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ウルトラガジェット・ファンタジア ~異世界空想科学兵器英雄譚~  作者: 王様もしくは仁家
第一章 異世界のマイケル・ベイ
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第六話 冒険者ギルドへ行こう

改稿した結果1エピソードまるまる繰り上がっています

こちらは旧・七話となります

 そんな訳で無事にパーティーが成立した後に、冒険者ギルドへ行くことに。


 ギルド会館はマーケットが並ぶ通りの一番外れ、居住区に近い四つ辻の一角にあった。


 石造りの堅牢そうな四階建ての建物で、どことなく教会っぽい外観をしている。

 エマリィが入り口の大きくて分厚い年季の入ったドアを開けて中へ入っていき、その後に俺が続く。


 ドアにはベルが付いていたので、カウベルのような音色が辺りに鳴り響く。


 と、同時に入って右側の酒場コーナーに居た冒険者たちが一斉にこちらを振り向いて、剣呑な視線や値踏みするような眼差しを送りつけてきた。


 その刺々しい空気に、俺は「うっ!」と一瞬ひるんだものの、エマリィは慣れたもので何ら気にする素振りもみせずに、左側の受付カウンターへ跳ねるように駆けて行く。


 というか、エマリィはギルド会館へ来るまでの道中、ずっと機嫌が良かった。


 終始ニコニコしていて鼻歌を口ずさみ、スキップをしながら道案内をしてくれた。


 そんな姿を見て、改めて彼女とパーティーを組んだことが大正解と思えてくる。


 かく言う俺もここに来るまでの間、何度「甘酸っぺええええええええええ!!!」と「マイケルベーーーーーーイ!!!」と叫びそうになったことか。


 ふふふ、右側で屯している冒険者諸君よ。

 昼間から酒なんか飲んでいる荒くれ者どもよ。


 見たか? いま目の前を駆けて行く小鹿(バンビ)のように可憐で庇護欲を掻き立てられる彼女。

 あれが俺の相棒(パートナー)なんだぜ。


 いつか俺の相棒(ソウルメイト)ともコンニチハしちゃうだろう。

 だってそれはもう運命なのだから。

 だからたっぷりと目に焼き付けておくがいい。

 俺とエマリィのリア充っぷりを!!!


「ふっ……」


 俺は胸の底から込み上げてくる幸福感に、つい口許を綻ばせながらエマリィの後に続いた。


 そんな余裕溢れる俺の態度に、右側の冒険者たちから殺気が強まったように感じられたが、なんせリア充だからそんなのいちいち気にしていられない。

 

「今日はどういったご用件ですか?」


 俺たちの姿に気がついた受付嬢が声を掛けてくる。

 頭の天辺にイヌミミが見える半獣人族の娘だ。歳は二十歳くらいだろうか。


 スポーツブラのようなビキニ姿で、両肩や両腕の一部が体毛で覆われている。それに加えてはち切れんばかりの巨乳なので、目のやり場に困ってしまう。


 ていうか受付嬢がこんなラフな格好でいいものなのか?


「こちらの彼の冒険者登録と、ログクリスタルの実績読み取りをお願いします」


 と、エマリィはショルダーバッグから手の平サイズの水晶球を取り出してカウンターの上に置く。


「じゃあログクリスタル預かりますね。あと冒険者の登録料は銅貨五十枚です」


 イヌミミ受付嬢はエマリィから預かった水晶球を奥の部屋へと持っていく。


 そして戻ってくると、俺がカウンターの上に出しておいた銀貨一枚を確認して、お釣りの銅貨五十枚を差し出した。


「それじゃあまずはランク診断を行うので、この水晶の上に手を乗せてもらえますか」


 と、受付嬢はカウンターの上に置いてあったサッカーボールくらいの水晶球を差し出した。


 おお、ファンタジーものでよく見かけるあれか。やはり異世界ファンタジーはこうでなくっちゃ。


 ちなみにこのランク診断は魔力量を元に行われるらしい。


 だから冒険者成り立ての新人でも、先天的に魔力量が多ければ高位ランクと診断さるし、また逆にどんな狩りのプロや武芸の達人であろうと、魔力量が低ければ下のランクからのスタートとなる。


 当然この階級は冒険者として実績を上げていけばランクアップしていくのだが、ランク診断の基準に武芸や格闘術、狩猟の腕が考慮されずに魔力のみで診断するのにはそれなりの理由がある。


 その理由を後ほどエマリィの手によって教えられる事になるのだが……


「ちなみにランクは何段階?」


「上から(ゴールド)(シルバー)(ブロンズ)(ルビー)(サファイア)(トパーズ)の六段階ですね」


「ふむ。ちなみにエマリィは?」


「ボクは(ブロンズ)クラスだよ」


「え!? エマリィってまだ三ヶ月目だったよね。それに教えてもらった限りじゃあまり実績の方は……」


 と、思わず失礼なことを口にしてしまうが、エマリィは苦笑を浮かべて肩を竦めてみせる。


「本当のことだもん。気にしなくていいよ。だからボクの(ブロンズ)クラスって言うのは、純粋に魔力量だけのランクってこと。でもこの歳で(ブロンズ)クラススタートって結構凄いことなんだけどね」


 いや、ほんとすみません。なんかエマリィのことをドジっ娘でダメダメな魔法使いなんだけど健気に頑張るぞい、みたいに勝手に思いかけていました。


 あれぇ!? じゃあエマリィって実は案外すごい娘なのでは? 


