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神様の居るトコロ  作者: 光坂影介
1異世界の神探し 第二章 取り戻したモノ
8/113

第二章 01


「♪」

()(ふゆ)、ご機嫌だね? もしかして、誰かと付き合い出した?」


 美冬の友人の女の子がイタズラっぽく聞く。


 そこに美冬はなんのためらいもなく答える。


「うん♪」

「えっ、うそ!? 誰と!?」

「ジン――じゃなかった。神斗(かみと)と」

「えっ!? そうなの? 全然、接点なかったじゃん!? って、なんで、彼氏の名前を間違えかけるかな?」


言い間違えから出たボロを美冬は無理やりなんとかしようとする。


「今は……ね?」

「どういう意味? 彼氏を変えるつもりでもあるの!? ……でも、まあ仕方ないか。夏目(なつめ)君は他の人と付き合いだしたみたいだし――」


 美冬は取り乱し、よくわからないまま、何かをしなくてはと焦り出す。


「えっ!? 何それ!? 聞いてないよ!」

「落ち着いて、美冬。美冬!?」


 美冬は走り出した。



            ###



|(ジン、嘘でしょ? ジン)

 美冬は、ジンを探して走り回ると、ジンと春樹(はるき)を見つけた。


「ジン!? ……じゃなかったカ――って、そうだよ。ジンは今、神斗なんだから、入れ替わっている人のことじゃん!?」


|(そうだよ、何を考えているの!? 他ならぬ私が。でも、いつからか確かめないと……。時期によっては浮気の可能性が……ないな。他ならぬジンなら。というか私と付き合い始めたのも最近なんだから、入れ替わる前でも一応、浮気にはならないじゃん!?)


 理屈の上では問題はない。


 それでも、気持ちの面では納得できない。

 複雑な乙女心だった。

 いや、こういう程度なら、乙女じゃなくても――ですね。


 まあ、そんなことは目の前の神斗――もといジンに聞けばいい。


「ジ――神斗、春樹」

「えっ、ああ、美冬」



            ###



 僕は春樹と校内を歩いていた。


 そこに美冬が息を切らしてやってくる。


「どうしたんだ? 美冬?」

「ジ、ジンが――」

「落ち着いて、美冬。まずは息を整えて」

「う、うん」


 美冬は息を整えてから口を開く。


「ジンが誰かと付き合い始めたって本当?」

「うん」


思わぬ返事が返ってきたので美冬は慌てる。


いつもならわかりそうな答えに焦った美冬はたどり着けない。


「えっ? えっ、誰と?」


 聞かれたので美冬を指差して言う。


「美冬と」

「私と? はあ~~」

「落ち着け、神斗(、、)。今、お前は誰だ? 夫婦漫才は後にしろ」

 美冬が安心して胸をなでおろし、春樹が神斗の部分を強調して言う。

 その言葉を聞いて、美冬が照れる。

「そんな夫婦漫才なんて~~。他ならぬ春樹はいいこと言うね~~」

「だから、落ち着け。神斗のかの――」


 美冬が今度は睨む。

 現状では間違っていないが、言葉にされるのが嫌だったのだろう。

 春樹は怖気づいたのか、訂正する。


「コイツの彼女」

「はい、よくできました」


 春樹は他の人に聞かれても大丈夫な言い方をひねり出し、美冬が採点する。


「はあ~~、で、付き合い始めたって今のジンがか?」

「そう……らしい」

「それを、なんで、こうやって確かめる? 今の神斗に聞いてもわからないだろう?」

「うん、だから……落ち着いてなかったんだって」

「他ならぬお前がか?」

「う~、パクらないでよ。春樹」

「ねえ、それよりさ」

「なんだ? 神斗?」

「僕達のことじゃないなら、誰と?」


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