〈縁は結ぶ〉
すいませんm(_ _)m
異端、間に合いませんでした。
代わりと言ってはなんですが純血をどうぞ…
「お、おはよう!」
「おはよう、かぐや」
「かぐやちゃん、おはよう~」
挨拶返してもらえた…。
よかった勇気を出して挨拶できて
頭では出来ても今まで実践は出来なかったから…。
一年のときに比べたら物凄い進歩だ。
「おはよう、かぐやちゃん」
「お、おはよう…!」
源くんには何故か人見知りが若干抜けない…。
男の子相手だからかな?
「よっ」
「宗岡くん、おはよう」
うん。性格の問題かな。
全然緊張しないや。
源くんは四人の中で唯一色が別だからかな。
「その呼び方やめろよ
なんかムズムズする」
「え、ごめん。なんて呼んだら良い?」
考え事をしていたから若干反応が遅れた。
宗岡くんって呼んだら駄目だったらしい。
「たいきで良い。くんとか付けんなよ!」
なんと、ハードルの高い。
くんを付けちゃ駄目なの!?
「ぜ、善処します…」
「うむ。」
むね、じゃなくて、大樹く…。
大樹の警戒がいつの間にか解けてる。
どこがスイッチだったんだろう?慣れたのかな。
「おーい、大樹。」
「ん?なんだよ。」
…うわ。嫌なやつが出てきた。
姿を見なくたって嫌なやつの声は一発でわかるもの。
無視。無視。どうせ他人なんだから。
「何だよじゃねぇ…。部活の予定表だ」
「おおっ。サンキュー」
違うクラスなのに何で居るのと思ったら、
どうやら、むね…、大樹と同じ部活らしい。
まぁ、似たような色だし…。何でこうも違うんだろ。
「かぐや、かぐや。これ、俺の友達」
紹介しなくていいよ大樹く…。
しかし、せっかくの好意を無碍にするわけにはいかない。
ここは我慢して、普通にしよう。
「そ、そうなんだー…。」
「友達の友達はみな友達だよな!」
くっ…。発言がまぶしい…!
一歩間違ったら暑苦しい…!
「は…?かぐや?弥扇?」
「…そうですけど?」
なにか?と言わんばかりに腕組みをして私の天敵を見た。
前言撤回。大樹には悪いけど、こいつとは友達になれない。
「はぁーん。俺が無理になったから
今度は周りから固めてきたか」
ムカつく…。こいつは要するに
私がこいつと仲良くなりたいがために、
大樹を利用してると言っているのだ。
…なわきゃない。むしろこっちから願い下げだ。
何で私がこいつと仲良くなりたい前提なんだ。
自意識過剰もほどほどにして欲しい。
「あんたと仲良くなるつもりなんて
これっぽっちも無いわ。
自意識過剰も大概にしたら?」
本当に全くこれっぽちも無い。
確かに最初は面白そうな人だったから
仲良くしたかったが、今はこれっぽちも無い。
「はぁ!?だったら、
俺の周りうろちょろすんじゃねよ!」
「そんなもん、偶然に決まってんでしょ!?
大体、なんで私があんたと仲良くなりたい前提なのよ!」
一年の頃こいつとは隣のクラスだった。
本来、接点なんて少ないはずだったのに、
なぜか、こいつはちょっと一緒になっただけで突っ掛かって来た。
「そりゃ、後々便利だからだろ!?
なんで俺に聞くんだよ!」
「はぁ!?なによ後々って!
卒業したら他人でしょ!」
「んなわけ無いだろ!」
来年のクラスがどうなるかなんて誰にも解らないし、
卒業したら、友達でもない限り、もう他人だ。
それなのに、阿呆かお前!みたいに否定された。
「そうでしょ!家が近いわけでも、
ましてや友達でもないんだから!」
「はぁ?お前なに言ってんだ?」
それはこっちの台詞だ。
「まぁまぁ、ここは穏便に。」
私はカッとなって更に言い返そうとしたが、
その前に源くんに止められてしまった。
一瞬、源くんにまでムカつきそうになったが、
確かにここで怒鳴り散らすのは失敗だった。
何故なら、人が集まる。
「おい、どうした…って、またお前たちか…」
前の担任だった先生が騒ぎを聞きつけてやってきた。
またって、まだ二回目ですけどね…!
