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幕間 知らずフィクションになった気持ちと確かにある愛
「推しへの愛、フィクションにしちゃったんですね?」
「待って、待って、待ってほしい」
「何をですか? 私、結構たのしみにしてたんですよ?
推しへの愛で幸せになるハッピーエンド」
「ああ〜、もう、あなたにそう言われて私が最大限その努力をしないわけがないでしょう」
「なら、書いてくれます? キスくらいならしてあげなくもないですよ?」
「えっ!」
「額か頰にですけど」
「ずるい! この年でキスしたことのない私で遊んでる!」
「そ、そんなことないですよ!」
歌姫は頰を染める。
「えっ!? なんで、照れたんですか?」
「あなたは! あなたはいいんですか!? 私がファーストキスの相手で!」
「えっ!? 額か頰にですよね?」
「っ。もういいです。私は行きます!」
「唇でもあなたならいいですよ?」
最後の言葉をどちらが言ったか、私たちにはわからない。




