表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
純血のかぐや姫  作者: 瑞希
色欲が国 ~マルトゥラ~
29/29

〈仲間になりますか? はい、YES〉

私のために用意してくれたという、かなり豪華そうな部屋。家具も壁紙も、何もかもが白と深紅で統一されていて、高級感が漂っている。

凡そあの平凡は建物の地下とは思えない…。


カップ一つさえ高額なんだろうなぁと思いながら、これまた白と深紅のふかふかベッドに体を沈める。

あのカップ一つが、市民の給料のどのくらいなんだろう…とか流石に考えたくもない。


それはそれとして。


「びっくりしました…。」


そもそも船旅の間から自分の魔法にすら驚いたばかりだったのに…。よもや殺意バチバチの火花を見ることになるとは。


「その様なことがあったとは…。本当に無礼千万です!」


とアドリアナがぽこぽこ怒りながら、お茶を淹れてくれてる。宣言した通り、美味しいお茶とお菓子を。

横のテーブルから漂う香りに、私は体を起こす。


「そんなに無礼なこと何ですか?」


少し前のテーブルで、同じくアドリアナのお茶を嗜む臨さんへ聞いてみる。


前に一度、礼儀の先生にそんな風に怯えられたことはあった。

だけどそれは私の礼儀のなさのせいで、かつ嫉妬が国の文化と思っていた。その先生も何のお咎めもなく…、何も教えられなかったし。


「数ある非礼の中でも、最悪のものと言えます。」


ああ、そう…。


私がげんなりしていると、アドリアナがお茶とお菓子を出してくれた。

お菓子はさくら餅。名前は違うけれど、意味は同じで、味も概ね弥扇で食べたものと同じ。

此方あっちでは、和菓子なんて相当マイナーで、余程のマニアでなければ食べたこともないとはいえ…。


やっぱりパラレルなのかなと思う。礼も言語も違うけど、少なくとも動植物は似ている気がするから。

パラレルだとしても、千年くらい前に分岐が起きてそうだけど。


「王に礼を尽くさせ…、まして先に名を名乗らせるなど…。ハッキリ言って聞いたこともありません。

 そもそもが王が名乗ること事態、遺憾と言えます。」


あらまぁ。そこからしてアウトなの。…ああ、政府の関係者ではないから、かな。嫉妬が国からすれば、他国のごろつきになるわけか…。

うーん、臨さんの意見もちょっと片寄ってる感じするかな。


「どうして私が知らなかったのでしょう。」


かなり急ピッチだったとはいえ、学は恥ずかしくないレベルになるよう教育されてきたはずだ。

そこまで無礼だと言うのなら、あの礼儀の先生も死ななければならない。


「そんな無礼なことをする者が居ないからです。

 まして貴方と接するものは一様に、最低限の学がある前提ですから。」


…そういえば、あの部屋には礼儀の先生と私しか居なかったわね。覚えておこう。


「王は礼を尽くされる立場。それ故、礼を知らずとも不都合はない…と。」


なんか、その王様バカそうね。

臨さんに限らず、うちの国のものたちは平和ボケし過ぎているのかも。


「貴方はどう思われますか?」


扉の前で突っ立ってるオメロさんに、私は笑いかけた。

せっかくなら、反対の意見も聞きたい。


あと…正直、威圧感があるのでいい加減、座って欲しい。そしてアドリアナも臨さんも、彼を存在ごと無視するのを止めて欲しい。


「知らん。」


プイってそっぽ向いてそう言ったので、驚いてしまった。オメロさんの行動ではなく、アドリアナが私に抱き着いてきたことに。

今の速さって…七志対応できた?できた?ねぇ?