「またっつっても、まだ二回だけどな」
「言い訳するな!今度は何だ。」
今だけこいつと気が合う。
不本意だけど、ほめてつかわす。
「何でもありません…。
すみませんでした。」
「そうか?痴話喧嘩もほどほどにしろよ」
誰が痴話喧嘩よ!といってやりたいが、
そんなこと言ったらややこしくなるのでここは耐える。
耐えれば、すぐに帰ってくれるだろう
「誰が痴話喧嘩だ」
「また言い訳か。二人ともこっちに来なさい!」
ほんとバカ。なんで私まで…と思うが、
私も言いたかったし、よしとする。
とりあえず大樹に頭を下げて先生に大人しく着いて行った。
「あーだるかった。」
「…はぁ。」
「お前、よく黙ってられるよな」
「…あんたは、先生相手によくも物怖じせず。」
結局、今日一日、毎放課ずっと、怒られた。
あの先生は、すぐ怒鳴るから嫌いだ。
注意じゃなくて、怒ってるだけ。真赤。
「言いたいことを言っただけだ。」
「良い事だとは思うよ。じゃーね」
「おい、かぐや」
「…なによ」
さっさと、別の道から帰ろうと思ったら、
なぜか呼び止められた。
てか、何で呼び捨て…。かぐや姫って呼ばれるより良いけど。
「悪かった。お前、本当に知らなかったんだな」
「え、は、なにを…?」
そんな手のひら返して謝られても困る。
それに知らなかったって何の話…?
「いや、俺の名前…とか?」
とかってなによ、とかって。
確かに名前は知らなかったけど。
「結でしょ?
さっき知ったばかりだけど」
「苗字のほうだ」
先生との会話でなんとなく名前はわかった。
…苗字は本当に知らない。てか、興味も無い。
「まぁ、いいや。
知らされてないってことは無くなったのかも知れん。
とにかく悪かったな。」
「え、こ、こちらこそ…?」
めっちゃ気になるけど、
あんまりこいつに気になってる、と思われたくない。
どうせ他人だし。うん。寝たら忘れる。
「じゃーな」
「うん、ばいばい…?」
イマイチ腑に落ちないが、
私はさっさと普段使わない道から教室に帰ることにした。
…のが失敗だった。
大人しく一緒に帰ればよかった…!
自分の方向オンチには薄々気付いてたけど、
まさか、構内で迷子になるとは…。
「誰かいませんか~?」
屈辱だけど、あいつ…結でも良いからまだ居てくれれば…。
大体この校舎こんなだったっけ?
私立だからって広すぎるのよ。
「…今度は階段か」
もう戻ることもできないし、こうなったらとにかく進もう。
上がってみると、1つだけ物凄く綺麗な部屋があった。
手入れが行き届いてる証拠だ。
ここなら誰かいそうと、ホッと胸を撫で下ろし、扉を開けた。
「…!?」
声にならなかった。
中にはとんでもなく広い空間が広がっていたのだ。
物凄い量の本、本、本!
国立の図書館ってこんな感じなのかな。
「すごい…!一生かけても絶対読みきれないよ!」
ここは天国だろうか。
ジャンルは解らないけど、
こんなにたくさんの本を目の前にして
冷静でいられる訳が無い。
本が好きじゃなくても、見た目に魅了されると思う。
「ん…?」
今の状況も忘れなにか読もうと本棚を見ていると、
ふと本棚のなかの一冊が目に入った。
「皇凪 輝夜…?」
なぜだか、スムーズに読めた。
同じ名前だからか…
何故かその本から目が離せず、私はそれを取り出した。
「え………………」
本を開き、読もうとすると、まるで貧血にでもなったかのように体に力が入らなくなってしまった。
私は抗えぬ強大な何かに、自らの何かを手放した。