったようになっているのが気になった。
これはもしかして筆の問題なのか、紙の質の問題なのか。もしくはこちらの世界では、こういう技法が一般的なのだろうか。
そのことをアルマスに尋ねると、
「目撃者の証言では、地下迷宮の死霊は、体のいたる所から内側から赤い光が漏れ出しているかのようだったと申しておりましたので、そのように……」
「内側から赤い光……ですか?」
それを聞いて、嫌な予感がすっとかま首をもたげた。
いや恐怖と言ったほうがいいかもしれない。
地下迷宮の死霊と呼ばれる稀人が存在したとして、この体内から光が漏れているように見える現象をどう捉えればいいのだろうか。
俺がアルマスの言葉を聞いた瞬間に頭の中に浮かんだのは、魔力の暴走というイメージだった。
勿論このイメージに根拠などはない。
ただの直感であり、こういうことを杞憂と言うのかもしれない。
しかしこの根拠のないイメージは、俺に得体の知れぬ恐怖感を与えるには十分すぎて、それ以上詳細を聞く気にはどうしてもなれなかった。
そして俺は頭の中にこびり付いた不安を掻き立てるイメージから逃れるように、視線を似顔絵のあちこちに走らせていると、ふとある一点に釘付けになった。
それは左肩にあった。
全体的に絵のタッチは荒々しく、更に体内から漏れ出している光を表現するために、輪郭が毛羽立っていたのでなかなか気がつかなかったが、羊皮紙のビッグバンタンクの左肩には、明らかに三叉槍を彷彿とさせる記号が描かれていたのだ。
それを見た瞬間、俺の心臓は何者かに掴まれたようにドキリと高鳴っていた。
「――アルマスさん! これは一体……!?」
「え? ああ、この左肩の記号ですね。ここには見たことのない花が三つ描かれていたと、目撃者の多くがそう答えていたもので――」
「トリプルケイト・エピデンドラムか……! まさか、そんな……!?」
俺は思わず立ち上がっていた。
羊皮紙を握る両手の震えが止まらない。
ゲーム「ジャスティス防衛隊」は三百ある全てのミッションを、ソロプレイ限定で三兵装のうちどれか一種でもクリアできれば、クリア特典のアイテムとしてABCスーツに貼れるステッカーが貰えるようになっていた。
そのデザインはエピデンドラムの花を模していて、花言葉が「孤高への憧れ」だった。
まさにソロプレイのクリア特典として、その長い道のりと努力と試行錯誤を称えるのに華美過ぎずかと言って貧相でもなく、程よい渋さとさりげない自慢ができるワンポイントステッカーとして、全プレーヤー羨望のアイテムになっていたのだ。
そして、その中でも三つのエピデンドラムの花と茎が、三叉槍の様にデザインされているトリプルケイト・エピデンドラムと名付けられたステッカーは、ソロプレイで三つの兵装全てで全三百ミッションをクリアした猛者のみが手にすることの出来る、「ジャスティス防衛隊」最高にして至高のクリア特典だった。
これはオフ専門プレーヤーを除いたオンライン上だけでも、全国で五百人いるかどうかといった狭き門の栄光の証だ。
そして、そのうちの一人が俺と同じ稀人ということだ……
「なんてこった……。王様、オクセンシェルナさん、詳しく話しても理解できないと思うので説明は省きますけど、この似顔絵は間違いなく本物ですよ。俺が証明します。アルマスさんの言う地下迷宮の死霊は確かに実在します。そして、どうやら俺はこいつにどうしても会いにいかなければならないみたいだ……」
俺の言葉にヨーグル陛下とオクセンシェルナは思いつめたように押し黙っていたが、やがて観念した様に二人は顔を見合わせた。
ヨーグル陛下がオクセンシェルナに向かって静かに頷くと、オクセンシェルナが深い息を吐いてから静かに口を開いた。
「ふむ。本来敵国の…それも王室直轄の研究所に勤めている輩など、この国の領地に足を踏み入れた時点で牢屋へぶち込むべきじゃ。それをせんかったのは、わざわざ陛下と私を訪ねてきて、タイガ殿との面会の許可を求めるという、しっかりと双方に筋を通そうとしたヘルマーさんの苦心を汲み取り、その男気に応えたものじゃ……」
「陛下、オクセンシェルナよ。此度は本当に迷惑をかけたな」
と、エマリィのお祖父ちゃんは、悪びれる風もなく悪戯っぽく唇を歪めた。
この三人がどういう関係性なのかは詳しくは知らなかったが、顔を見合わせて苦笑を浮かべ合っているところを見るに、俺では計り知れないほどの信頼関係を築いているのだろう。
