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純血のかぐや姫  作者: 瑞希
神夜姫 ~シナスタジア~
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〈五人の友達〉

「そっか

 でも神夜かぐや“姫”じゃないよ?」

新しいクラスになり、同じクラスの女の子に話しかけられて二回目。

まさかの一回目は失敗したけど、次は失敗したくない。

去年の二の舞にならないためにも!


「かぐやって意外と天然?

 あ、今さらだけど“かぐや”って呼んで良かった?」

「うん…!うん!」

私は思わず何度も首を縦に振った。むしろ呼んでほしい。

二文字し変わらないけど、ちゃんと私を示す名前だ。


「プロフ書いてくれない?最近流行ってるんだ」

プロフ……?プロフィール何とかか。

そういえば、小学生のころ流行ってたなぁ。


「うん…わかった」

そう返事をすると、小柳こやなぎさんに可愛らしいオレンジベースのプロフィールカードと、シンプルなシャーペンを渡された。


「住所は……えっと…」

もう一年近く経つのに、未だに新しい家の住所を覚えてない。


「解んない所は別に書かなくていいよ~。」

「あ、うん。ありがとう」

言われた通り、解らない所を飛ばし、また順番に書いた。

ニックネームや将来の夢など好きなタイプなど色々あった。

意外と疲れるよね、プロフって。


「書き終わった…。」

「おお。

 じゃあ…、はい。これ私の」

書き終わったプロフを、小柳こやなぎさんに渡すと、代わりに小柳こやなぎさんのを貰えた。


「あ…ありがとう!」

「いいえ~」

私がお礼を言うと小柳こやなぎさんは人懐っこい笑みを浮かべた。


「何だ~?

 百合ってやつか~?」

男の子はオレンジの声で言いながら、小柳こやなぎさんの隣の席に座った。


「何々?たいちゃんユリ好きなの~?」

すると女の子が私の隣の、本来は別の男の子が座る席に着きながら、不思議そうな顔をした。

ナチュラルに座るんだ…とちょっと感心した。。


「…いや、りん。

 百合ってのは花じゃなくてだな?」

「そんなこと説明しなくていいから。

 かぐやが引くでしょ?」

男の子が少し間を置いてから、女の子に説明しようとした。

けど、小柳やなぎさんにチョップで制されてしまった。


「え~?

 中2ならりん以外誰でも知ってるだろ」

男の子がそういうと、小柳こやなぎさんにじっと見つめられた。

…正直わからない。

ユリって花以外にある?

最近テレビ見れてないからなぁ…。


「ごめんなさい…」

「ナン…ダト!?」

と、男の子は大袈裟に立ち上がった。


思い出そうとするが転校してからの約一年。

ろくにバラエティー番組を見てない…それどころか娯楽系はすべて。

ニュースくらいはみたけど。

「いや、かぐや。そんなのわからなくていいんだよ…」

…そうなの?

なら良いかな……?


「お前ら、主にたいき。

 何の話してるんだ…?」

青と緑が混じった声が聞こえ顔をあげると、また別の男の子が立っていた。

なんか若干、呆れられてる。


「おお。かける。

 百合って案外みんな知らないのかな~」

「どうでもいいでしょ…」

「いいや!死活問題だ!」

二人の声にあまりに温度差があって

私は思わず笑ってしまった。


「あ、かぐやちゃん笑ってくれたぁ~。

 私は結城ゆうき りん。凛って呼んでね」

やわらかい黄色の結城ゆうき…ではなく凛…ちゃん。

凜ちゃんは満面の笑みで私の顔をじっと見て言った。


「俺は宗岡むねおか 大樹たいきな。」

「俺はみなもと かけるだよ。

 これからよろしくね」


一気に言われて戸惑ったが、私もおずおずとお辞儀して自己紹介した。

弥扇みおうぎ 神夜かぐやです。

 こちらこそ、よろしくお願いします」

オレンジが宗岡むねおかくん。芯が青い緑がみなもとくん。

宗岡くんをオレンジと言ったけど、それは本人が本来持ってる色で警戒しているのか感情の色はあんまり見えない。

源くんはリラックスしてるね。


「私のことは芽衣って呼んで」

「う、うん!」


ドキドキしながらも嬉しくて芽衣…ちゃん、達と話していると、ふと宗岡くんが口を開いた。

「…弥扇って案外喋るんだな」

疑ってるのか唯単に意外なだけなのか…。

やっぱりよく見えない。

相手が警戒してるからって言うのもあるけど、ここの人たちの…正確には初めて会う人の色はあまり解らない。

私がここに来てから上手く喋れない、一番大きな理由だ。


「そうだね。

 よく笑うし、怒りっぽい人かと思ってたよ」

そう思われる理由に一つだけ心当たりがあった。


「人生であんなに怒ったことない!」

けれどそれは誤解だと、私は慌てて否定した。

あのイメージだけで誤解されたくない。


「みたいだなー。って

 いつの間にか人くそ集まってるし」

ため息まじりに廊下の方を見た宗岡(むねおか)くんに習って、私も振り向いて廊下の方を見た。

すると、何故か結構な人数が集まっていた。


何だろう、デジャブだ。

1年の頃の、あの事件と……。

「ここは2ーFのクラスよ。

 他クラスはさっさと帰ったら?」

真っ青の冷たい…、相手を蔑む声が教室から廊下に向かって響いた。

その声は四人の声でも、ましてや私の声でもない。

一番最初に私を良く思ってなかったはずの女の子の声だ。

私たちも含めみんな凍り付いたように静まり返り、また女の子が睨むと大人しく自分のクラスに帰っていった。


「あの、紗良を言い負かしたかぐやって相当だよね。」

「え、松剣まつはやを?

 まじかよ、すげぇな!」

言い負かしたって…。宗岡むねおかくん何で喜んでるの…?


それにしても、その、松剣まつはやさん?

もしかして、助けてくれたのかな…?


「ね!弥扇みおうぎさん!プロフ書いて!」

「え…私?」

「うん!」

クラスの女の子にプロフィールカードを置かれると、また、別の色のプロフィールカードが置かれた。

「私も書いて!」

それを合図にするように次々と机に乗せられていった。


「えっ…こ、こんなに…?」

よく見ると同じクラスの人だけじゃないし。

そして、女の子だけでなく男の子の名前まである気がする…

というかこれ全部どうやって返したら…


「…手伝おうか」

前を見ると松剣(まつはや)さんが不機嫌そうな顔で立っていた。

今度はなんだろうと首をかしげると


「…だから!手伝ってあげてもいいって言ってるのよ!」

どうやらさっきまでのは全部照れ隠しだったらしい。

思わず可笑しくって笑ってしまった。


「なに笑ってるのよ!」

「ううん、ありがとう!」

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