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頂き物SS:転生殺戮鬼さんはお昼寝がしたい

お友だちのAbelさんからの頂き物SS。

元々はTwitterであった「タイトルの一部を殺戮にすると物騒」というネタからです。

本編とは完全に逆ベクトルの感じですが、こういうのも面白いなぁと。

Abelさんありがとうございます。

《転生殺戮鬼さんはお昼寝がしたい》


 よく漫画の表現とかにある、死体の山で眠る、なんてあまりにも非現実的すぎて思わず笑ってしまう。

 あんな臭くて冷たくて蛆虫が沸きそうでお化けでも出てきそうな場所で、よく眠れるものだ。

 やっぱりお昼寝というのは暖かい場所、それもできればお布団の中がいい。

 ふかふかで、ふわふわなお布団で。ゆっくり怠惰な生活がしたい。


「これで百……と」


 ぶん、と引きずっていたソレを投げる。ソレは綺麗な弧を描いて、ソレらが重なりあった頂点に綺麗に乗る。

 堪らない死臭と、まだ慣れない鉄の臭い。不気味に鳴くカラスがボクの手の届かない空の上から嗤うようにボクを見ている。

 気に食わなくて、一匹を撃ち落とす。

 鳴き叫ぶ他のカラスたちがボクに敵意をむき出しにして、上空から一気に突撃してくる。

 でもそれもボクは、照準を合わせて、引き金を引くだけで終わらせる。


「カラスはいくら殺しても勘定に入らないんですよね」


 無駄弾を使ってしまったことを少し後悔する。でも、気に食わないのを放置して気にしてしまいそのうちボクのお昼寝の邪魔をされたら嫌だから仕方ない。

 口元を、マフラーで隠す。依頼を済ませた後はいつもそうする。

 自己暗示、なのだろうか。あ、マフラーに少し血が着いている。お気に入りのマフラーだったけど、何処かで捨ててしまおう。

 一度死んでしまったからか、酷く何かに執着することがなくなってしまった。

 でも、いいか。

 仕事を終えたボクはソレの山に背を向けて歩き出す。ボクが手をかけた、ボクが殺した人たちが積み重なった山に背を向けて。

 拳銃はいい。だって、手に人を殺した感触が残らないから。

 そう、ボクは殺戮鬼。命を奪うことを良しとする、狂い壊れた人間の末路だ。

 今日も人を殺して殺した数だけお金を稼ぐ。人が増えたこの世界では、人を殺すことを生業とする裏の人間《鬼》も少なくない。

 お金を稼いで、暖かい布団でゆっくりお昼寝をしよう。ボクの愛しいお昼寝生活は、誰にも邪魔させない。

 邪魔するような人たちは皆、殺しちゃおう。


「……あはっ」


 ちょっとだけ楽しくなって、スキップしながら帰ることにする。でも誰かに見られたくはないかな。だって恥ずかしいもん。


 一度死んだボクは、どうやら手違いで死んだらしくて、神様の提案で今までいた世界とは別の世界で生きることを許された。

 どうやらボクの転生を担当してくれた神様と言うのは非常に嫌がらせが趣味のようで、こんな人が増えすぎた世界に来てしまったが、それはこの世界の需要と供給を理解してすぐさま受け入れた。

 たくさんいて、減ることを望まれて。

 だから減らして、減らした結果お金が貰える。フツーに暮らしていける。

 ボクに課せられた《ヒト殺しの衝動》も解消できる、世界。

 剣も魔法もない世界だけど、ちょっぴりかっこいいガンアクションの世界。

 住み心地も前世の世界と何も変わらないのだから、無理して養ってもらうよりこれはこれでいいのかもしれない。

 ボクは人をやめた。人の皮を被った鬼だ。

 生まれ変わって、人を殺すことを受け入れて、ボクは狂ってしまったのかもしれない。


「でも、いっか。今はお昼寝がしたい」


 またあの冷たい部屋に帰ろう。暖かいお布団の中に潜ろう。

 眠って、眠って、眠り続けるために、ボクは今日も人を殺す。

 殺して殺して、それがボクの安寧のひと時の為の礎となる。


 ……じゃ、おやすみなさい。

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