第五章 05
彼はそう言って見捨ててしまった。
本当は人を助けるには簡単な方法があるのだ。
その人を理解しようと努力した上でわからないことをその人に聞くという方法が……。
それは手を差しのべる行為。
それを取る意志が――
その人に助けられたいという気持ちがあるのなら――
人は人を助けられる。
彼はこの人の行動がきっかけで助けられる。
この人はコドクなオウサマ、世界渡りの覇王だった。
そして、不幸なことに世界を渡る途中という特殊な条件下の記憶は、性格に影響を及ぼしても記憶には残らない。
だが、世界を渡る途中で一度だけでも理解できた人がいるのは唯一の救いだった。
光の願いは、世界の間で――
この何もない場所で――
確かに一度だけ叶った。
そして――
忘れてはいけない。
まだ――
コドクなオウサマも、世界も――
救われてはいない。
その救われていないという事実を覚えている。
いや――
その救いたいという最初の目的しか(、、)覚えていない。
それが――
コドクなオウサマが一度、理解されたことが忘れられる。
そんな理不尽に対しての――
その絶望に対しての救いのコトワリだったのかもしれない。
けれど、コドクなオウサマは救われるのだろうか?
いや、彼は世界を救うことで自分も救われたのかもしれない。
だが、彼が救えた――いや、動かせた世界は、彼の生まれた世界だけ……。
まだ一つだ。
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俺は世界の間を彷徨い、誰かを理解したことを無意識に感じていたのかもしれない。
その事実に動かされ、伝わってきた世界を救いたいという彼の想いに影響され――
俺にも救いたい世界があることを思い出した。
ただ、世界を救うことだけを夢見て手を伸ばす。
彼が行ってきたであろうその行動を無意識にまねてみた。
そうしたら、俺は何かに導かれたようにある世界に惹きつけられる。
抵抗という考えすら思い浮かぶ前に、俺はその世界に渡った。
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「ココは?」
そう言いつつも、俺にはわかった。
この世界に俺の救いたい世界を救う力がある。
「ん、どうしたんだ?」
「キミは?」
「俺は天堂春樹。キミは?」
「俺は……秋月神斗」
それが今回の事件の始まりだった。




