2罪のハジマリ 第一章 07
冬彦のもとに向かう。
俺と(、)彼女(、、)の(、)想いのために……。
そう俺だけの想いじゃない。いや、俺がそう思っているだけか……。
それでも、彼女の想いがある可能性がある。
いや、そうでなくても、一番いいのは冬彦も納得した上で事が進むことなんだ。
そう思ったところで冬彦を見つける。
冬彦は携帯電話を取り出していた。
公園? なんでこんなところで?
「冬彦?」
「天典? どうしたんだ?」
「お前こそ」
「僕は春美に呼び出されたんだ。でも、どこにもいなくてね」
そう言うと冬彦の電話が着信を告げる。
「出てもいいかい?」
「ああ」
「春美からだ」
「もしもし」
『もしもし、冬彦くん?』
電話の春美ちゃんの声は俺には聞こえない。
もどかしい。聞こえれば何かわかるかもしれないのに……。
「ああ、どうしたんだい?」
『少し早いけど、誕生日のプレゼント』
「えっ?」
「!」
相変わらず、電話の声は聞こえない。
だが、今回はそれでもわかった。
「冬彦、場所を聞き出せ!」
俺は大声をあげた。
「うわ、なんだい、天典。電話中なんだが」
『天典くん? そっか、もう遅いから言うよ。私がいるのは塔の上』
「塔の上だって」
俺は全力で塔に走る。
『冬彦くん、誕生日、おめでとう。千秋ちゃんとしあ―-』
「春美ちゃ~ん」
冬彦も塔を見る。
人が―春美ちゃんが落ちる。俺がもう少しで下に着きそうな方とは反対側に……。
「えっ、春美~~~」
「きゃあぁぁ」
冬彦や公園にいる他の人も叫ぶ。
塔の反対側だから、ここからは見えない。
俺は追いついてきた冬彦と反対側に行く。
そこで、春美ちゃんはトランポリンで跳んでいた。
「えっ」
多分、偶然、ここに置いてあったか、公園の遊具が置いてあったのに気付かなかったかなのだろう。
それでも春美ちゃんは助かった。