「……とにかく、このアルマスという敵国からの客人が、タイガ殿に仕事の依頼があると聞いて陛下も私も嫌な予感はしておった。嫌な予感はしておったが、王室の権限でタイガ殿との面会を許可しないのも違うような気がしてな……。タイガ殿をステラヘイム王国の既存の貴族制度に組み込めなかった時から、陛下も私もいつかこのような日が来ることは覚悟しておった。まさか、それがタイガ殿と同じ姿形をした怪物退治になるとは、夢にも思わなかったが……」
「そういう訳でじゃ、ワシは王として、タイガ殿がアルマスの依頼を受けることに反対はせん。じゃが条件はつけさせてもらうぞ。一つはユリアナとイーロン、テルマを帯同すること。そしてもう一つは、地下迷宮で新しく見つかった古代魔法の情報を、ステラヘイムにも渡すこと。この条件が認められぬ限り、タイガ殿への仕事の依頼は王として認める訳にはいかん。どうじゃ!?」
問われているのは、俺とアルマス両方だ。
俺への条件はわかる。俺が敵国に篭絡されて寝返ることがないように、ユリアナ姫王子に監視をさせるということだ。
これに関しては十分納得できるし、むしろ問題があるとすれば、敵国内で姫王子たちの素性がバレないように気を遣わなければならないということだけだ。
しかしアルマスに出された条件は、祖国を裏切るに等しい無理難題。
確かにヨーグル陛下とオクセンシェルナにして見れば、戦略的価値が高く虎の子でもある俺をわざわざ敵国のために貸し出すのだから、それ相応の見返りがほしいはず。
いや、もしかしたら俺にはそれなりの条件だけを提示して、アルマスに無理難題を突きつけることによって、この依頼自体を無かったことにしようとしているのかも。
そうすれば、その気になっている俺の王室への心証が悪くなるのを、最小限に抑えられると計算しているのかもしれない。
どちらにせよ、そんな小細工をしても、俺はアルマスの仕事の依頼を受ける気でいたのだが。
たとえそれがステラヘイム王国と決別することになってもだ。
それだけ俺の直感が、この地下迷宮のビッグバンタンクに会いに行けと告げている。
俺は横のアルマスを見た。
無理難題を突きつけられたアルマスは、さぞ顔面蒼白で苦悶してることだろう。
しかし俺のそんな同情は、すぐに無意味だったと思い知った。
アルマスは両手で髪を掻き毟って、思慮に思慮を重ねていたかと思うと、歯軋りするように呻きに似た声で喋り出したのだ。
「は、恥ずかしい話ですが……祖国は今、ステラヘイムに対する強硬派と穏健派でずっと二分されていて、それは地下迷宮探索隊も同じなのです……。強硬派は今回の発掘で戦力増強が見込める古代魔法や魔法具が発見されたなら、きっとステラヘイムとの戦争を再開するでしょう……。しかし私が祖国を裏切れば、皮肉にも戦争を回避できる可能性が高まる……。いいでしょう。その為ならば、僕は喜んで祖国を裏切ってやりますよ……!」
「うむ。敵国民ながら、その愛国心は見事である。もしそなたが望むのであれば、我がステラヘイムはいつでも受け入れることを約束しよう。あとでオクセンシェルナに念書を書かせて持たせる。そしてタイガ殿、これだけは覚えておいてほしい。冒険騎士は新しく設けた名誉職ではあるが、れっきとしたステラヘイム王国の貴族の一員に変わりはない。それを受けた以上、タイガ殿が帰る場所は、このステラヘイム王国以外にあり得ん。どうかそれを忘れんでくれ……!」
「わかっています。ユリアナ姫王子ともども無事に帰ってくるので、どうか安心してください」
「いや、少しくらいは手をつけてもらって構わないんじゃぞ……?」
と、不服そうにぼそりと呟くヨーグル陛下。
「え!?」
と、俺とエマリィとお祖父ちゃん。
「え!?」
と、ヨーグル陛下。
こうして俺は、ロズニアおよびヴォルティス連合国へ旅立つことになった――
次回より週二回の更新とさせていただきます。
当面は水曜・土曜日を予定しています。
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追記
活動報告の方にも書きましたがパソコンが壊れてしまったので、次回更新は土曜日に延長させていただきます。申し訳ありませんがご了承ください。




