モーニング
ユゴーはいつものように朝飯を食べていた。
「うまい、うまいな…この卵焼きは。うん」
くちゃくちゃを音を立てながら、一人悠々と食事を楽しむ。
まるで一国の王子になったかの気分で、飯を食らう。
「あぁ、このローストビーフもうまいぞ。うん」
ローストビーフは昼飯の分なんだけどな…。
なんで食べちゃうんだろうか。
「ユゴーちゃん、そこにいたのね?」
背後からやってきたのはユゴーの姉。ミレーという。
「はいはい、ミレー、昨日のことは黙っておいてやるからさっさと帰って2度寝してな。今俺はご飯に夢中なの」
「何言ってるのもう。あなたは私が居なかたっら何もできないでしょう?」
ユゴーは反抗期でいまだにミレーの言い分を素直に理解してやれない。
なんせ豪邸の息子。七光りだからかだ。
「ふん、お姉が居なくても生きていけるし。学校の奴らはみーんな育ちが悪いから俺のことが分からないんだ」
「ユゴー、そんなことばっかり言ってるから、あの子たちから嫌われるんじゃない」
ミレーの言ってることが正しいのかどうか、ユゴーはいつになくふてくされている。
「俺はミレーの奴隷じゃない。お前のほうこそ、俺以外のことに対してはどうなんだ?」
「ユゴーちゃん、私の言うことに従っていれば、あなたを立派に仕立て上げられるわ。でも、そうしないと非行な子になるわよ?」
「おいおいお姉、俺は飯を食ってる。お願いだからもう俺にかまうのは最低限度にしてほしいんだけど」
「今ですら最低限度よ。ユゴーちゃん、言いたいことは一つだけ、それ食べたら早く学校行くのよ?」
「わかったよ。行くから。学校には行くから」
毎回なのよね、ユゴーちゃんが機嫌悪いのは決まって朝。私はできるだけストレスにならないように接しているつもりだけど、どうやらユゴーちゃん、耐えられない節があるみたい。
「ユゴーちゃん…」
「ミレー。もう学校行くから。」
ユゴーはそう言って朝食をさっと片して2階へダッシュで上がっていった。
数秒後、2階のドアが勢いよく開き、ユゴーがダッシュで階段を下りてきた。
「じゃ」
「いってらっしゃいユゴーちゃん。学校生活、楽しんでくるのよ」
誤字脱字等ありましたらご指摘していただけると幸いです。