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純血のかぐや姫  作者: 瑞希
神夜姫 ~シナスタジア~
3/29

〈春夏秋冬〉

「ねぇ!今日一緒に勉強会しない?」

「勉強会?」

何だかんだ松剣まつはやさんの手伝いのお陰でプロフを返し終えたあと。

授業後になってりんちゃんがそう提案した。


「勉強会か…もうすぐテストもあるから

 良いんじゃない?」

そうみなもとくんは、りんちゃんの意見に賛成した。

そう言う事なら、良いかもしれない。


「うぇーやだよ!勉強なんか!

 なぁ!弥扇」

「う、うーん?」

宗岡むねおかくんが嫌そうな顔をしながら言った。

私は正直反対派ではないので曖昧に笑った。


「お前なぁ…

 そんなんじゃ三年になったとき困るぞ。」

「ぐっ…。

 そっ、それにやる場所がないだろ!」

みなもとくんの言葉に

宗岡むねおかくんが顔をしかめ言い訳をした。


「あー……それもそうだな

 でも、別にどこでも大丈夫だろ」

「嫌々、集中出来ないぜ?な!」

宗岡むねおかくんが苦し紛れに言った言い訳が当たり、

ここぞとばかりに嬉しそうな顔をしながら言った。


「かぐやちゃんのお家は?」

りんちゃんが満面の笑みで私の方を見て言った。


「えっと…。良いには良いけど………」

私は全然構わないし、むしろ嬉しいのだが…

ある意味、勉強に最適ではあるかもしれないけど…


「じゃあ、決まりね!」

「…解った」




「と、言うわけで

 友人が四人お越しになります。」

「そうですか、わかりました。」

私の実のお祖母ちゃんだという、その人の返事を聞くと私は一礼してその空間からさっさと抜け出すため。

音をたてないように襖を開け、そこからでた。


外で待っていた女性に、すぐさま声をかけられた。

「お嬢様!ご友人がいらっしゃるって本当ですか!」

長すぎる廊下を抜け、自分の部屋まで帰ると

緋子あかこさんが興奮気味に話しかけてきた。

弥扇みおうぎ家は独特な掟のせいで、召使がいる。

緋子あかこさんは、弥扇みおうぎ家の四つある分家、

確か、春夏秋冬のひとつ、冬の家の人だ。

私の召使になることは、生まれる前から決まっていたらしい。

生まれる前からやることが決まってるなんて、

このご時世、ないと思ってたけど結構身近にあった。


「あ!そうそう。今度、みつるさんたちや

 文哉ふみやさんたちがいらっしゃいますよ」

緋子あかこさんが両手をポンッと叩き嬉しそうにいった


「えっ!そうなの!いつ?!」

文哉ふみやおじさんは秋の家でお父さんの兄で叔父に当たる人。

みつるおじちゃんは夏の家。

二人とも昔から良くしてくれてとっても優しい。

二人の家族も優しい。満おじちゃんの娘のことは仲がいい。

他にも文哉おじさんの息子、つまり従兄妹。

三歳年上でとても優しい…。

あと会った事ないけど私と同い年の次男も居るらしい。


「お二人とも気まぐれですから

 近々と言ってらっしゃいましたよ」

確かに二人とも気まぐれだ。満おじさんは適当。

文哉おじちゃんはマイペース。

でも、近々って言ってるし、とっても楽しみだ。


「そっか!とにかく、

 今日は勉強会だからいつも通りにしててね!」

さておき今は目の前の問題に向き合おう。

緋子あかこさんは少し妄想をする癖があるから

こういうことになったら、煩くしてしまうに違いない。


「は~い、わかりましたよ~だ」

緋子(あかこ)さんはぶすくれた顔をしながら了承した。

本当にわかってるようには思えないけど…


「じゃ、私みんなを迎えに行ってくるから」

「はーい、行ってらっしゃいませ~」



待ち合わせ場所になっていた駅まで行くと

すでにりんちゃんが居た。


「り…、りんちゃん」

「かぐやちゃん。こんにちは~」

「こんにちは」

少し待っているとみなもとくん、

芽李めいちゃん、宗岡むねおかくんの順番で来た。


「しゅっぱ~つ」

しばらく話ながら歩いていると住宅地に入り、やがて大きな門の前に着いた。


「でかいな…寺か?

 この辺来ないからなぁ」

宗岡(むねおか)くんが物珍しそうに門を覗いて言った。

向こうには長い砂利道と、木で出来た二つの屋敷がある。

その向こうにも更に続いているけど、ここからじゃ二つしか見えない。


「そうね…で、どっちに曲がるの?」

「あ、いや…」

どっちに曲がってもどうせ同じ敷地なんだけどね…

ここを右に行っても左に行っても、結局似たような壁が続いてる。

「かぐやの家、もう近いの?」


近いもなにも…

「えっと……、ここ」

芽李めいちゃんは少し驚いた顔をしたあと、キョロキョロと回りを見回して首をかしげた。


「お寺じゃなくて家…」

「「ええええ!?」」

芽李めいちゃんと宗岡むねおかは、よほど驚いたようで

ほぼ同時に声を上げた。

私も最初見たときは驚いたから、解らなくもないけど…

お婆様がいるところが一番奥でよかった。

声が聞こえない。


「じゃあ、入ろ…?」

「うん、わかった~」

結城ゆうきさんがにっこり笑いながら、みんなを引っ張りながらついてきた。

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