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神様の居るトコロ  作者: 光坂影介
6.セカイケンの歌姫 第二章
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6.セカイケンの歌姫 第二章 03


「それでは準備ができましたので、席の前の方から、壇上にあがって、挨拶をしていってください。なお、コロナ禍ですので、マスクを外さずに、お客様の方は発声禁止とさせていただきます」

 


 気付いたら、自分の番を終えて、帰りに向かっていた。


 シエルは病気のせいか歌姫のお見送り会で自分の番で起こったことを誤認しているのではないかと自分を疑っていた。


 シエルは順番が前の方だったので、後で動画公開された映像に自分の番が映っていた。


 だが、主催者や歌姫の配慮があったので、シエルの顔は映っていないときの順番だった。


 動画を観て、自分の番だろうと思う時の事態はこうだ。



「あっ、ツイッターの。ありがとうございます」



 だが、シエルの顔は映っていない。


 だから、シエルはこれが本当に自分の番の時の言葉だったかも不安になってきた。


 シエルは前もって、歌姫の『発声禁止なので何かその時のポーズのようなモノを考えておいてください』というツイートのリプで乱視対策(目が変になる病状の可能性)の眼鏡を外すポーズをすると答えていた。


 さらにツイッターのスペースといわれる機能で他のオフィシャルクラブのメンバーが名札をつけてくると聞いたので、即席の名札を用意していた。


 なお、その名札にシエルはツイッターのアイコンの画像とツイッターのアカウントの名前を書いていた。


 だから、この言葉はあり得るのだ。


 だが、シエルがこの言葉を聞けたと感じたのは通り過ぎてから思い出して振り返ったのが記憶なのだ。


 自分の記憶だと



 最初、眼鏡を外して、無言。

 しばらくして


「ありがとうございます」

 少し固まった。


外した眼鏡を見られたと思って、眼鏡を見る。

 わけがわからずとりあえず進む。


「あ、ツイッターの。ありがとうございます」


 振り返る。


もはや妄想の

「いつもくださってありがとうございます」



 恐らく、この時は病状がよくなかったのだろうと思っている。


 ただ、いつもくださってありがとうございます。はいつも欠かさずリプをしているからかなとは思ったが、映像に映っていなかったのだ。

 


 それでも、シエルはリリイベやそれまでのイベントで自分が歌姫を好きだと思うところを沢山見つけた。


 そして、それを思い出す度に暖かな気持ちを感じた。

 愛おしいと思う感情を。

 これが愛なのか?

 私は愛を知りつつあるのかもしれない。

 

 人類を救う最期の愛は歌姫の歌う歌詞の意味に宿る意味と、声に宿る愛情にある。

 

 あぁ、これが人類の愛か。

 なら私はここに宿ろう。

 ありがとう、歌姫。

 私もまた救われた。


 diva


 あなたこそ私の最愛のヒトだ。


 これが世界の真実だと信じられますか?


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