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神様の居るトコロ  作者: 光坂影介
6.セカイケンの歌姫 第一章 歌姫の想いと一人残るセカイケン
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6.セカイケンの歌姫 第一章 02


 光本シエルこと光本空は歌姫の出るライブビューイングに来ていた。

 ライブビューイングとは実際のライブ会場の他に映画館でやるライブ中継のようなものだ。

 そのライブビューイングで声が聞こえてくる。

「シエル、来いよ。歌姫が待っている」

「えっ、でもどうやって?」

「大丈夫だ。世界渡りで会場まで行ける。お前は剣の形になるかもしれないが」

「剣の形? どういうこと?」

「来ればわかる。

 これは本来の世界渡りではないかもしれない。

 だが、俺たちの源でそれゆえに宿った世界剣だ。

 本来の世界渡りじゃなくたって少しくらいサービスしてやる。行くぞ」



            ###



 ライブ会場に剣が現れる。

「えっ、何? 何あの剣?」

「えっ、シエルさん? シエルさんなの? あれが?」

 ライブ会場に現れた剣は迷わず、件の歌姫の元に向かう。

 歌姫は戸惑いを隠せない。

「もういいです。私を世界剣として使ってください。

 私を剣としてあなたの世界渡りに連れて行ってください。

 ライブもいろんなトコロでやるのでしょう?

 世界が国が私にこの世界での世界渡りしか許さないというのなら、私はあなたの剣として、あなたの世界渡りについて行きます。あなたのーー」

「嫌!!」

「そうですか? 私も嫌われてーー」

「あなたは私が歌で救うって言ったじゃないですか!!


 何、勝手に私の気持ちを決めているんですか!? 嫌いなわけがないじゃないですか!?


 私を好きって言ってくれている人ですよ!? 勘違いだとしても、嫌いって言われたと思い込んでも手のひらを返してこない。純粋に私の幸せを考えてくれている人ですよ」


「でもーー」


「でもではないです! 私が歌で救います!

 昨日は私たちのライブに普通に来てくれましたよね!?

 私のオフィシャルクラブの枠で来たんですよね!?

 私のツイートにリプしてきたんだからわかりますよ!? その時に言ったじゃないですか!?

 ワクチン打ちましたからねって、あれ、私としてはあなたに言ったつもりでもあったんですよ!?」


「えっ、えっ?」

 戸惑うシエルに歌姫はたたみかける。

「私があなたのこと、何も知らないと思ったんですか!?

 知らないはずがないじゃないですか!?

 あなた、私が私のことを書いた分、あなたのことも書いてくるんですから」


 そう、シエルは対等でいたい。その最初の理屈も今もできるだけ守っているのだ。

 オフィシャルクラブで対等でいたいというのを諦めた?

 違う。それでも、他のことで対等でいようとしないことの理由にはならない。


「あなたが病気を患っていることも、そのせいで薬を飲まないといけないことも、そのせいでドキドキできないことも、あなたが思い出せないような私に書いてくれたあなたのこと、私は覚えているんですよ!?

 今は、今はですよ? ファンの一人だからだって思われたっていい。

 私、実際、ファンのこと、このくらいしてくれている人のことはこのくらい覚えていますから。

 だから、私の歌で病気を治すこと、諦めないでください!」


「でも、それは薬を飲みながら感情を持つことしかーー」


「うるさい! 今ここで、私に決定的な一言を言わせたいですか!? ファンの前で! わたしはあなたがここで諦めるなら、言いますよ!」

「決定的なって、病気のーー」

「言いますよ? わかっていますよね? ここまで言ったら?」

「すみません。 今は・・・・・・。でも、ならせめて、それとは別に私をあなたのモノとして連れて行ってくれませんか?」

「剣じゃ無理に決まってるじゃないですか!? 銃刀法違反ですし、持ち物チェックで引っかかるものですよ?」

「じゃあーー」

 世界剣は光の粒子とともにマイクの形になる。

「マイクですか!? ならいいですよ。でも、ライブ会場指定のマイクとかは?」

「世界権の一面で形を変えているので、モノに宿ることも可能です。だから、このマイクでだめなときは会場指定のマイクに一旦、宿りますよ。それならいいですよね?」

「わかりました。なら、今からあなたは私専属のマイクですね」

「せめて、世界権と言ってください!」

「なんですか、世界権って!? マイクでいいじゃないですか!?」


 こうして、シエルは歌姫と契約したセカイケンとして、彼女のライブについて行くことになった。


キャラクターが勝手に動き出しました!

久しぶりにこの感覚です!

まあ、考えていたプロット、ぶち壊されて、展開すっ飛ばされて、文量が心配になってくるほど話はやく終わらせられて・・・・・・でも、久しぶりに楽しいです。

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