4.世界渡りの意識と救いを与える歌姫 第二章 02形なきものの証明
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PN光坂影治
その上で彼は彼女の見ている光景を理解している。
彼女に本当に自分の心がとんでいるなら、
そして、それによる予知に彼女がとらわれているなら、
それは彼の書いた小説。
そこに出てくるキャラクターの一人、五橋愛の力の一つかもしれない。
そして、本当に五橋愛の力の一つかなんて関係なく、
もし、彼女が予知にとらわれているなら、
彼は予知にとらわれるべきではないことの答えを持っている。
だが、それは口にできない。
なぜなら、彼女が予知にとらわれているのは彼の憶測でしかない。
合っているかどうかなんて関係ない。
現実に、おかしくない方法で確認できない。
それこそ、病気だと思われてしまう。
だからこそ、彼は精一杯伝える。
「私の好きはここにあります!
私はーーーーさんが大好きです!」
「ありがとう」
おそらく彼女には伝わっていないだろう。
予知なんて、それを破る人がいつ出てくるかわからないのだ。
予知を当てにしていたら、そういう人が出てきた時に一気に崩れ去る。
予知はそういう意味で視野を狭くしているだけなのだ。
だから、予知による幸せを当てにするべきではない。
だから、私の好きはここにある。
ここにある現実で存在を形を見せることが創作以外で難しい、感情という形ないものを
言葉で形にする。
だから、彼は感情を恋を肯定するために
失恋さえも肯定するのだ。
彼の
大好きです!
にはそんな全ての気持ちの形がこもっている。
たとえ、その言葉の想いが殺されても、たとえ、その言葉の力が奪われても、
その言葉は世界に刻まれた。
どうしたって、
私の好きはここにある。
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