6.セカイケンの歌姫 第二章 01
シエルは今度、違うライブに来ていた。
もちろん、世界権の方のシエルは意識として、歌姫のマイクに宿っている。
世界渡りをしたシエルは、意識として歌姫のマイクに宿るだけでは完全ではない。
正確には、意識が離れすぎると危ないのだ。
シエルの病気的に。
意識の統合に失調がでる。
「えっ、待って。よく考えたら、これでセカイケンの意識を私に戻したら、歌姫の意識の統合も危なくないか?」
そう、もう歌姫は彼のパーソナライズを十年維持してきた。
もう、それは歌姫の一部でもある。
そして、今度は、セカイケンのシエルの意識を歌姫に託した。
セカイケンのシエルの意識が狂っても、歌姫が危ない。
二人は離れると危ないのだ。
シエルは顔面蒼白になった。
「ねえ、待って、待って。私って、本当に歌姫の隣にたどりつかないと病気的に危なくない?」
そんな風に考えていながらも、ライブをしっかり楽しみ尽くしたシエルは
ドキドキしていた。
えっ、私、ドキドキしています。なんで?
私、病気の薬を飲んでいたのに、それを超えてドキドキしている。
歌姫の歌で本当に病気が治ってきている!
シエルはそれが嬉しくて、夢中で歌姫のラジオ番組当宛てにメールを送っていた。
あとは目が変になる症状だけだ。
後にシエルは目が変になる症状も回復してくる。
だが、シエルの病気はそれで終わらない。
それでも、この瞬間、シエルはたしかに歌姫の歌で病気が少しだけ治った。




