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神様の居るトコロ  作者: 光坂影介
幕間の物語 いつかの君と病的なセカイケンで(物語の中で)~そしていつかまた心の中で~
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幕間 この胸の苦しみは

歌姫は流行病の検査・・・・・・の前に、様子がおかしいことに気付いた母親が、心理カウンセラーの元に見せに来ていた。


「私、なんか、胸がドキドキして、キュッと苦しくなるんです」


「「えっ!?」」


「なんで、お母さんまで驚くの?」


「あなた、それ、もしかして、誰かのことを考えるとだったりするの?」


「うん、なんで、わかったの?」


心理カウンセラーの方が驚いて、母親に質問をする。


「娘さん、初めてなんですか? こういうこと? 今までに一度も?」


「何度かあるはずです。ただ、ねえ、その相手はどんな方?」


「・・・・・・言えない」

 歌姫は頬を染めつつ、答える。


「本人が認めたくない相手のようですね。申し訳ありません」


「どうします。お母様の方からご説明なさいますか?」


「そうですね。一応、その後、念のために検査も・・・・・・」


「えっ、なんで!? 私、お医者様からも説明受けたい」


「私が教えるべきことよ。私が教えるわ」


「いえ、それでしたら、今、検査キットなら、近くの薬局でも売っているくらいなので、すぐにできますよ」


「では検査を受けてから、お母様の方からご説明をお願いします」


そこで、検査を受ける。


「あれ、陽性ですね。療養期間はおかなければならないので、よろしければ、これを機にそれについて、考えてみるとよろしいかと」


検査を終えて、歌姫は戸惑う。


「やっぱり流行病だったね」


「それもあるけど、その胸の痛みは別の物よ」


「えっ、なんで? 陽性だって」


「それはね、恋、恋愛感情よ」


「えっ!? 違うよね!? だって、相手はファンの人だよ!? それにーーあっ」


「ファンの人に恋しちゃったのね。前に、羽異さんが気になるって言ってたじゃない? そのときは?」


「えっ、えっ(これが恋。だって羽異さんの時は・・・・・・。っ。もしかして私、初ーー違う違うよ。えっと羽異さんの時はーー)。うん、わかった。落ち着いた。なんとかしてみる」


「ちがうわね。いい、気持ちを大切にしなさい。女の子なんだから。


 安易に、そうね。小説はーー最近のだと少子化対策でーーだめね。


 本当に気持ちを大切にしなさい。あなたがどうしたいか、その気持ちに問いかけて、向き合うの。


 その気持ちから逃げてはだめよ。そのドキドキは収まらないわ。


 気持ちと向き合って、本当にあなたがしたいようになさい」


「お母さん、見守るじゃダメ?」


「はあ~~」


「なんでため息つくの」


「あなた、ファンなら向こうからは事務所が止めてくるでしょう? それとも事務所にも言うの? 一人だけ特別扱いなんてゆるしてくれないわよね」


「わたしが」


「あのね、ファンなら一人だけ特別扱いなんて絶対にダメよ。むしろ、他の人にもゆるしてと言ってくる人が出てくるに決まっているじゃない」


「わたしが行動しなきゃいけないの?」


「じゃあ、あなた、その人に恋人ができて、結婚して、子供ができてくるのを見守られる? あなたのーー」


「いや!? ぜっっっっっっっったい嫌! あの人は・・・・・あの人は・・・・・・わたしの・・・・・・わたしの・・・・・・わたしのなの!!!! とられるなんて嫌!!!!」


「なら、あなたから行動なさい」


「でも、あの人も私のことが好きだって」


「事務所が止めないの? わたしはあなたのお仕事のことはわからないわ。でも、ファンを特別扱いなんて、許されないんじゃないの? 少なくとも、今までのあなたならあなた自身が許さなかったじゃないの」


「なら、私、あの人のこと、ファンとは見ない! 一人の男性として!」


「もう答えは出ているじゃないの。そこまでの気持ちがあって、私にそんなに言えるならあなたは

私に言ったようにその人にも言いなさい。それともその人には言えない? えっ? ちょっと待ちなさい。あなた向こうはもう好きって言ってきたって言ったじゃないの? お返事すればいいだけよ」


「恥ずかしいよ~」


「あきれた。というかそんなに好きなの? あなた。なら、なんで、そんなに好きになるまで放っておいたの?」


「だって、だって、会える機会なんてこのご時世で」


「それはしょうがないけれど、会ったんでしょう? お返事しなさいな」


「だから恥ずかしいよ~~」


「あなた、お返事もできなかったら、どうするの? 本当に他のーー」


「いや!!!! 他の人にとられるのはぜっっっっっっったい嫌!」


「お母さん、あきれたわ。なら、お手紙にお返事したりすればいいだけじゃないの」


「だって、お手紙はくれないんだもん。ラジオにメールはくれるけど」


「あなた、メールにノベルティ? でお返事出しているって言ってたじゃない。それでお返事したら?」


「だって、それはーーそれはーー読まれないとお返事できない」


「じゃあ、読めばいいじゃないの」


「わかった。じゃあ、読めそうなのを探してみる」


「読めそうなのって。もしかして、それすらも恥ずかしいの?」


「はあ~~、おかあさんもいい加減にしないと怒るわよ。他の人にとられるのがそんなに嫌なのに、お返事も嫌なの?」


「私、恥ずかしすぎて、茹だっちゃうよ~」


「じゃあ、お友達から始めなさい! 段階をふんで仲良くなりなさい。それすらもできないと本当に取られちゃうわよ」


「お母さん~~」

 

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