 こうなるとエマリィより低いランクだとなんか格好悪いなぁ。


 ていうか、そもそも俺異世界転移してきたのに魔力なんてあるのか!?


 そう考えると、なんだか自然と顔が引きつってくる。緊張しながらそっと水晶球に手を置くと……


 なにも反応しない水晶球。

 と思われた一瞬後。

 まばゆい程の金色の光を放ち始める。


「え……!?」

 

 と、エマリィと受付嬢。


「うおおおおおおおっっっ!!!」


 と、酒場コーナーに居たはずの冒険者たち。


 彼らはいつの間にか受付カウンターの周囲に集まってきていて、口々に「すげえ!」だとか「本当に新人かよ!」とか「(ゴールド)クラスの新人なんて何年ぶりだよ!」と騒いでいる。


 いや、わかったから。お前らうるせーえよ!


 俺はこの蜂の巣を突いたような騒ぎに苦笑を浮かべつつ、エマリィと受付嬢を見る。

 受付嬢はハッと我に帰ると、しどろもどろになりながら説明を始めた。


「え、えーとですね、まずクリスタル診断の色によって冒険者ランクが決定しますが、最高位の(ゴールド)クラスに限っては、クリスタル診断で例え金色に発光しても、それはあくまで暫定ということになり、とりあえずはその下の(シルバー)クラスからのスタートになっておりまして、その後で(ブロンズ)クラス以上のランク指定依頼を一件完了するか、(ブロンズ)クラス以上の魔物(モンスター)を討伐したログクリスタルを提出することで、正式に(ゴールド)クラスへの昇格決定となっておりまして……」


 これは後で教えてもらったのだが、ランク指定依頼とは依頼人の方で冒険者の実力を指定するというもので、その分報奨金が高額だったり危険度が増す案件のことだ。


 そして魔物(モンスター)もランク分けされていて、階級も色も冒険者と同じ。

 これは魔物(モンスター)をランク分けする際に冒険者の実力を基準にしたためらしい。


 ちなみに(ゴールド)クラスの冒険者ならば、一人で(ゴールド)クラスの魔物を倒せるのかと言えば、答えはノーだ。

 冒険者や魔物(モンスター)ともに個体差があり、一概に一括りにはできないらしい。


 ランク分けはあくまでも成功報酬の価格決定や、依頼難易度を表す為の目安にするための苦肉の策と言ったところか。


 また魔物(モンスター)の中には、こうしたランクの範囲内で分類するには余りにも規格外の存在もいるらしく、それらはランク色を飲み込む、或いは超越していると言った意味合いで一括りに深淵(ダークネス)級と呼ばれているとのこと。

 

「さっき渡したログクリスタルには森林大亀(フォレストジャイアントタートル)の討伐記録が入っています。それは彼の実績ですけどその場合は……?」


 と、エマリィが横から説明を入れる。


 うん? どことなくエマリィの横顔が機嫌が悪そうに見える。気のせいだろうか?


「え、えーと、ちょっとお待ちください! 今すぐ確認してきますから!」


 エマリィの言葉を聞いた受付嬢は可愛そうになるくらいにテンパっていて、慌てて奥の部屋へ飛び込むと、一人の老婆を連れてきた。年季の入った紫のローブを着ていて、腰まである白髪を後ろで一つに束ねている。ギルド本部専属の魔法使いだそうだ。


 その老婆は先ほどエマリィが渡したログクリスタルを右手に持っていて、


「ふむ。記録は確認した。成獣したてのまだ若い森林大亀(フォレストジャイアントタートル)じゃったが、(ブロンズ)クラスの魔物で間違いない。討伐記録として認定する」


「じ、じゃあ今すぐに(ゴールド)ランクの認定の記録が入ったログクリスタルをお渡ししますのでお名前を――」


 ギルド本部専属魔法使いの承認を得て受付嬢が慌てて事務手続きを行おうとするが、周りに居た冒険者どもが俺を取り囲んでそれどころじゃなくなる。


「な、なぁ頼む。俺をあんたのパーティーに入れてくれ!」


「今日から兄貴と呼ばせてください!」


「ひひひ、(ゴールド)のボスについて行けば一生安泰だぜえ!」


「大将の伝説を見届ける役目は是非この俺に任せてほしい!」


 昼間から酒場コーナーに屯していたかと思えば、どうやら全員パーティーから焙れた無職らしい。


 別にソロでも低ランクの魔物(モンスター)ならば狩れないこともないだろし、それにこれだけの人数が居るならば、こんなところで燻っていないで自分たちで新しくパーティーでも結成すればいいのに。


 とは言ってもそんな正論が通じるならば昼間から酒など飲んでる筈もなく、俺は沈没船の横を通りかかったボートの如く、酔っ払い者どもに揉みくちゃにされる。

 

「エマリィ……?」


 そんな光景を少し離れたところから、口を真一文字に結んで怒りを孕んだジト目で見ているエマリィに気がついたのはすぐ後だった。


明日も同じくらいの時間になります。


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