幕間 心を支えるということ（見えない嫉妬の理由）
「そういえば、あなたって嫉妬しませんね？ なんでですか？」
「急にどうしたんですか？」
「うっ。（い、言えない。私ばかり嫉妬していて、これじゃあまるで私の方が）
わあああぁぁ、い、今はそんなことどうでもいいんです！ なんで嫉妬しないんですか？」
「嫉妬してますよ」
「えっ、してませんよね。
あなた、いつも、私が嫉妬させようとしても、すぐじゃあいいですとか、わたしの気持ちの方が大事とか言って」
「そこで信じちゃってるんですね。
というか、私が悪いんですけど。私の嫉妬って極端で、相手がいつも信じてくれないって言っている好意を少し信じて、なら私のところに戻って来てくれるのかなとか思って、相手の策にのらない。
要するに拗ねてるんですよね」
「そ、そんなのわかるわけないじゃないですか！？ そのまま、別れちゃいますよ！？」
「だって、嫉妬って、並び立つための誇りとか、向上心とか、いや、向上心には結びつくこともあるかもしれないですけど、上に行くのに邪魔なこと多いじゃないですか」
「ちなみに別れたらどうするんですか？」
「死にます」
「えっ！？」
「だから、死にます」
「ちょっ、脅迫ですか！？」
「私、病んでるんですよ。あなたに救われたから私はあなたを救う。でも、救えないなら、いや、違う人に救われたなら私は必要ない。
必要ないなら、消えます。
だって、それっ私はあなたしかいなくて、あなたに救われたから、私の命はあなたのために使うって言っているのにいらないなんていわれたら、私の命は私の生きる意味はないってことじゃないですか」
「死んじゃだめ～～！ 私の気持ちも考えて！」
「だから死にます。他の人がいいんですよね？」
「（この人、女の泣き落としより、ひどい手使っている！ なんて、めん・・・・・・じゃない、なんて、こういうときなんて言えばいいの。ええと、とにかく）そんなんで死なれる私の身にもなってくださいってことです！」
「だから、相手のことを一番に考えることはぶれないので、迷惑かけないように、関係ないことを装って死にます」
「だから～」
「ハハハ、大丈夫ですよ。実際には、祝福して、ただ生きるだけの存在になるだけだと思いますから。ただし、心の支えを失っているので、ちょっとしたことで死のうと考えるようになるだけで」
「って、やっぱり死ぬんじゃないですか！？」
「その時は周りの環境の追い詰めが原因なので、あなたのせいではありません。
むしろ、あなたが私をここまで生かしてくれたんです。
ねっ！？ あなたに救われているでしょう？」
「待って！ だとしたら、私に元気もらっているって言ってくれている人」
「みんな、そうかもしれませんね？」
「私、このままじゃ結婚できないよ～。どうしよう、マネージャー」
「できますよ。だって、その気持ち、わかったでしょう？ 一歩前進ですよ？ その気持ちがわかるなら、それをどうにかしようと一緒に考えてくれる人と一緒にいればいいんです」
「これが推しへの愛ですか！？」
「むしろ、これが恋愛の愛だと思いますが、あなたはそれでも嫉妬されたいですか？」
「嫉妬は結婚したい相手だけにしてもらおうと思います」
「ええ、そうしてください」
「って、違います！ それでも嫉妬してもらいたい人はいるんです！
私、ファンの顔を覚えていて、いなくなってしまった人がいたら、寂しくなるって常々、言っているじゃないですか！」
「あのね、それ、本気で言ってますか？」
「言ってます」
「それ、何また、ってまさか、何回もってことですか！？ 片想いしているってそういうことですか！？」
そう、彼の解釈だと何またではなく、そのときに一人、でも、会えなくなって寂しい。もしくは会えなくなってから自分の気持ちに気付いたということだ。
それではまるで、
「孤高ではないですか！？
えっ、あなた、まさか、あれだけファンに囲まれて、孤高とか言う気・・・・・・って、私の解釈でも、それで誰も隣を目指そうとしてくれなかったら孤高だ」
「でしょう？」
「まあ、私は諦めるなんて一言も言ってませんが」
「でも、嫉妬はしてほしいんです！」
「ちなみになんでって言うつもりですか？」
「それは、
ああもう、私にここまで言わせているんですから、いい加減ーー」
「あっ、これ、あなたの曲ですね」
「えっ、うそ、こんなところで流れるなんて聞いてない。って逃げた！」
「その言葉の続きは私が小説を書いているこんな状況の時以外に直接、聞かせてくださいね」
「って、私と小説どっちが大事なんですか！？ もう居ない。なんでこういうときだけ、逃げ足が速いの、あの人」
彼女はこの質問の答えを知らない。
彼ならこう答えるだろう。
「あなたです。ですが、その続きを言って困るのはあなたですよ」と。
彼も耳にはしていない。彼女の
「いいんです！ わたしはあなたを好きな、あなたの言動一つ一つに一喜一憂してしまうわたしを応援してくれる人が応援してくれれば！ だって、結婚したって応援してもらえるアイドルだっているでしょう！」
という言葉を。
そして、その世界では
「あなたのそういう一喜一憂する姿が愛おしいです」
という言葉はだれも耳にしていない。
更新から一週間、今後の展開Twitterで＃神様の居るトコロでアンケートとってます。
よろしければ投票お願いします！