「かぐや様ぁ……っ!」


涙声にハッと胸元のアドリアナを見ると…、眼が潰れるかと思った。大きくて可愛いお目目いっぱいに涙をためて、上目遣いでこちらを見ている。

アドリアナが!いつもしっかりもののアドリアナが?!なに?!何が望み?!何がほしい…

はたと、アドリアナの要求を察し、私は敢えてハッキリ言う。


「ダメです。」


「…はーい。」


ブスくれた顔で私から離れていったアドリアナの眼には、既に涙などなく。

アドリアナ、私の弱点を的確に突いてくるようになったね…。大体のことを聞いてあげたくなるけど、殺生は許しません。


「オメロさん。残念ながら、貴方がどれだけ愛想を悪く接して居ようと、貴方の任を解くことはありません。

 協力することを推奨します。

 理由を言う必要はありますか?」


一連の流れから、オメロさんの立場とか状況は概ね理解したと思う。

オメロさんは軽く溜め息を吐いて腕を組み、背中に体を預ける。ちょっと威圧感が削がれた。


「何のメリットが?」


うん、やっぱり。推測は合ってたみたい。


「2つあります。

 1つは貴方がカルディナーレさんが思う以上に優秀であること。

 もう1つは、貴方がそれを表に出していないこと。」


多分これで解ってくれると思うので、私は微笑む。貴方のその目論みに当たり、今までの行動は思いっきり悪手だったと言うことね。


「彼女の破滅を望むと言うことか…?」


…本日、2回目の殺意を感じました。

王様なので、これから毎秒殺意を向けられると思った方が懸命な感じね。仕方ないので慣れましょう。


「鈍い方ですね…?

 表に出していないからこそ、です。その理由の方ですよ。」


私の言い方、そんなに回りくどいかな…?そんなに難しい話じゃないと思うけど。


「貴方は│嫉妬がわたしを殺しても構わないほど、カルディナーレさんを大切にしています。」


彼女の手足のために、嫉妬と色欲の戦争を起こそうとした。構わないと判断した。そう言う殺意があったから、七志は貴方を殺そうとした。

それほどまで彼女を守ろうとしている。自分の命を平気で切り捨てようとした彼女を。


「であれば本来、その実力を余すことなく彼女のために使うでしょう?」


カルディナーレさんさえ見誤っている貴方自身の実力。恐らく、七志の殺害は成功しなかった。

多分貴方は、カルディナーレさんと同等以上の力がある。


「なのにそうしないのは、恐らく彼女の立場を考えてのこと。もしくは、彼女自身に消されてしまう可能性?」


多分、その両方。

貴方自身、ボスになんてなる気がないんでしょうし、そんなことのために、彼女から離れたくない。


「そういうギリギリのグレーの立場に在りながらも、彼女を大切にしている。

 貴方はきっと彼女と深いエピソードがあるのでしょう。深い関係に。」


でしょ?

だから貴方は名を名乗らなかった。本来であれば王も名乗ることはなく。不遜であると腹を立てるはずだった。そうすることで任務から外させ、カルディナーレさんの側から離れず済むよう。

私が礼を尽くすのは、計算外だったのでしょう。


「であれば、内部の話も知っていそうなもの…。

 私がそう考えるのは、自然ではありませんか?」


私に必要なのはその知識。オメロさんの刃は、どうせ私には届かない。

すると、オメロさんはフンッと鼻で笑う。


「俺が饒舌に見えるか。」


ああ、無愛想は素なのね。出来ないのでなく、しないだけなのだから、私は良いけど。

なので私はにっこり笑う。貴方の饒舌さは関係ないから。


「貴方は不出来な方ですもの。

 つい、うっかり、マフィアにとって不利益なことを言ってしまい、結果的にカルディナーレさんを助けることになるかもしれないでしょう?」


貴方はこの組織を殺すことも、当然厭わないでしょう。私もマフィアのどうこうは関係ありません。

守るべき対象がハッキリしてる貴方の方が扱いやすい。


「ハッ…。さすが“新王”…か。」


新しい王…、ですか。それと今の会話に何の因果関係が?

もしや、オメロさん…私と契約した誰かを知ってる?


「良いだろう。俺個人としても近頃のオヴェストは気に入らなかった。

 協力してさっさと済ませる。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