第四章 05
僕、美冬、春樹、夏葉が教会にそろったけれど、夏上さんと神父さん、そしてもう一人は何も言わなかった。
僕はしびれを切らして聞いてみる。
「あの? 始めないんですか?」
「えっ、ああ、全員なのか?」
「そうですけど? 裁判教会の関係者の方ではないんですか?」
「ああ、俺は世界わ――世界渡り。そう、世界渡りと呼んでくれ」
僕の質問に答えてくれたのは夏上さんでも神父さんでもなかった。
世界渡りさんはどこか恥ずかしそうだった。
少し二つ名みたいな呼び名だからだろうか。
ちなみに神父さんは神父の格好をしているから、そうだと考えただけで本当に神父さんかはわからない。
まあ、違うことはないだろうけれど……。
「なあ、集まったみたいじゃないかな?」
「いや、実はあと二人の当事者にも来てもらう予定なんだけど、始めてしまおうか? 五分前だし、話を聞く程度なら……。他に―――」
夏上さんの言葉を遮って、神父さんが答える。
「いえ、その必要はありません。来ました」
ドアを開き、入ってきたのは秋月だった。
「コイツだ」
世界渡りさんが言う。
「えっ!?」
驚いたのは夏上さんだった。
「コイツが俺の探し人、異世界の創造主だ」
異世界の創造主?
何を言っているんだ? この人は?
ああ、ハンドルネームか、何かか?
だけど、ここ最近、不思議な体験をした僕はどこかでそうではないと思っていた。
秋月は口を開く。
「ああ、君が世界渡りの覇王か?」
「知っているのか?」
「ああ、なにせ、俺がこの世界に来られたのは――
君と君の友人のおかげだからね」




